Twitchにて配信画面上で“ヌードっぽく”見せる手法に待ったがかかる。服を着てても隠して裸っぽくするのはダメ
Twitchは1月4日、同社の運営する配信プラットフォームのコミュニティガイドラインを改正。変更がなされたのは「デリケートなコンテンツ」における「服装」の項目で、ヌードでないのにヌードであるかのように見せることについて新たに制限が明確化されている。
Twitch運営元はコミュニティガイドラインを制定し、Twitchのサービスで許容される行為と許容されない行為の枠組みを定めている。これらはTwitch上のあらゆるコンテンツに適用されており、このガイドラインに違反したユーザーが発見された場合、コンテンツの削除、警告、アカウントの利用停止などのペナルティ措置がとられる。一方、成人向けコンテンツなどのすべての視聴者向けではないコンテンツやトピックであっても、コンテンツ分類ラベルを付けることで配信可能な範囲も設けられている。
今回1月4日におこなわれた改正ではコミュニティガイドライン上でセクシー配信の規制が一部強化される変更がなされている。今回対象となったのはコミュニティガイドラインの「デリケートなコンテンツ」における「服装」の項目だ。従来の同項目では標準ガイドラインとして「ストリーマーが全裸になることや部分的に裸になること(性器や臀部の露出など)」が禁じられていた。今回の改正ではさらに「胸や性器を検閲バーなどで隠したりして、完全または部分的にヌードであると示唆・暗示すること」が禁止される表現の例として明記されることになった。
なおTwitchはガイドラインについて、昨年12月に「性的なコンテンツ」に関するポリシーの改正を複数回おこなっていた。改正の景には以前よりコミュニティガイドラインとコンテンツ分類ラベルのふたつのポリシーが存在する煩雑さから混乱を招いており、改正を求める声が多かったことがあるようだ。そのため12月14日には、コミュニティガイドラインとコンテンツ分類ラベルのふたつのポリシー上にあった酷似した文言について修正。またTwitch内で性的なテーマをコンテンツとしたいわゆるセクシー配信の棲み分けが強化された。一方でコンテンツ分類ラベルを付けていれば「完全着衣の状態でも胸部・臀部・腰回りを意図的に強調するコンテンツ」の配信が新たに許されることになり、セクシー配信の実質的な緩和もおこなわれた(関連記事)。
しかしセクシー配信について「完全着衣の状態かつコンテンツ分類ラベル付き」であれば許されることが明確化されたことからか、問題視されるような配信も増加していたようだ。「implied nudity(暗示的ヌード)」と呼ばれるその手法は、ちゃんと服を着て分類ラベルを設定したうえで、黒いバーやアイテム、カメラの位置の調整によって、あたかもヌードであるように見せるというもの。この手法では服を着用しているため、ポリシーを遵守しつつ、画面上ではヌード配信をしているように見せられる、というわけだ。
今回の改正はその「implied nudity」を規制する狙いがあるという。Twitch側では「implied nudity」とされる配信のサムネイルがTwitchでの体験の妨げになると判断されたそうだ。
またTwitchでは、今後もコンテンツ分類ラベルについてさらなる調整をおこなわれていくことが伝えられている。性的なテーマがラベル付けされたコンテンツのサムネイルをぼかす機能や、ユーザー設定でコンテンツ分類ラベル付きのコンテンツを好みに基づいてフィルタリングできる機能が検討されているとのこと。またポリシーの明確性の向上についても引き続き目標として掲げられているとのことだ。
なおTwitchでは12月14日のコミュニティガイドライン改正直後に「ヌード表現のアート」について新たな規制が設けられていた。12月16日の改正ではヌードを含むコンテンツがリアル・フィクション問わずに配信禁止になった(関連記事)。たとえばヌードが描かれたデジタルの制作物では、リアルな画像を生成可能なAIを利用することにより、写真との区別が困難になる点が懸念されたことなどが理由として挙げられていた。今回の改正も含め、性的なテーマの配信についてはガイドライン改正後に“抜け道”的に不適切なコンテンツが増加する状況もあり、都度さらなる改正をおこなって対処が進められているようだ。