空登りイライラアクション『Only Up!』“まもなく”配信終了へ。開発者にとって失敗だらけかつ多大なストレスになる作品だったため
SCKR Gamesは9月7日、『Only Up!』を配信終了すると発表した。本作は本稿執筆時点ではPC(Steam)向けに配信中であり、まもなく(soon)配信終了となる。開発者いわく、個人開発の本作では数多くの失敗があり、発売後の対応に多大なストレスを抱えていたという。
『Only Up!』は、空へと伸びる構造物を上へ上へと登る3Dアクションゲームだ。主人公のジャッキーは、貧困から抜け出し、世界と自分自身を知る旅に出ようと、スラム街の上空にそびえる構造物を登る。構造物には、さまざまなオブジェクトや施設などが雑然と存在し、それらが組み合わさるようにして空に浮かんでおり、不思議な光景となっている。プレイヤーは、足を踏み外して落下しないよう慎重に歩みを進めていくこととなる。
本作は今年5月25日にSteamにて配信開始。その後6月に入ってから、本作をプレイする実況配信者が急増し、Twitchなどでの人気配信タイトルのひとつとなった(関連記事)。そうした配信人気もあってか、6月中旬以降には本作のプレイヤー数も右肩上がりに増加。同時接続プレイヤー数は、これまでのピーク時には9000人を超えている(SteamDB)。“壺おじ”こと『Getting Over It with Bennett Foddy』を彷彿とさせる、シンプルながらつい熱中してしまうイライラ系アクションとして人気のようだ。
今回、開発元SCKR GamesはSteamの本作公式ニュースに声明を投稿。本作をまもなく(soon)配信停止することを表明した。本作はSCKR Gamesが初めて手がけた個人開発タイトルであり、数多くの失敗があったという。この数か月間、開発者は大きなストレスに苛まれてきたといい、ゲームを過去のものにしたい(I want to put the game behind me)と決断。まもなく本作は配信停止となるそうだ。
なお現在SCKR Gamesは『Kith』という新作を手がけており、今後はこちらに注力するという。同作はリアリズムや映画的表現に重きが置かれており、『Only Up!』とはまったく異なるジャンルや設定、コンセプトで作られているそうだ。開発も個人ではなく、少人数のチームで制作したいと明かされている。
ちなみ『Only Up!』は6月30日頃にSteamから突如ストアページが一時削除され、購入不可の状態となっていた(関連記事)。この直前には、アーティストのAboulicious氏がX上で、自身が手がけ配布している商用利用禁止の3Dモデルのアセットが、『Only Up!』のゲーム内に含まれているようだと指摘していた。この指摘ツイートに対し開発元が返信。Aboulicious氏に謝罪するとともに、なぜ同氏の3Dモデルがゲーム内に実装されることになったのか確認するとした。
その後、問題のスクリーンショットはSteamの本作のストアページから削除されたが、間もなくストアページ自体が削除され販売停止されることとなった。開発元が自ら取り下げたのか、あるいは著作権侵害を確認したValveが削除したのかは不明である。ただ結果的に本作は、Steamからストアページが削除されてから約6時間後に、ふたたびストアページが公開され販売も再開された。本件について開発元からの説明はなかったが、おそらく無断使用が確認されたアセットをゲーム内から削除する対応が完了し、販売が再開されたのだろう。
ほかにも本作には、3Dモデルや音声など権利関係に懸念がありそうなさまざまな素材の存在が、一部ユーザーより指摘されていた。またバグの多さなどから、ユーザーレビューの評価もいまひとつ伸び悩んでいる状況にあった。そうしたさまざまな課題を抱えていたこともあり、販売を終了してサポートを打ち切り、新たなプロジェクトに注力する決断が取られるかたちかもしれない。
『Only Up!』は、本稿執筆時点ではPC(Steam)向けに配信中だ。まもなく配信終了となる見込み。