Epic Gamesストア、2023年は売上1400億円以上。独占タイトルの好調もあってか成長に転じる

 

Epic Gamesは2月16日、公式サイトにて「2023年 Epic Games Storeの総括」を公開した。PCユーザーからの総売上が前年比で16%増となったことなど、2022年と比べて成長を見せたことが伝えられている。


Epic Gamesは、同社が運営するEpic Gamesストアの収益やユーザー数などを振り返る総括を毎年おこなっている。今回発表された「2023年 Epic Games Storeの総括」によると、Epic GamesストアのPCユーザー数は2022年から4000万人増加し、2億7000万人を超えたという。また2023年のデイリーアクティブユーザー数は、ピーク時には3610万人に到達し、マンスリーアクティブユーザー数は2022年の6800万人を上回る7500万人に達していたとのこと。

なお発表によれば、2023年には約1300本の新作PCタイトルがEpic Gamesストアに登場し、現在ストア上では2900本以上のタイトルが提供されているという。そしてプレイヤーの支出額と利用度に基づき、2023年度の人気タイトルがエピック/レジェンド/ミシックに区分分けされ、計20本紹介されている。

人気タイトルではPC版がEpic Gamesストア独占、あるいはSteamでは配信されていない『Fall Guys』『原神』といった人気のライブサービス作品がラインナップ。またPC版がEpic Gamesストア独占配信となっている『Alan Wake 2』なども名を連ねている。同作はThe Game Awardsにて複数の部門を受賞するなど、昨年のアワードで高い評価を受けたタイトルのひとつ。昨年末時点で開発元Remedy Entertainmentの作品史上最速で売上100万本を突破し、2月には売り上げが130万本を突破したことも伝えられている


そうした人気タイトルの好調なセールスもあってか、Epic Gamesストアでの2023年のPCユーザーからの売上が前年比16%増となる9億5000万ドル(約1420億円)を記録したとのこと。2022年は2021年比で2%の減少を見せていたため、2023年はふたたび成長に転じたことがうかがえる。一方で(Epic Gamesにとっての)サードパーティー製のゲームの売上は前年比13%減となる3億1000万ドル(約460億円)となったそうだ。独占タイトルが売上を支える傾向がより強まったこともうかがえる。

このほか毎週配布されている「無料ゲームプログラム」では、2023年を通して合計2000ドル(約30万円)以上に相当する86本の無料ゲームがユーザーに提供されたという。無料ゲームの取得数は合計5億8000万以上に達し、新規プレイヤーの獲得・拡大に繋がったとされている。

さらに、2023年にEpic Gamesストアに導入された機能についても振り返りがおこなわれている。昨年にはEpic Gamesストアで独占配信した場合に、最初の6か月間はデベロッパーが純利益の100%を受け取れる「EPICファーストラン」や、ストアでの販売を容易にするセルフパブリッシングツールの提供といった施策が登場。こうした仕組みも、先述の独占タイトルの売上比率アップに繋がったかたちかもしれない。


なお2024年にEpic Gamesストアに計画されている新機能も一部紹介。まず今年初頭には新たなダウンロードマネージャーが登場し、アップデートのタイミングの管理やダウンロードスケジュールの設定、キューの並べ替えなどが可能になるという。事前購入したゲームの事前ロードも可能になるとのこと。また意図的にオフライン状態を切り替えられる機能など、オフラインモードの大幅な改良も実施予定。ソーシャル機能の改善のほか、バンドル購入時にバンドル内のすでに所有コンテンツの価格が差し引かれる仕組みも用意されるそうだ。

またデベロッパーおよびパブリッシャーは、Epic Gamesストアにて独自のサブスクリプションサービスを提供可能になるシステムも登場予定。ユーザーはサブスクリプションの購入費でもEpic報酬を獲得可能となる見込みだ。ほか、1月に告知されていたとおり、EUではiOS向けの『フォートナイト』が“再リリース”予定で、同じくiOS向けのEpic Gamesストアアプリを通して配信される予定とのこと(関連記事)。

ちなみに過去のEpic Games対Apple、およびEpic Games対Googleの裁判においては「Epic Gamesストアが赤字続きである」といった証言もおこなわれていた(関連記事)。この原因のひとつとして、Epic Gamesがサードパーティー製のゲームの無料配布、独占契約に大きな予算を投じていることがあると見られる。ただし今回の発表では前年比での収益が増加。特に独占タイトルの好調な売れ行きも示され、無料配布や独占契約に関する方針が一定の成果を上げている傾向も垣間見える。他方、EU向けには年内にiOS向け展開が予定されており、ほかの地域でのモバイル向けの展開が今後どうなるかは注目されるところだろう。