パブリッシャーのMytona Fntasticは12月8日、『The Day Before』の早期アクセス配信を開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)。Steamユーザーレビューには不評が寄せられており、ステータス「圧倒的に不評」を記録。波乱の幕開けとなっている。
『The Day Before』は、パンデミック後のアメリカ東海岸を舞台とするオープンワールドサバイバルMMOと謳われている。本作の世界には、血肉に飢えた感染者が徘徊しており、生存者たちはウッドベリーと呼ばれる安全なコロニーを構築している。本作にてプレイヤーはコロニーの新たな住民となり、生存者コミュニティの再建に取り組んでいく。
本作は2021年1月に発表され、Steam DBにおけるSteamウィッシュリスト登録者数で1位になるなど多くの注目を集めてきた。一方で発売延期が繰り返され、先月11月には早期アクセス配信を通じた開発方針に変更されたうえで発売はさらに延期。今回、早期アクセスとしてついに配信開始に至った。
本稿執筆時点で本作のSteamユーザーレビューにはさっそく5000件以上が寄せられているものの、好評率は13%にとどまる「圧倒的に不評」ステータス。波乱の幕開けとなった。ユーザーからはサーバーがどこも満員でそもそもゲームを開始することさえ難しい点が指摘されている。また最適化不足・不具合の多さによってゲーム中にクラッシュが多発する点のほか、サーバーの不安定さからラグが大きくPvPだけでなくゾンビ相手のPvEも快適に遊べないとして批判が寄せられている。なおSteamDBで確認できるピーク時の同時接続プレイヤー数は3万8000人で、本稿執筆時点では約1万3000人となっている。
そのほか脱出地点が少ないため待ち伏せを受けやすい、ゾンビが少ないといった点をゲームバランスの悪さとして課題視する意見も見られる。また「MMO」と標榜されていた本作ながら、実際のゲームプレイが脱出型PvPvEシューターとなっている点に不満も生じているようだ。またそうした状態でありながら、39.99米ドル(国内向けには4500円)と早期アクセスとしては強気の値段設定である点も指摘されている。
公式Discordサーバーにも批判や不満が数多く寄せられ、モデレーターはgeneral(総合)チャンネルを一時的に閉鎖すると表明。管理が困難なほど攻撃的なメッセージが寄せられており鎮静化が必要な点や、そのなかから不具合報告を開発チームに伝える必要がある点が理由として説明された。またモデレーターは不具合を修正するパッチを準備中であるとも伝えていた。結果として約2時間にわたりチャンネルは閉鎖されることになったが、本稿執筆時点では再開されている。
本作は開発状況にユーザーから不信感を抱かれることも少なくなかった。たとえば、本格的なゲームプレイ映像がなかなか公開されず、公開されても物足りない内容だったり、あるいは開発を“ボランティア”に頼っていることが明らかになったりといった過去もあった。また「The Day Before」の商標が他者に先行取得されたことで、Steamストアページが削除されるというドタバタも見られた。こうした背景もあり、発売直前にはMytona Fntasticが声明を発表。本作の映像公開などのマーケティングは良いやり方ではなかったといった反省のほか、本作が詐欺的な作品であるいった指摘について事実ではないと否定していた(関連記事)。
そうして早期アクセス配信開始された本作ながら、現状では多くの課題を抱えた状態でのスタートとなったようだ。ユーザーからは不評が多く投じられており、今後の改善が期待されるところだろう。先述の公式Discordサーバーではモデレーターがユーザーに対し、本作にはユーザーからのサポートを必要であるとしており、ゲームに不満がある場合はSteamの返金システムを利用するか辛抱強く改善を待ってほしいと伝えている。なお本作の早期アクセス配信期間は未定であり、可能な限り最高の状態だと確信をもてたときに正式リリースされるとのことだ。