高評価RPG『ディスコ エリジウム』のDLC開発プロジェクトが中止されたとの報道。1~2年かけて大規模開発されるはずだったとの証言も


高評価を獲得したRPG『ディスコ エリジウム(Disco Elysium)』について、「X7」と名付けられていた拡張DLCの開発プロジェクトが中止になったようだ。海外メディアSports Illustratedなどが報じている。またプロジェクト中止に伴って、開発元のZA/UMでは、全従業員の約1/4にあたる24名ほどのレイオフの可能性もあるという。


『ディスコ エリジウム』は、2019年に発売されたRPGだ。開発はZA/UM が手がけている。2022年6月には、『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』として日本語版も発売された。本作の主人公は記憶喪失の刑事。殺人事件に巻き込まれ、相棒と共に事件の真相を追う。主人公の脳内には多数の人格が存在し、それらと対話しながら展開される、奥深く自由度の高いゲームプレイが特徴。高評価を獲得し、発売以来多数の賞を受賞している。

一方で2021年末には本作のリードデザイナーRobert Kurvitz氏や、アートディレクターのAleksander Rostov氏、そしてリードライターのHelen Hindpere氏らがZA/UMを退職。元スタッフがスタジオへの訴訟を提起する一幕もあった(関連記事)。そうした中で『ディスコ エリジウム』にて新たな展開や続編が開発されるかどうかを含め、ZA/UMの動向が注目されていた。


今回、海外メディアSports Illustratedが関係者証言として伝えるところによると、ZA/UMのCEO・Ilmar Kompus氏がスタッフに対し、同スタジオの現況を伝えるメッセージを送ったという。同誌の紹介した社員向けメッセージでは、経営陣との協議の結果「X7」の開発が中止されたことが伝えられている。関係者によると「X7」は『ディスコ エリジウム』のDLC開発プロジェクトであったとされ、本編以上の開発規模、かつ完成までに1~2年の開発期間を要する可能性があったという。

さらに同誌は関係者証言として『ディスコ エリジウム』の続編として進められたプロジェクト「Y12」が2022年に開発中止になっていたと報じている。また新規IPとして開発されていたSFの世界観をもつゲーム「P1」についても、2023年に開発中止になったとのこと。

一方でZA/UMでは現在「C4」「M0」と呼ばれる2つのプロジェクトが開発中とされており、それに伴いデザインディレクターが募集中となっている。上述の社員向けメッセージでは「X7」の開発中止に伴って、残りふたつの開発プロジェクトをサポートするためのチームの再編成がおこなわれるとも伝えられている。ただし「X7」の中止はほぼ間違いなく人員削減に繋がるとされており、開発チーム外やほかのプロジェクトにも影響を及ぼす決定だという。


『ディスコ エリジウム』は高い評価を受けており新たな展開も望まれる中、DLCや続編開発については「中止された」といった報道も見られる状況だ。訴訟を含む元スタッフとの軋轢も含めZA/UMを取り巻く状況は穏やかとは言えず、今後の動きも注目されるところだ。