Unity騒動で「『Cult of the Lamb』を販売停止する」と伝えた開発元が「あれは冗談だった」と改めて告知。大型アプデも引き続き開発中
デベロッパーのMassive Monsterは9月16日、Unityの新料金システム「Unity Runtime Fee」を巡った「『Cult of the Lamb』の販売をやめる」との発言について、公式Tiktokチャンネルを通じてコメント。同発言は冗談であったと伝え、販売停止を否定した。
ゲームエンジン「Unity」を巡っては、先日より新料金システムを巡った騒動が勃発している。同エンジンを手がけるUnity Technologiesは9月12日、ゲームのインストール数を基準とする新料金システム「Unity Runtime Fee」を発表。その方針や内容について、開発者らを中心とした批判が数多く寄せられていた。Unityを利用した人気ゲーム作品の開発元なども反発を示しており、『Cult of the Lamb』の開発元Massive Monsterもそのひとつだった(関連記事)。
『Cult of the Lamb』は、カルト教団の運営とローグライトアクションを組み合わせた作品だ。本作はリリース後1週間で売上100万本を突破。Steamでは本稿執筆時点で約4万2000件のユーザーレビューが寄せられ、うち93%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している人気作である。そんな同作を手がけるMassive Monsterは9月13日に、同作公式Xアカウントを通じて「来年1月1日にゲームを販売停止する」として今のうちに購入するよう呼びかけたのだ。この投稿は、Unityの新料金システムについて反応するかたちだった。
上述の販売停止宣言を、各メディアが報道した。しかし、『Cult of the Lamb』公式Xアカウントは9月14日、同作の販売停止宣言が冗談だったことを示唆するコメントを投稿。「羊とアングリーバードが熱烈なディープキスを交わす画像」を添えて(かなりインパクトのある画像のため閲覧の際は注意してほしい)「うちの発言を真に受けるようなメディアは、この画像見たことないんだろうな」とした。つまり、常に冗談ばかり投稿しているような同アカウントの発言を真に受けるな、との意図だろう。
そして9月16日に同作公式Tiktokアカウントにて、改めて「ゲームを販売停止することはない」との方針が強調されることとなった。上述の動画では、販売停止を明確に否定。「メディアがセンセーショナルに書き立てた」としている。また、一部メディアについては「すでに同作が販売停止された」とまで伝えていたとされており、開発元は「それはうちも知らなかった」と揶揄している。
というのも、開発元Massive Monsterおよび同作はかなり際どいジョークなどをSNSで発信することで知られている。突然の販売停止発言は、たしかに眉唾ものではあったわけだ。一方で、Massive Monsterも販売元Devolver Digitalも、エキセントリックな言動で知られる企業である。したがって、「本当に突然販売停止」という急な舵取りには一定のリアリティもあった。
また別の背景としては、Massive Monsterが一連の騒動において、率先して痛烈にUnityを批判。反発の旗振り役ともいえる立ち位置にあったこともあげられるだろう。同スタジオは9月13日には、スタジオ公式Xアカウントを通じてUnityの新料金システムを批判する声明を投稿。「くっせえやり方をやめろ」といった言葉とともに、Unityを大便に例えるという苛烈な表現をぶつけていた。ここまで厳しい反意を示したMassive Monsterが販売停止を宣言すれば、一定の信ぴょう性は生じるだろう。
いずれにせよ、今回のTiktok投稿により『Cult of the Lamb』販売停止の可能性は改めて否定された。また同投稿では、開発スタッフは引き続き新大型アップデートに取り組んでいる最中とのこと。また、新要素のティザーとして「虹色のうんこをするカエル」のアニメーションがお披露目されているが、こちらもどこまでが本気かは判断しかねる。
なお、Unityについては、一連の騒動を受けて「料金システムを緩和するかどうか」といった会議が内部でもたれているとの報道がある(関連記事)。今後Unityがどのような方針を示すのか、引き続き注目される。