発売即販売中止ゲーム『The Day Before』の開発元、「誰も騙していない」と主張し始める。閉鎖されたはずのスタジオ、突如怒り出し、投稿削除したり再投稿したり混沌

『The Day Before』の開発元であったFNTASTICは公式Xアカウントにて声明を投稿。同作やスタジオの運営体制に関するさまざまな主張が展開されている。

The Day Before』の開発元であったFNTASTICは公式Xアカウントにて声明を投稿。同作やスタジオの運営体制に関するさまざまな主張が展開されている。スタジオを閉鎖し、正式に運営を終了したと発表していたにもかかわらずおこなわれた投稿であり、ユーザーや海外メディア関係者からは改めて同作の宣伝方法や品質を巡る批判が寄せられている。


『The Day Before』は、パンデミック後のアメリカ東海岸を舞台とするオープンワールドサバイバルMMOと標榜されていた。本作は2021年1月に発表されたのち、幾度も発売延期を重ねながらも2023年12月8日にPC(Steam)にて早期アクセス配信開始。一方でサーバー問題や品質面などの課題を数多く抱えていた点や、「MMO」と掲げながらも実際のゲームプレイが脱出型PvPvEシューターとなっている点などに多くの不評が寄せられる結果となった。そうした反響を受けて、開発元のFNTASTICはスタジオを閉鎖し『The Day Before』の開発を中止すると発表。あわせてSteamでの本作の販売も停止された。

そして昨年12月22日にFNTASTIC公式Xアカウントは、「スタジオが正式に運営を終了した」と発表していた(関連記事)。本作販売元のMytonaがSteamとの協力のもと購入者全員への返金に取り組んでいるとも伝えられたほか、現地時間2024年1月22日に本作のサーバーが停止されることが告知された。なお同日のポストは、本稿執筆時点では削除済みである。

今回、FNTASTIC公式Xアカウントは突然声明を投稿。「インターネット上では匿名と思われる情報源から誤った情報が多く発信されている」として、さまざまな主張をおこなっている。

https://twitter.com/FntasticHQ/status/1750335664904929468


声明ではまず、一部SNSやメディアで出回っている噂についてコメント。“匿名の情報源”による「FNTASTICが(意図的に)プレイヤーを騙した」との噂について反論。同社では誠実にゲーム開発に取り組み続けていたとしている。またクラウドファンディングキャンペーンや予約注文をおこなわず、ユーザーからは開発資金を一銭も受け取っていなかったと強調。またゲームの開発終了が決定された後には、先述のようにパブリッシャーMytonaの協力で返金がおこなわれた点にも言及されている。

またFNTASTICはそのほかにも、投資家を騙したわけではなく、今もパブリッシャーと良好な関係を保っているとの見解や、スタジオの従業員には手厚い福利厚生を提供していたといった主張をしている。また声明では、発売前のゲームプレイトレイラーで紹介されていたハウジング要素やオフロードカー、作り込まれたワールドといった要素はすべて実装していたとも主張されている。一方パルクールのような細かな要素については、不具合があったため実装されなかったとのこと。

そして声明においてFNTASTICは、特定のインフルエンサーが『The Day Before』を悪く印象づけるバイアスをユーザー間に生じさせたと批判。一部本作を気に入ったという声もありパッチによる不具合修正も試みたものの、ヘイトキャンペーン(hate campaign)によって甚大な損害を受けたと主張されている。なお声明いわく、ゲームの販売終了後には“インフルエンサーに騙された”として、多くのユーザーがゲームへのアクセス権を要望してきたとのこと。また声明によれば「開発継続の嘆願書などが作られているとの情報がある」とのことだ。


FNTASTICはこうしたサポートや活動に感謝しているとして、声明を締めくくっている。また声明の最後では同スタジオのSNSアカウントをフォローしてほしいと伝えられており、スタジオによる今後の新たな展開も示唆されている。

「正式にスタジオの運営を終了した」と発表していたFNTASTICながら、今回“匿名の情報源”をベースとした噂への反論をおこなったかたちのようだ。声明ではFNTASTIC側のさまざまな主張が展開されたものの、ユーザーや海外メディア関係者からは冷ややかな反応が寄せられている。結果として品質面に多くの課題を抱えた製品が販売されたことが問題であるという指摘や、そもそもスタジオは閉鎖されたのではないのかといった指摘など、多くの批判が集まっていた。

そして当該のポストは1月24日に投じられたもののなぜか削除され、日本時間1月25日10時51分にまったく同じ内容のポストが再投稿された。なお1月24日に投じられた過去のポストには、Xのコミュニティノートでも背景情報が追加されつつ批判を受けていた。再投稿を受けて、すぐさまユーザーからはコミュニティノートを回避するためではないかとの指摘が寄せられている。


スタジオが閉鎖され、運営も終了されたことが伝えられたはずのFNTASTICが新たにおこなった投稿。先述のとおりスタジオの運営終了を発表する昨年12月22日の投稿は削除済み。また同スタジオ閉鎖の数か月前にCEOであったEduard Gotovtsev氏らが新たなモバイル向けゲームの開発を計画しており、閉鎖後には解雇された従業員らにオファーが送られたことが報じられている(CD-Action)。今回新たに投稿された声明も見るに、Gotovtsev氏などのスタジオの代表者はFNTASTICとして今後もビジネスを続けようとしているのかもしれない。しかし、信頼の回復が求められる状況にありながらも、声明の削除や再投稿などの対応がおこなわれており一貫性に事欠いている。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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