マップ破壊FPS『THE FINALS』では「『CoD』みたいに戦っちゃう人が多い」と人気ストリーマーが指摘。まだ手探りの人多い説

 
Image Credit: shroud on Twitch

人気ストリーマーのshroud氏が『THE FINALS』における「『Call of Duty』(以下、CoD)シリーズのような戦い方をするプレイヤー」の存在を指摘し注目を集めている。リリースされたばかりの本作では、ゲームシステムをあまり気にせずキルだけを狙うといった戦法をとるプレイヤーも一定数いるようだ。


『THE FINALS』はEmbark Studiosが手がける、基本プレイ無料の対戦FPSゲームだ。PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに、2023年12月8日にリリースされた。本作でプレイヤーは「THE FINALS」と呼ばれるゲームショーに参加し、富や名声を獲得するため、バーチャル空間で熾烈なチーム戦を展開することとなる。さまざまなロケーションを模したアリーナ(マップ)にて、あらゆるものを破壊可能な点が本作の持ち味だ。

プレイヤーは3人一組のチームを組み、モードによって2チーム~4チームで対戦。金庫を指定の場所に運んで守り抜くといった条件を達成してキャッシュを獲得し、キャッシュの目標額を目指す。


プレイヤー間の実力差

今回、人気ストリーマーのshroudことMichael Grzesiek氏が発言した、本作に関する見解が注目を集めている。shroud氏は過去にプロチームCloud9にて『Counter-Strike: Global Offensive』の選手として活躍。一時期は引退してストリーマーとしての活動に軸足を移したものの、昨年には別のプロチームSentinelsの『VALORANT』部門にて現役復帰している。注目されている発言はTwitchにおける12月21日の『THE FINALS』配信時におこなわれた。


配信においては、ある視聴者がshroud氏に「本作ではSBMM(スキルベースマッチメイキング)が悪いのか、プレイヤーたちがまだ成熟していないのか」との疑問をコメントで投げかけた。SBMMとはプレイヤーのスキル(実力)をなんらかの方法で評価し、そのスキルに応じてプレイヤー同士をマッチングさせる設計のこと。視聴者はゲームの状況から、実力に応じたマッチメイキングがおこなわれていないといった印象を抱いているようだ(関連記事)。

これに対してshroud氏は本作のSBMMについては「かなりまとも(pretty decent)」であると返答。一方で現状ではマッチ内のプレイヤー間で実力のバランスが取れていないといった考えには賛成のようで、プレイヤーベースの実力の成熟を待つ必要があるとの見方を示した。このなかで同氏は多くのプレイヤーがこのゲームを理解できていないとしつつ、「“CoD brain(CoD脳)”には荷が重いと思う」と発言。ユーザーによるクリップや海外メディア報道にて拡散され、注目を集めている。


“CoD脳”には荷が重い

“○○ brain(○○脳)”とは、ゲーマーシーンにおいては主に特定シリーズ作品に“染まった”プレイスタイルを揶揄するときに用いられるネットスラングだ。すなわち「CoD brain」は、『Call of Duty(CoD)』でよくされるような立ち回りをするプレイヤーに向けた発言とみられる。同シリーズでは基本的にキルまでの時間(Time to Kill・TTK)が短く、テンポよくシンプルに試合が展開されるゲームバランスが特徴となってきた。さまざまなルールがあるものの、2チームでキル数を競うチームデスマッチが主流。直観的な戦略で単独行動などをおこなっても、エイムや位置取りが良ければ活躍しやすいルールといえる。

一方shroud氏には、『THE FINALS』ではそうした作品で培った戦略が通用しないとの見解があるようだ。『THE FINALS』ではランクトーナメントの決勝を除き、3チーム~4チームが入り乱れる混戦となる。また本作には3タイプのキャラクターが存在し、それぞれ役割が違うため能力・装備の使いどころやチームでの連携もより重要だ。そのうえマップは壁などの破壊が可能。複雑なマップにて金庫の争奪戦を繰り広げ、最終的にはキャッシュ量が勝敗を分けるため、相手のキルだけを考えて勝つことは難しいだろう。


そうしたゲームシステムの違いからか、shroud氏は上記の発言に続けて類似したシステムのゲームを遊んだことのないプレイヤーは『THE FINALS』のゲームバランスに混乱しうるとの考えを示している。シンプルかつ気軽に遊べる『CoD』と違って、『THE FINALS』では勝つために複雑な戦略や連携を考える必要があるといった見解のようだ。

ただしshroud氏は本作がリリースされたばかりである点にも言及。プレイヤーベースの成熟にはまだ時間が必要だとしており、一連の発言には同氏が“CoD brain”とするプレイヤーを突き放す意図はないようだ。あくまでゲームの特徴の違いにより、プレイヤーごとのルール順応のペースに差が生じている可能性を指摘する考えとみられる。


キルだけでは勝てない

なお一連の発言はユーザーによるクリップとして1月7日にTikTokに投じられ、海外メディアThe Loadoutなどが報じるかたちとなった。海外掲示板Redditの本作コミュニティでも拡散され、shroud氏の意見自体にはユーザーからの支持も集まっている。なおRedditでは別のスレッドでも、ユーザーが「何も考えずにキルを狙うプレイヤーが多い」といった見解を投じ、共感が寄せられている。本作にてチームメイトがキル数にこだわって勝利を逃したといったもどかしい経験をもつプレイヤーは一定数いるようだ。


『THE FINALS』はアートスタイルやトレイラーなどからカジュアルさもアピールされており、普段戦略性やチームプレイ重視のシューター作品を遊ばないユーザーも多く参入しているかもしれない。本作にはそうしたプレイヤーでもカジュアルに楽しめる面もある一方で、連携やキャッシュ獲得に重きを置く戦略性には理解できるまでのハードルの高さもあるのだろう。

ただし本作は先月12月8日にリリースされたばかり。今後サービスが続くなかでプレイヤーベースの実力も成長し、戦略性の理解も深まっていくことだろう。現状ではゲームシステムへの理解の差から、コミュニティにおいても“『CoD』のように戦うプレイヤー”が多いといった意見も見られるものの、今後そうした印象も変化していくかもしれない。

『THE FINALS』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに、基本プレイ無料で配信中だ。