「キングコング」の新作ゲーム、品質が低いとして物議醸す。雑演出多めカットシーンや単調ゲームプレイへの批判が反響呼ぶ

 

パブリッシャーのGameMill Entertainmentは10月17日、IguanaBeeが手がける『Skull Island: Rise of Kong』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)/Xbox One/Xbox Series X|Sおよび海外Nintendo Switch/PS4/PS5。

『Skull Island: Rise of Kong』は、三人称視点のアクションアドベンチャーゲームだ。映画「キングコング」を題材にしているといい、前日譚「Kong: King of Skull Island」などに登場したSkull Island(髑髏島)が舞台となる。本作で主人公コングは、幼き日に肉食恐竜「Gaw」によって両親を殺されてしまう。その後過酷な島で生き延びて成長を果たしたコングは、復讐に燃えていた。コングはGawを倒し髑髏島の王として君臨するため、島を冒険することとなる。

昨日10月17日に発売されたばかりの本作ながら、低品質であるとして早くも批判や注目が寄せられている状況にある。Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で11件中好評率27%の「やや不評」ステータス。またSNS上でも物議を醸しており、特に注目を集めているのは本作のカットシーンだ。たとえばXユーザーのRick氏が「実際のカットシーン」として紹介した下記の投稿は、8600RT・6.3万いいねが寄せられ反響を呼んでいる。

https://twitter.com/RickDaSquirrel/status/1714014780346806395

Rick氏が投じたのは、本作中盤におけるとあるボス戦時のカットシーン。コングがボスとして立ちはだかる、3体の恐竜を撃破した直後の場面だ。仲間を倒された恐竜が、怒りからかコングに吠えかかっている。この瞬間、コングの脳内ではGawに両親を殺された過去がフラッシュバック。宿敵と同じような行動をとる自分に気づき、迷いを振り払うように暴れ回る、といったシーンである。

シリアスな展開ながら、単調なキャラのモーションやカメラワーク、演出などからはチープな印象を受けてしまう。中でも過去がフラッシュバックするシーンでは、Gawが両親を殺した場面が一枚の画像として唐突に表示。またなぜか画像は画面よりも小さく、余白部分には風景が映り込んでいる。画像の不自然な余白のほか、そもそも一枚の画像を映すだけで説明不足な点など、粗の目立つカットシーンといえる。

Rick氏はこのほかにもゲーム中のさまざまなシーンを紹介し、いずれも品質の低さから注目を集めている。上記のほかのカットシーンでもモーションがチープだったり、カメラワークやシーン間の繋ぎが不自然だったりと、迫力に欠ける出来だ。

https://twitter.com/RickDaSquirrel/status/1714004747848405465

また本作はゲームプレイについても批判を受けている。本作は三人称視点のアクションゲームとして展開。通常攻撃と強攻撃のほか、回避・パリィをしたり岩を投げたりといったアクションも用意されている。しかし基本的には、どの敵にも通常攻撃3回から強攻撃に繋げるコンボを繰り出し続ける戦闘になる様子。画面左上のゲージを溜めることで発動できる「Primal Rage」なる強化状態もあるものの、攻撃方法が変化することはないようだ。

また本作にはスキルツリーでの成長要素もあるが、攻撃力や攻撃速度の強化が中心。新たな攻撃方法などは獲得できないと見られ、通常攻撃3回と強攻撃のコンボを使い続けることになる。なお本作のボリュームは3時間程度になるようで、YouTube上にはクリアまでのゲームプレイ映像も投稿されている。

発売直後からゲーム内容が低品質であるとして批判が寄せられている本作。グラフィックだけでなく、カットシーンの演出やゲームシステムにも粗が目立っている。また本作は先述のとおり映画「キングコング」のIPのもとで作られたタイトルだ。人気IPを題材にしたゲームを、低い品質のままで発売したという点も批判されている。また本作は日本円では4500円ほどで販売されており、ゲームのボリュームや品質に比して強気の値段設定だ。IPの人気を利用して売りつけるようなかたちになっている点にも批判は生じている。

なお同じく人気IPを題材とするゲームとして、今年5月に発売された『The Lord of the Rings: Gollum』が引き合いに出される様子も見られる。同作は映画「ロード・オブ・ザ・リング」を題材とする作品だ。描かれた世界観については高く評価する声もあったものの、プレイヤーからは最適化不足による低いパフォーマンスやバグ、ビジュアル品質の低さなどが指摘された。開発元のDaedalic Entertainmentはユーザーに対して発売翌日に謝罪。また同作の不振もあってか、今後同スタジオはゲーム開発事業から撤退し、パブリッシングに専念することも明かされている(関連記事1関連記事2)。

ゲームが課題を抱えたまま発売される場合にはさまざまな要因が考えられる。中には当初の計画どおりに開発が進まなかったといったケースもあるだろう。そして特に人気IPをもとにしたゲームでは発売前に注目が集まりやすいこともあり、品質の低さに厳しい目が向けられる傾向があるようだ。とはいえ、ゲームの品質についての可否は、プレイした人でなければわからないことも留意しておきたい。