お仕事パズルアクション『Good Job!』の開発元が閉鎖へ。会社の支出に見合った仕事を獲得できなかったとして
海外ゲームスタジオのPaladin Studiosは5月2日、スタジオを閉鎖したことを発表した。理由としては、スタジオの支出と釣り合うほどの仕事を得ることができず、債務超過に陥る可能性が高くなってしまったため、とのこと。なお現在同スタジオが手がけた既存タイトルに対するサポートは、引き続きおこなっていくつもりだとしている。
Paladin Studiosは、オランダ・ハーグに拠点を置くインディーゲームスタジオだ。同スタジオは2005年に設立され、ピーク時には55人のスタッフを擁しており、現在では45人となっていた。また同スタジオは任天堂やApple、Netfilxなどのさまざまな企業との提携もおこない、『Good Job!』『マイたまごっち』などに代表される数々のゲームを送り出していた。
『Good Job!』は2020年にNintendo Switch向けに配信された、お仕事パズルアクションだ。本作ではとある会社の新入社員となって社内業務をこなしていくのだが、目標を達成するにあたって手段は問われていない。そのため、たとえば物を運ぶ際には壁を壊したり、社員を押しのけたりすることも可能。そんな自由な社風の会社で仕事をこなしていくこととなる。同作はミニマルでかわいらしげなアートスタイルから繰り広げられる“なんでもあり”のゲームプレイや、パズルの解法の自由度といった点から高い評価を獲得していた。
今回Paladin Studiosはスタジオの閉鎖を発表した。公式サイトでは、「OUR QUEST HAS ENDED(我々の冒険は終わった)」と題して、経緯の報告や今後についての説明が行われている。発表によれば、同スタジオはここ数か月、会社経営にかかるコストをカバーできるほどの仕事を得ることができなかったようだ。そのため、このまま経営を続けていくことによって、収支がマイナスとなり債務超過の可能性も浮上したとのこと。
そうした事情もあり、債務を抱える前に、全従業員に適切に退職金を支給できるようにスタジオを解散することとしたようだ。この解散の発表にあたって、Paladin Studios側からもスタッフの次の就職先を探している。デザイナーやプログラマー、アーティスト、QAなどの空きがあれば連絡して欲しいとしている。
なおこの閉鎖に関して現時点では、Paladin Studiosが手がけたゲームが購入やプレイ不可となることはないようだ。発表では各種タイトルに向けて、今後も技術的なサポートを続けていくとしている。
数々のゲームを手がけ、高い評価を獲得しても、「十分な量の仕事がない」としてスタジオの閉鎖を決定したPaladin Studios。こうした例はほかにもあり、直近ではKeokeN Interactiveが新プロジェクトのパブリッシャーが見つからなかったためレイオフを決定した(関連記事)。またFlaming Fowlの例では、過去作で実績を残しているにもかかわらず、資金不足を理由として新作開発の一時停止に追い込まれてしまった(関連記事)。デベロッパーとパブリッシャー間の契約の締結が難しくなっているような状況もうかがえ、規模に関わらず、ゲーム業界の厳しい状況はまだ続いていきそうだ。