宇宙RPG『Starfield(スターフィールド)』のNVIDIA・DLSS対応は“Bethesda次第”とAMD関係者が明かす。対応するなら全面サポートすると強調

 

Bethesda Softworksの新作RPG『Starfield(スターフィールド)』PC版では、半導体メーカーのAMDが独占パートナー(Exclusive PC Partner)となっていることが明かされている。今回、海外メディアThe Vergeのインタビューにて、AMDの関係者がいわゆる超解像技術について言及。AMD側は『Starfield』において、競合他社であるNVIDIAが手がけるDLSSへの対応を妨げてはいない、といった点を強調している。


『Starfield』は、『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズの開発で知られるBethesda Game Studios(以下、Bethesda)が手がけるRPGだ。PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに9月6日発売予定。Premium Edition以上のバージョンを予約購入すると最大5日間の先行プレイが可能となる見込みだ。本作では人類が太陽系外に進出している2330年の世界を舞台に、プレイヤーは希少なアーティファクトを求める宇宙探検家集団コンステレーションの一員として、広大な宇宙の星々を冒険する。

本作では、AMDが独占パートナーとして開発協力などをおこなっていることが明かされている(関連記事)。一方でパートナーシップ発表時には一部ユーザーからとある懸念が浮上。いわゆる超解像技術が、AMDの手がけるFidelityFX Super Resolution(FSR)に限定されるのではないかという懸念だ。

超解像技術に対応する作品では、設定などで機能を有効にすると、低解像度でゲーム画面がレンダリングされ、独自アルゴリズムによってグラフィックがアップスケールされる。これによりGPUの負荷を抑えながら高画質を得られるとされ、同時にフレームレートの向上も見込めるという技術だ。GPUを手がける大手半導体メーカーはそれぞれ超解像技術を開発しており、AMDはFSRを、NVIDIAはDLSSを、IntelはXeSSを提供している。


先述のパートナーシップ発表時には、『Starfield』がそうしたAMD以外の超解像技術に対応することなく、利用できる超解像技術がFSRに限定されるのではないかといった不安が一部ユーザー間に渦巻いていた。FSRは一部を除くNVIDIA製グラフィックボード(GPU)などでも特に支障なく利用できるものの、環境に最適と見られる超解像技術を利用したいユーザーも一定数いるのだろう。

今回、海外メディアThe Vergeが、AMDのFrank Azor氏にインタビューを実施。同氏はAMDのゲーミングソリューション/ゲームマーケティング部門にて企画立案チーフを務める人物だ。同氏によると、AMD側としては「Bethesdaが『Starfield』のDLSSへの対応を望むなら、かならず承諾するし全面的にサポートをおこなう」方針だという。

またAzor氏はAMDとゲーム開発元が結ぶパートナーシップの内容にも言及。パートナーシップにおいては、AMDの新たなGPUとゲームを提携販売するために、AMD側が開発元に金銭を支払っているという。その見返りとして、AMD側は開発元に超解像技術としてFSRを優先することを期待しているそうだ。ただし同氏いわく、FSRの優先は基本的に要求(demand)ではなくお願い(request)だといい、FSRの優先を開発元に強制しているわけではないとのこと。そのため先述のとおり、開発元がゲームを競合他社の超解像技術であるDLSSに対応させたい場合でも、かならず承諾するとしている。


一方でインタビューにおいてAzor氏は「Bethesdaに『Starfield』をDLSSに対応させる計画があるかどうか」に対して回答を控えていたという。同氏はインタビューでの回答によって、Bethesda側に何らかの義務を押し付けてしまうことがないように細心の注意を払いたいとも述べていたとのこと。インタビューにおいて明かされたのは、あくまでAMD側の方針のみとなるようだ。

なおAzor氏はインタビューにおいて「BethesdaがFSRを採用したのは(『Starfield』において)コンソールの機能を活用するためだ」と説明している。本作はAMDの開発者によるサポートを受け、FSR 2.0に向けて最適化されているという。FSR 2.0はXbox Series X|S向けにもサポートされており、同氏の発言を見るに『Starfield』はXbox Series X|S版でもFSR 2.0に対応するようだ。AMDとのパートナーシップにより、コンソールでのFSR 2.0の効果を最大限に引き出せるように開発する狙いもあったのだろう。


結局のところ、『Starfield』PC版がDLSS含む他社の超解像技術に対応するかどうかはあくまでも不明。今回のThe Vergeのインタビューでは、少なくともAMD側は、本作のDLSSへの対応を妨げない方針であることが強調されたかたちだ。

『Starfield』において登場するという広大なフィールドや都市を描き出す際には、負荷も大きくなるかもしれない。PC環境に応じた超解像技術を利用し、パフォーマンスを底上げしたいユーザーもいることだろう。『Starfield』の発売が迫るなか、今後Bethesda側からも他社の超解像技術に関する言及がおこなわれるかどうかは注目される。

『Starfield』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに9月6日発売予定。Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。また、Premium Edition以上のバージョンを予約購入すると最大5日間の先行プレイが可能。