スタジオ閉鎖報道のあった『Kerbal Space Program 2』開発元などについて、親会社CEOが「閉鎖していない」とコメント。一方、スタジオの存続については明言避ける

パブリッシャーのTake-Two Interactiveは5月17日、2024年度の業績を発表。その説明会にて同社CEOは、傘下デベロッパーIntercept GamesとRoll7について閉鎖していないとコメントした。

パブリッシャーのTake-Two Interactiveは5月17日、2024年度の業績を発表。その説明会にて同社CEOのStrauss Zelnick氏は、傘下にあるデベロッパーIntercept GamesとRoll7について閉鎖していないとコメントした。海外メディアIGNが報じている。

Intercept GamesとRoll7に関しては今年5月2日、Take-Two Interactiveにより閉鎖が計画されていると海外メディアBloombergが報じていた。

『Kerbal Space Program 2』


Take-Two Interactiveは、Rockstar Gamesや2K、Private Divisionなどを傘下にもつ大手パブリッシャー。そのPrivate Divisionが、アメリカ・シアトルに2020年に設立したのがIntercept Gamesで、現在早期アクセス配信中の宇宙開発シミュレーションゲーム『Kerbal Space Program 2』の開発を担当している。

一方のRoll7は、イギリス・ロンドンに拠点を置くスタジオだ。スケボーアクションゲーム『OlliOlli』シリーズなどで知られ、2021年にPrivate Divisionにより買収。その後『OlliOlli World』や、ローラースケート・アクションシューティングゲーム『Rollerdrome』をリリースしている。

海外メディアBloombergは5月2日、米ワシントン州の雇用対策局によって公開されたレイオフ情報およびスタジオの内部情報をもとにIntercept Gamesが閉鎖されるとし、またRoll7についてもスタッフに送付された通知を入手したとして、その閉鎖計画について報じた。両スタジオの閉鎖は、Take-Two Interactiveが今年4月に発表したコスト削減計画の一環であると主張している(関連記事)。

『Rollerdrome』


今回のTake-Two Interactiveの決算説明会にて海外メディアIGNは、Intercept GamesとRoll7の閉鎖計画について事実かどうかを質問。するとCEOのStrauss Zelnick氏が、「はっきりとさせておくが、我々はこれらのスタジオを閉鎖していない(We didn’t shutter those studios, to be clear)」と回答したという。また、同社が現在遂行中のコスト削減計画の内容はすでに確定されているとしたうえで、どのスタジオも閉鎖していないと強調したとのこと。

なお、IGNが両スタジオの存続について改めて確認したところ、同社PR担当者は、コスト削減計画の詳細は公開していないとして明言を避けたそうだ。また、両スタジオを管轄するPrivate Divisionの経営状況についても、何か発表があれば同レーベルからおこなうとし、決算説明会で言及することはないとされた。Private Divisionにおいても、大規模なレイオフ(一時解雇)が実施されたと一部で報じられている。

今回Take-Two Interactiveは、Intercept GamesとRoll7の閉鎖報道を否定したとも受け取れる。一方こうした回答を受けて、報道したBloombergのJason Schreier氏が反応。Roll7閉鎖の根拠のひとつとしたスタッフ宛の内部通知を、情報源の許可を得て公開している。それによると、近作の成績が期待どおりではなかったとし、またビジネスの効率と収益性に関しプレッシャーが高まっているとして、Roll7の閉鎖を提案すると記されている。

なお、閉鎖の“提案”と表現されていることについてSchreier氏は、英国の労働法では従業員への事前通知が義務付けられており、形式的なものであると説明している。同氏は、『BioShock』シリーズなどに携わったスタジオ2K Marinが2013年に閉鎖された当時、Take-Two Interactiveがその事実をしばらく認めなかった前例も挙げつつ、一体何が真実だろうかと呼びかけた。

ちなみに、Intercept Gamesの閉鎖報道の根拠のひとつとされた雇用対策局のレイオフ情報についても、6月28日に閉鎖予定であるとTake-Two Interactiveから報告されており、現時点ではまだ閉鎖されていないことになる。となると、仮に両スタジオの閉鎖計画が事実であったとしても、「スタジオを閉鎖していない(We didn’t shutter those studios)」というStrauss Zelnick氏のコメントは間違ってはいない。

前回の報道を受けて、Private Divisionは『Kerbal Space Program 2』の開発継続を表明。ただ、その開発をIntercept Gamesが引き続き担当するのかどうかは明確にされなかった。同作はまだ早期アクセス配信中であり、Steamのユーザーレビューには、今後の開発状況を不安視するユーザーから不評レビューが殺到している状況だ(関連記事)。今回、現時点でのスタジオ閉鎖は否定されたものの、同作の行方には依然として注目が集まる。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

Articles: 6789