『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』、米大学の「機械設計コース」に採用される。学生殺到、成績は水陸両用乗り物レースで決定

 
Image Credit: Ryan D. Sochol on YouTube

アメリカ・メリーランド大学にて今秋、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を使った機械工学コースが開設された。同作のビルド要素の学習利用として注目を集めている。国内ではインサイドが伝えている。

Image Credit: Ryan D. Sochol on YouTube


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーゲームだ。本作では、リンクの右手に宿る「ウルトラハンド」の能力によって物体やゾナウギアを組み合わせ、さまざまなものをビルドできる。その自由度は高く、制作物は国内外問わずSNSなどで日夜共有されている。海外掲示板Redditでは本作での工作物の共有専用コミュニティ「r/HyruleEngineering」などで盛んに披露されている(関連記事)。

そうした本作のビルド要素が、大学の工学部におけるコースの題材として採用されたという。米メリーランド大学のA.ジェームズクラーク工学部において、「The Legend of Zelda: A Link to Machine Design」として今秋より開設されている。

同コースでは、本作ビルド要素を使って3つの段階に分けて学習を進めていくという。本コースを受講する学生たちには学期の間、Nintendo Switch・本作ソフト・Proコントローラーが貸し出される。まずは本作の基礎に慣れ、ビルド素材について知る段階として、ゲーム内で“問題解決”に取り組むことになるという。上述のコース紹介動画では、各地の祠に挑戦する学生たちが映し出されている。祠チャレンジはチュートリアル的な設計も盛り込まれているほか、一部かなり問題解決能力や独創性を求められる場合もあり、そのままで学習の題材にうってつけかもしれない。

そして次の段階では、学生たちはゾナウギアといったビルド構成パーツについて調査。その出力や馬力といった特性を調べ、報告することになるそうだ。そしてコースの締めくくりとなるのが「生体を模倣した水陸両用の変形ビークル」の構築だという。そうしたビークルを使い、ゲーム内レースでクラス内最速を記録した生徒が「A+」評価を獲得するのだという。

Image Credit: Ryan D. Sochol on YouTube


「The Legend of Zelda: A Link to Machine Design」を担当するのは、同大学准教授のRyan D. Sochol氏だ。Sochol氏は大学プレスリリースにて、同コースを開設した背景を語っている。同氏は、 自身が『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を遊んでいる際に「信じられないほど自分の工学的知識に頼っている」ことに気づいたという。同作の“CADアセンブリーインターフェイス(ウルトラハンド)”や豊富なギア、そして洗練された物理演算に触れたことで、学生たちのスキルを育てるユニークな体験となると感じたという。

なお、Sochol氏は動画の中ではノリノリでマスターソードとハイリアの盾を装備して登場しており、ずいぶん楽しげな印象だ。Redditでの「本作にハマりすぎてやめられないからコース化したのでは」との声に、同氏は「否定も肯定もできない」と回答している。なお、同コースには受講希望者も殺到。クラス最大人数の2倍以上の待ちが出ている状態だという。こうした人気を受けて、Sochol氏は当面の間、毎学期同コースを実施する計画とのことだ。