フロム・ソフトウェアは8月25日、『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON（アーマード・コア6）』を発売した。対応プラットフォームはPC（Steam）/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S。序盤の鬼門となるボス「バルテウス」戦のとある演出が、プレイヤーたちの心をかき乱しているようだ。なお、本稿にはバルテウス戦直前におけるイベントの重大なネタバレなどが含まれるため、注意してほしい。
『アーマード・コア6』は、メカカスタマイズアクションゲーム『アーマード・コア』シリーズの最新作だ。舞台となるのは辺境の開発惑星ルビコン。この地ではかつて、謎の新物質コーラルが発見され、エネルギー資源として期待された。しかしコーラルは周辺星系をも巻き込む大災害「アイビスの火」を引き起こすことに。以来その宙域は厳重な監視下におかれ、封鎖惑星となったルビコンでは大災害を生き延びた人々がか細い生を繋いでいた。プレイヤーは強化人間「C4-621」として、戦闘メカ「アーマード・コア」に乗り、戦いに身を投じていくことになる。
バルテウスこと「特務無人機体バルテウス」は、そんな本作序盤Chapter 1終盤の山場として、プレイヤーたちの前に立ちふさがる強敵である。バルテウス登場ミッションでは、SG部隊をかいくぐった後に強敵スッラが操るACと激突。この時点で疲弊しているプレイヤーはさらにコーラルに飲まれ、ルビコニアンであるエアと邂逅。最後に待ち構えるバルテウスに、エアとともに立ち向かうことになる。しかしバルテウスは強敵。多くのプレイヤーがその前に散り、X（旧Twitter）では連日「バルテウス」がトレンド入りするほどだ（関連記事）。
そして、強敵バルテウスへの挑戦を繰り返す中で、一部プレイヤーがどうしても気になっている様子なのが「エアのため息」だ。プレイヤーがバルテウスに返り討ちにあうと、エアは字幕上「…」と一拍置いた後に、「残念です レイヴン」と落胆をあらわにする。その「…」の字幕部分で、エアはなんともいえぬため息を音声でつくのである。ため息に成分があるのなら、割合にすると悲しみが5割、落胆が3割、諦観が2割といったところだろうか。とにかく負けて申し訳ない気分になる絶妙なため息である。
そしてバルテウスは一筋縄にいく相手ではなく、プレイヤーは死亡回数をどんどん重ねていくことになる。するとプレイヤーは何度も何度も「エアのため息」を聞くことになる。エアを演じるのは、声優のファイルーズあい氏。アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の空条徐倫役や「チェンソーマン」のパワー役などで知られる人気声優だ。同氏の芯が強くも透き通った美しい声による「…はぁ…」という絶妙なニュアンスのため息が幾度となく再生されるわけである。ユーザーのなかには、延々とバルテウスに返り討ちにあったなかで「ため息」だけを集めてYouTube動画として公開している者もいる。
そしてX（旧Twitter）上では、いくら美しい声とはいえエアのため息の連続に心が折れそうなユーザーが、その辛さを共有する様子が見られる。「戦闘よりもため息が辛い」という声さえあり、その優れた表現力がかえって心に突き刺さる者も多いようだ。一方で、「ため息がいい」とする“適合者”も存在。「ASMRにしてほしい」といった要望も散見された。失望されることに喜びを見出す者もいる。ACのパイロットにはさまざまなタイプがいるのだ。
なお、参考として英語版の本作におけるエアは、さらにため息が露骨な印象だ（上述の動画、4分5秒時点）。こちらは成分でいうなら、失望が5、落胆が4、もしかすると少々イライラも入っているかもしれない。海外の本作プレイヤーたちも、バルテウスに撃破された後のため息と「I’m sorry, Raven.（残念です レイヴン）」はトラウマになっているようで、Redditなどで国内プレイヤー同様にその思いを共有しあっている。なお、英語版のエア（Ayre）の声を担当するのは、『原神』の英語版アルレッキーノ役などを担当しているErin Yvette氏だ。
演技の大きな目的のひとつは、作品に触れる人に情動をもたらすことだろう。そうした意味で、日・英におけるエアの心に刺さるため息は、珠玉の演技といえる。もちろん、「ため息」以外も、ほかのキャスト陣についても同様だ。
一方で、ため息を聴くのがどうしても辛くなったのなら「ため息をつかれる前にチェックポイントから再開する」「一時的にボイスをオフにする」といった手段もある。筆者の場合は、気を紛らわすために「同じタイミングで同じセリフをハモる」といった手段に出たが、特に効果はなかった。お困りの方は、弊誌攻略記事なども参照してほしい（関連記事）。
『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』はPC（Steam）/PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中だ。
※ The English version of this article is available here
