国内ゲーム会社アリカを脅迫した人物、損害賠償金400万円支払いへ。刑事での有罪に加え、民事損害賠償責任も課される
株式会社アリカは2月20日、同社および同社役員への脅迫事件の民事損害賠償請求について、2月14日に和解が成立していたことを報告した。同社の言い分が認められたかたちでの和解に至り、犯人には400万円の損害賠償金支払いが課されたという。
アリカは『FIGHTING EX LAYER』や『ストリートファイターEX』シリーズなど、数多くのタイトルを手がける国内デベロッパーだ。代表取締役はかつてカプコンにて『ストリートファイターII』などに携わった西谷亮氏。同社は対戦格闘ゲームのほか、傑作ゲームを多人数対戦化した『TETRIS 99』『PAC-MAN 99』など、幅広い作品の開発を担当している。
アリカは2021年10月に、同社および同社役員に向けた脅迫文が送られた事件について公表。当時のプレスリリースによれば、有罪が確定した人物は2019年9月3日、アリカWeb窓口宛に同社への危害予告および役員の殺害をほのめかす文章を送ったとされる。同社は同日中に警察に通報し、同年11月15日に被害届を提出。その後、2020年10月上旬には警察による容疑者本人への取り調べがおこなわれ、罪状を確認。今年2021年4月13日に書類送検となり、容疑者が罪状を認めたため同年9月には略式手続がなされ、10月5日に有罪判決が下った。
なおアリカへの脅迫被害があった直後である2019年10月前後には、アリカ取締役副社長の三原一郎氏が、自身のTwitterアカウントにて脅迫被害に関するツイートを投稿していた。同氏は脅迫犯逮捕の報を取り上げていたほか、同年におこなわれたスクウェア・エニックス脅迫犯の逮捕(関連記事)に触れて、脅迫への対応を示唆していた。
そして2022年3月には、アリカが脅迫事件の犯人に向けて損害賠償を求める民事訴訟を提起。脅迫事件を受けた防犯設備投資やその実施のためのコスト、また参加予定だったイベントのキャンセルによる経済的損失や信用の毀損による損害等が請求する訴えであった。
今回、同訴訟について先週2月14日に和解が成立したことが報告された。当時殺害予告を受けた被害者が三原氏であったことも伝えられている。アリカの言い分が認められたかたちでの和解になったとされており、損害賠償金として400万円の支払い義務があることが認められたとされる。今後も同社は、毅然とした態度で脅迫のような行為に対応していくとのことだ。
直近では任天堂の主催する「スプラトゥーン甲子園 2023」および「Nintendo Live 2024 TOKYO」がイベントの観客・スタッフに向けた脅迫行為が原因で開催中止となるなど、ゲーム会社の関係者やイベントが脅迫にあう事例も続いている(関連記事)。2019年に発生したアリカへの脅迫犯については刑事事件として有罪判決が下っただけでなく、今回民事損害賠償金の支払い責任を課されたことが明かされ、あるまじき行為に厳然たる対処がおこなわれた例といえるだろう。