『スーパーマリオ64』スター0枚RTAを「目隠し」でクリアしたプレイヤー現る。見えていても難しい“ケツワープ”ステージ飛ばしを成功させ、世界初の記録達成
スピードラン走者のBubzia氏は12月19日、『スーパーマリオ64』のスピードランにおいて「目隠し0 Star」レギュレーションを21分22秒で完走し、初めて目隠し0 Starのスピードランを完走したプレイヤーとなった。
Speedrun(スピードラン)とは、日本ではRTA(リアルタイムアタック)とも呼ばれる、ゲームクリアなどの目標を達成するまでの時間を競う競技だ。スピードランの対象であるゲームのレギュレーション、世界記録ランキングなどはSpeedrun.comなどの集計サイトで確認することができる。
今回完走されたのは「0 Star」と呼ばれる、『スーパーマリオ64』に登場するスターを一切集めずクリアするレギュレーションだ。Bubzia氏はこれに「ゲームプレイ中は目隠しをする」というルールを加えスピードランを走っている。
この目隠し(Blindfolded)スピードランは、『スーパーマリオ64』の拡張レギュレーションとしてSpeedrun.comにてリーダーボードが作成されている。目隠しでのレギュレーションは、0 Star・1 Star・16 Star・31 Star・50 Star・70 Star・120 Starの計7つ存在。Bubzia氏は0 Starを除くすべての目隠しレギュレーションをすでに完走しており、また今年11月に目隠し1 Starの記録を15分台まで更新して、6つのレギュレーションの世界記録保持者となっていた(関連記事)。
Bubzia氏は目隠し1 Starの記録を更新した際、X上で目隠し0 Starの達成に意欲を示す投稿をおこなっていた。同氏はYouTubeやTwitchでスピードランの配信をしており、目隠し0 Starの配信も11月初頭から続けていた。
その記録達成に対して立ちはだかっていた壁が「DDD skip」だ。これは「Dire, Dire Docks(日本語版ではウォーターランド)」をスキップし、その奥に存在する「ほのおのうみのクッパ」へ突入するというテクニックだ。
本作では開放にスターが30枚必要な扉の先に「ウォーターランド」に突入する青い壁がある。壁に入ってステージ内のスター「クッパのせんすいかん」をクリアすると壁が後退、初めて「ほのおのうみのクッパ」に進めるようになる。
しかし0 Starではスターを取得しないため、この部分をBackwards Long Jump(BLJ)、いわゆる“ケツワープ”で抜けることになる。BLJとは、壁や段差といった場所に向かって後ろ幅跳びを連続でおこない、マリオに後ろ向きの加速度を溜めることでとんでもない速度で移動できるテクニック。扉をすり抜けて本来進行できないステージなどに入ることも可能となる。
そしてDDD Skipにおいては、特殊なBLJをおこなう必要がある。このBLJは扉付近にある階段上で、階段に対して水平におこなうためSideBLJと呼ばれており、角度や場所の緻密な調整が必要とされている(関連記事)。
さらに、壁を抜けるためには柱近くの壁を背に幅跳びすることで速度を溜めてある程度の速度を確保しなければならない。しかし、このとき過剰な速度になると逆に速度が0になってしまうのだ。こうした微調整は通常は画面を見つつおこなうが、Bubzia氏は目隠しで成功させなければならないわけだ。
以前より0 Starへの挑戦をおこなっていたBubzia氏は、ひと月ほどこの地帯に苦戦していた。今回の挑戦で同氏は動画時間3分頃からDDD skipに取り掛かっている。そして約7分後、ついに“ウォーターランド越え”を達成。目隠しをしているため、Bubzia氏はすぐに状況を把握できなかったが、事態を確信。確実に「ほのおのうみのクッパ」に向かうため、念入りに場所を調整し突入した。
その後のプレイでは記録がかかった緊張のためか、「ほのおのうみのクッパ」でマグマを余分に踏んでしまったり、「てんくうのたたかい!」のクッパ戦で何度かミスをしてしまったりする場面が見られたものの、最終的には無事クリア。21分22秒という記録で、前人未到の「目隠し0 Star」を達成。全目隠しレギュレーションの世界記録を保持することとなった。Bubzia氏は記録達成後、X上で計21日におよぶ挑戦が実を結んだことを喜び、ファンへの感謝の気持ちを投稿した。
今回、目隠ししていなくとも難しいテクニックを見事に成功させ、目隠し0 Starを達成したBubzia氏。ちなみに同氏はSpeedrun.com上では、目隠しスピードランの「120 Star」レギュレーションにおける唯一の記録保持者でもある(関連記事)。Bubzia氏はこれまでにもさまざまな作品で目隠しスピードランを達成してきた熟練目隠しスピードランナーであり、今後のさらなる挑戦も注目されるところだろう。