リーク防止技術「TraceMark for Gaming」発表。ゲーム画面に“見えない透かし”を入れて、リーク犯をピンポイント特定する

 

IrdetoおよびDenuvoは現地時間3月18日、ゲームに関連する情報のリークを防止する技術である「TraceMark for Gaming」を発表した。リリース前のゲームやアップデートの、動画・スクリーンショットといった部外秘情報リークに対抗する技術となっている。


Denuvoは、ゲーム向けコピーガードソフトウェアである「Denuvo Anti-Tamper」を手がける企業。アンチチート「Denuvo Anti-Cheat」やDLC向けDRMである「Denuvo SecureDLC」なども展開している。「Denuvo Anti-Tamper」は、タイトルによってゲームのパフォーマンスへ悪影響を与えるとの指摘もある一方、海賊版対策として多くの大作ゲームなどに採用されている。

今回Denuvoが発表したのは、リーク防止技術「TraceMark for Gaming」だ。ゲーム作品においては、基本的に一般に発売される前にプレイテストがおこなわれることになる。また、運営型ゲームにおいては、部外秘のアップデート内容を含むベータテストが実施されることもしばしば。

そういったテストに参加した者が、不正に部外秘のゲーム映像やスクリーンショットを外部に漏らす(リーク)場合もあり、ゲーム開発元はその対策に頭を悩ませている。『原神』のHoYoverseのようにリーク情報を流出・拡散する者への法的対策に動く開発元も見られる(関連記事)。また、テスター向けのゲーム画面やムービーに「ウォーターマーク(透かし)」を乗せるなど、さまざまな対策がなされているわけだ。


今回発表された「TraceMark for Gaming」は、ハリウッドやスポーツリーグで用いられる、不可視のウォーターマーク技術を活用して実現されているという。同技術を使えば、「誰が/どこからリークしたか」を直接特定できるという。同技術は開発のさまざまな段階で導入可能であり、可視/不可視いずれのウォーターマークも埋め込み可能だという。これにより、「ウォーターマークをはっきり表示してリーカーにプレッシャーをかける」との運用も、「内容をリークされたくないが、テスターのゲーム体験を損ねるウォーターマークは入れたくない」といった運用も対応可能となるようだ。

そして「TraceMark for Gaming」の特徴として、開発元がセルフサービスで使えるリーク検出ポータルがあるという。これにより開発元は、出回っているリーク画像などを自らの手で照合できるようだ。また、明度変更やぼかし、圧縮、クロップといった加工がなされていても、ウォーターマークを検出可能だという。同技術は「Denuvo Anti-Tamper」に統合されており、簡単に併用可能となっているようだ。「TraceMark for Gaming」が頻発するリーク行為に対してどのように威力を発揮するか、注視したい。