NVIDIAによる『Half-Life 2』レイトレ対応・超高精細化プロジェクト発表。Mod開発者が集結し、傑作を最先端グラフィック化

NVIDIAは8月23日、『Half-Life 2』向けのリマスターMod制作プロジェクト「Half-Life 2 RTX: An RTX Remix Project」を発表した。『Half-Life 2』のグラフィックを刷新し、フルレイトレーシングに対応させるModの制作プロジェクトだという。

NVIDIAは8月23日、『Half-Life 2』向けのリマスターMod制作プロジェクト「Half-Life 2 RTX: An RTX Remix Project」(以下、Half-Life 2 RTX)を発表した。『Half-Life 2』の3Dモデルやテクスチャが最新の技術で再構築されるほか、フルレイトレーシング機能により光の表現力も強化されるという。


『Half-Life 2』は、Valveが手がけたFPSゲーム『Half-Life』の続編だ。舞台となるのは前作から約15年が経過し、異世界ゼン(Xen)の生物が根付いた世界。コンバインと呼ばれる勢力が支配する、東欧の架空の都市シティ 17を中心に物語は展開される。そのなかで主人公のゴードン・フリーマン博士は、かつてブラック・メサ研究所時代の上司であったブリーン博士と対峙することになる。

このたび本作のリマスターMod制作プロジェクト「Half-Life 2 RTX」が発表された。同Modは、NVIDIAが提供するMod制作プラットフォーム「RTX Remix」にて制作されているという。制作においては同プラットフォームの機能が活用されているそうで、ゲーム内の各素材は物理ベースレンダリングにて再構築。ワールド内のテクスチャのピクセル数は平均して8倍に増加しているという。また3Dモデルもより詳細になるようで、ゴードン博士のH.E.V.スーツなどはオリジナルの20倍のジオメトリで構築されているという。

 

*本Mod導入前後の比較


さらに光の表現についてはフルレイトレーシング(パストレーシング)のサポートにより、リアルな影の描写や光の反射を実現しているそうだ。先述の物理ベースレンダリングとテクスチャ・モデルの詳細化も相まって、没入感や表現力が向上しているという。たとえばクライナー博士が飼うヘッドクラブの「ラマー」など、クリーチャーたちも生き生きと描かれているそうだ。また本Modは、いわゆる超解像技術であるDLSS 3にも対応しているという。


本Modを手がけるのはOrbifold Studios。『Half-Life』シリーズ作品のMod制作チームが結集したスタジオだ。「Half-Life 2: VR」「Half-Life 2: Remade Assets」「Project 17」「Raising the Bar: Redux」の4つのModの制作チームが参加しているとのこと。「Half-Life 2 RTX」は、実績あるMod制作チームが力を合わせ、RTX Remixを活用して制作されているかたちだ。現在開発初期段階とのことなので、続報に注目したい。

ちなみに本Modに先がけて、同じくValveが手がけた『Portal』向けにもRTX Remixにて再構築された無料DLC「Portal with RTX」が配信中(関連記事)。今回の発表によると、同DLCに向けてはDLSS 3.5に対応するアップグレードが今秋に実施予定だという。同アップグレードでは、レイトレーシングの表現力を強化する新機能「Ray Reconstruction」が導入予定。さらに最適化なども実施される見込みとのことだ。

「Portal with RTX」および「Half-Life 2 RTX」の制作の背景には、RTX Remix で実現可能な表現を例示するNVIDIAの狙いがあるという。Valveが手がけた傑作を再構築する両作の登場で、今後RTX RemixがMod制作プラットフォームとしてどのように成長を遂げていくのかも注目されそうだ。

「Half-Life 2 RTX: An RTX Remix Project」はOrbifold Studiosにより制作中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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