『スターフィールド』をNVIDIA・DLSSに対応させる非公式Modが人気沸騰。“有料版”が開発されるもその“海賊版”が出回る混乱に

『スターフィールド(Starfield)』では、現時点で超解像技術としてAMDのFSRのみに対応している。そんな中で、本作をNVIDIAのDLSSに対応させる非公式Modがさっそく登場して人気を博している。

スターフィールド(Starfield)』では、現時点で超解像技術としてAMDのFSRのみに対応している。そんな中で、本作をNVIDIAのDLSSに対応させる非公式Modがさっそく登場して人気を博している。一方、同Modの作者が実質的に有料配布している「DLSS 3」対応Modの存在が一部ユーザー間に物議を醸しているようだ。


『スターフィールド』は、『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズの開発で知られるBethesda Game Studiosが手がけるRPGだ。本作では人類が太陽系外に進出している2330年の世界を舞台に、プレイヤーは希少なアーティファクトを求める宇宙探検家集団コンステレーションの一員として、広大な宇宙の星々を冒険する。

プレイヤーキャラクターではカスタマイズ要素が充実。人物のバックグラウンドも設定できるほか、スキルによる強化も可能となっている。また本作には100以上の星系に1000以上の惑星が存在。プレイヤーは宇宙船に搭乗し、ほぼすべての惑星を探索可能だ。宇宙船にもさまざまなタイプが存在し、カスタマイズ・アップグレードすることができる。

本作はいわゆる超解像技術として、現時点ではAMDが手がけるFSR(FidelityFX Super Resolution)のみに対応している。超解像技術は設定などで機能を有効にすると、低解像度でゲーム画面がレンダリングされ、独自アルゴリズムによってグラフィックがアップスケールされる。これによりGPUの負荷を抑えながら高画質を得られるとされ、同時にフレームレートの向上も見込めるという技術だ。GPUを手がける大手半導体メーカーはそれぞれ超解像技術を開発しており、AMDはFSRを、NVIDIAはDLSSを、IntelはXeSSを提供している。


FSRは一部を除くNVIDIA製グラフィックボード(GPU)などでも特に支障なく利用できるものの、環境に最適と見られる超解像技術を利用したいユーザーも一定数いるのだろう。そうした需要からか、さっそく本作をDLSS(DLSS 2)およびXeSSに対応させる非公式Mod「Starfield Upscaler」が登場。PureDark氏によりNexus Mods上で公開され、本稿執筆時点で約26万ダウンロードを記録。Nexus Modsの本作向けModの中でもっともダウンロード数を集める人気を博している。

そしてPureDark氏は、NVIDIA製グラフィックボードのうちRTX 40シリーズでのみ利用可能な最新技術DLSS 3に対応させるMod「Starfield Upscaler FG Build」を開発している。現在同Modはベータ版であり、同氏のPatreonのサブスクライブメンバーのみがDiscordチャンネルを通して入手可能となっている。

そのため「Starfield Upscaler FG Build」はいわば有料Modのような状態といえる。また同ModにはDRM(デジタル著作権管理)として複製による不正利用を防ぐ仕組みも導入されているという。ModがPatreonを通して実質的に有料販売されている状況は、一部ユーザーの反感を招いているようだ。さらにDRMを解除した、いわばModの“海賊版”が出回っていることも報告されている。

*PureDark氏は自分の所有物ではないIPや技術に関連するコンテンツをPatreonやDiscordを“隠れ蓑”に有料販売しているとして、同氏を批判する投稿


なおPureDark氏の「Starfield Upscaler FG Build」は現状ベータ版であり、テスト段階のバージョンを支援者限定に公開した後、一般公開される可能性もある点には留意したい。いずれにせよ、DLSSに対応するModが実質的に有料販売されている点に問題があるかどうかは、最終的には権利者側の判断となるかもしれない。ちなみにNexus Mods上では別の開発者により、本作をDLSS 3に対応させるMod「Starfield Frame Generation」が無料公開されている。

発売直後から超解像技術に関するModが注目される背景には『スターフィールド』がAMDとのパートナーシップを結んでいることがあるだろう。パートナーシップ発表時には、一部ユーザーから超解像技術がAMDのFSRに限定されるのではないかといった懸念が渦巻いていた。一方AMD側は、パートナーシップはBethesda Game Studiosが他社の超解像技術を採用することを妨げないと説明している。パートナーシップにおいては、開発元にFSRを優先するようにお願い(request)する側面もあるそうだが、基本的には要求(demand)ではないとのこと。「Bethesdaが『スターフィールド』のDLSSへの対応を望むなら、かならず承諾するし全面的にサポートをおこなう」と伝えられていた(関連記事)。

つまり本作が今後DLSSやXeSSに対応するかどうかはBethesda Game Studios次第であり、可能性はゼロではないわけだ。ただ少なくとも現時点では対応する予定については発表されておらず、先行きは不透明。それでも他社の超解像技術を使いたいという需要にあわせて非公式Modが作り出されている状況にある。今後ユーザーの要望を受けて、DLSSやXeSSへの公式対応が果たされるのかどうかも注目されるところだろう。

『Starfield(スターフィールド)』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに発売中だ。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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