高評価ローグライクTPS『Returnal』ディレクター、開発元Housemarqueを退職へ。14年にわたり老舗硬派スタジオの開発を牽引し続けた人物
フィンランドのゲームスタジオHousemarqueは11月20日、Harry Krueger氏が同スタジオを退社することを発表した。Krueger氏は同スタジオで14年間勤め、ディレクターとして開発を手がけた代表作に『Returnal』『Nex Machina』などがある。
Harry Krueger氏は2009年よりプログラマーとしてHousemarqueに入社。リードプログラマーを経て2014年にはゲームディレクターとなり、同スタジオのさまざまな作品を手がけた。
同氏がディレクターを務めた作品には『RESOGUN』『Nex Machina』といった、Housemarqueの得意とするアーケードライクなタイトルがある。しかし同スタジオはそうした作品が高い評価を受けていることを認識しつつも、かならずしも売上に結びつかなかったと説明。2017年に「Arcade is Dead」と宣言し、アーケードライクな作品路線からの転換を発表した。
その後Housemarqueは2021年4月にローグライクTPS『Returnal』をリリース。同作のディレクターもKrueger氏が務めている。『Returnal』は海外レビュー集積サイトMetacriticによるとPS5版でメタスコア86を記録している。Steamユーザーレビューでも本稿執筆時点で3212件中81%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。また同作の成功もあってか、2021年6月にスタジオはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)により買収(関連記事)。PlayStation Studiosの一員となった。
そうして数々の作品を手がけたHarry Krueger氏がこのたびHousemarqueを退社することとなった。退社理由は発表内容からは明かされていないが、前に進むための決断とされている。Krueger氏はまず同スタジオに勤めた14年を振り返り「信じられないほどの幸運に恵まれ、夢のようなプロジェクトに相次いで携わることができた」と述べた。またスタジオ作品がアーケードライクな小規模作品から始まり、『Returnal』で大きな高みに上り詰めるまでのスタジオの成長を見てきたことを「光栄に思う」と綴っている。
Krueger氏はさらに退社にあたっては「非常に難しい決断だった」としつつも「スタジオに対する過去への感謝と未来への期待を胸にHousemarqueを去る」と前向きな決意を表明した。また同スタジオの今後については新たなプロジェクトが進行中だそうで、SIEとPlayStation Studiosのサポートのもとで開発中のようだ。同氏は、新作を皮切りに同スタジオはこれまで以上に飛躍するだろうといった期待もあらわにしている。
なおHousemarqueのゼネラルマネージャーであるIlari Kuittinen氏はKrueger氏について、「Krueger氏の情熱とディレクションは、スタジオが今の規模に成長するために欠かせないものだった」と影響の大きさを振り返った。特に『Returnal』についてIlari氏は「アーケードの再生」であったとも評しており、Krueger氏が果たしたスタジオへの功績を示している。
Krueger氏がHousemarqueを去ったあとの予定は現時点で明かされておらず、ゲーム開発にふたたび携わるかどうかも注目されるところだろう。また発表にて触れられた、同スタジオの新プロジェクトについても続報を期待したい。
『Returnal』はPS5/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売中だ。