『FF14』の「ローポリぶどう」がとうとう庭具化。カクカクのぶどう風ランプがお洒落に自宅を飾る、ユーザー考案の巧みデザイン
スクウェア・エニックスは1月16日、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)のパッチ6.55を実装した。メインストーリーや新クエストなど、マイナーパッチながら多くのコンテンツが実装され、そのなかでも一際目立つ「庭具」がプレイヤーの視線を引いているようだ。その庭具の名は「ラヴィリンソス・グレープランプポスト」。2021年の「暁月のフィナーレ」リリース時に「ローポリぶどう」として話題になったオブジェクトが、庭具となって登場したようだ。
「ラヴィリンソス・グレープランプポスト」は、錬金術師レベル90で製作できるアイテムだ。ハウジングの庭に設置して、家を明るく彩ることができる。ランプの意匠はぶどうだが、このぶどうはかつて「ラヴィリンソス」の「メリオール実験農場」に植えられていたものを模している。当時同エリア内のぶどうはメモリ軽量化のためにかなりポリゴン数が少なめの3Dモデル、いわゆるローポリで制作されており、「ローポリぶどう」として話題となった。
話題になったこともあり、2021年12月21日実装のパッチ6.01にてぶどうはよりポリゴン数を割かれ、丸みのある形に進化した。しかしユーザーに残した印象は大きく、開発側も自らネタにするように。2023年にラスベガスで開催されたファンフェスティバルでは来場者特典としてローポリぶどうを模したグッズが来場者特典となったほか、『FF14』公式LINEスタンプでも謎の存在感を示している(関連記事)。
ローポリを指摘されたことを開発元が自らネタにすることで発達してきた側面のある「ローポリぶどう」のコンテクストだが、実は今回の「ラヴィリンソス・グレープランプポスト」は開発元の自虐として実装されたものではない。「調度品デザインコンテスト2022」の入賞作品のひとつで、プレイヤーがデザインを考案して応募し、選考の結果、見事ゲーム内に採用された庭具なのだ。ローポリぶどうの形状をうまくランプのかたちに落とし込み、鉄とガラスで再現。ローポリぶどうののっぺりとしたテクスチャ感はステンドグラス風に生まれ変わっており、モダンななかに遊び心のあるデザインに仕上げられている。
ローポリぶどうは『FF14』にとって“定番”といえるネタに昇華されたものの、残念なことに先述のパッチ6.01以降はゲーム内でローポリぶどうに会うすべは残されていなかった。かつてローポリだったラヴィリンソスのぶどうは、すでに丸くなってしまったからだ。しかし、パッチ6.55で新たな調度品として「ラヴィリンソス・グレープランプポスト」が実装されたことで、ほど近いかたちのものに触れることが可能となった。ローポリぶどう愛好家にとっても嬉しい事態であろう。
また、「ラヴィリンソス・グレープランプポスト」は英語版の解説テキストも興味深い。「見た目が良くないという苦情があり、新しく角が丸い品種が作られたが、オリジナルの品種は一部の人に評価され、このランプのかたちで不滅のものになった」と書かれているのだ。ローポリぶどうが辿ってきた歴史を内包するメタ的要素の表れでもあり、非常に趣深いものとなっている。
ローポリぶどうが庭具として実装され、笑いとともに人々に受け入れられた『FF14』。ネタに振り切りすぎず、洗練されたデザインに仕上げたデザインコンテスト応募者の功績も大きいだろう。「ラヴィリンソス・グレープランプポスト」も実装された『FF14』パッチ6.55は現在好評配信中。次回大型アップデート「黄金のレガシー」は2024年夏発売予定だ。
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