EVO 2023にて“0回戦敗退”をやむなく選ぶ選手続出。「飛行機飛ばない、振替便では間に合わない」で苦渋の決断

 

EVO 2023」への参加を予定していた選手たちにより、大会参加を断念し“0回戦敗退”とする報告が相次ぎ、波紋を広げている。原因は、特定の航空機の欠航やその振替便が遅くなってしまった点にあるという。

EVO 2022の会場の様子


「EVO(Evolution Championship Series)」は対戦格闘ゲームのeスポーツ大会だ。複数のタイトルにて開催され、世界中から各作品のトッププレイヤーが集結。多額の賞金を巡って競い合う。今年の「EVO 2023」は6月に発売されたばかりの『ストリートファイター6』をはじめ、『鉄拳7』『メルティブラッド:タイプルミナ』『GUILTY GEAR -STRIVE-』などのトーナメントがおこなわれる予定だ。昨年に引き続き、ラスベガスのマンダレイベイリゾート&カジノにてオフライン開催となる。期間は日本時間8月5日午前2時から8月7日まで。

今回、国内のEVO 2023参加選手たちが“0回戦敗退”になったという報告をSNS上に寄せている。0回戦敗退とは大会に参加する前段階、つまり手続きや会場への移動などの段階で何らかの理由により大会に参加できなくなることを指すスラングだ。たとえば2015年『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』の大会「闘神激突」のオンライン予選では、注目選手の一人であったどぐら選手がPS4版での開催となっていたところにPS3版でログイン(PlayStation.Blog)。不戦敗となってしまったことがユーザーから0回戦敗退と呼称され、大きな話題を呼んだ。

*EVO 2019の会場の様子


今回EVO 2023の選手たちに0回戦敗退が続出している理由は“飛行機”にあるという。まず8月2日、大会前日の現地到着を予定していた選手や参加者たちはSNS上で日本発デルタ航空シアトル行き便の出航が遅れていることを報告。エンジントラブルにより、当初16時ごろとされていた離陸予定に3時間以上の遅れが生じていたという。その後同便は欠航となり、搭乗者たちには振替便として8月3日の出航便が割り当てられたことが報告されていた。多くの選手が日本の土で足踏みしていたわけだ。

しかし8月3日には搭乗者たちに向けて、「運航上の理由」により、8月4日21時出発の便に再振替となることが伝えられたという。EVO 2023の開催時刻は8月5日午前2時からであり、シアトル行き便のフライトタイムは約9時間とされている。さらにラスベガスへの乗り継ぎを考慮すると、開催時刻に到底間に合わないような便となってしまうわけだ。

別の航空会社を利用する選択肢はあるものの、その場合は高価な当日便を取り直す必要がある。そのため、EVO 2023への出場を諦めて“0回戦敗退”とする可能性を伝えるプロ選手も散見された。その後所属チームとデルタ航空との交渉などによって大会に間に合う便を確保した選手も一部見られるものの、今年の参加を見送りとする選手も続出しており、波紋を広げている状況だ。

*マゴ選手は上述のツイートの後に、間に合う別の便へどうにか搭乗できたと報告している


今年のEVO 2023は人気シリーズ最新作『ストリートファイター6』発売後早くもおこなわれる世界規模大会となる。また『鉄拳』シリーズにとってはナンバリングの節目になりうるタイミング。最新作『鉄拳8』の発売日は未定ながら、先日同作ではクローズドベータテストが実施されており、次のEVOでは新作が採用タイトルとなる可能性もある。一部作品の選手はEVO 2023にさらなる思い入れがあったことだろう。

またいずれの作品にせよEVOは世界最大規模の大会であり、プロ選手にとっては人生を左右するイベントになりうる。一方で、遠方で3日間にわたって開催されるイベントであり、特に兼業のプロ選手にとっては前乗りする日程の確保は難しいだろう。そうしたなかでも余裕をみて前日の到着を予定していた選手たちが、今回トラブルに遭ってしまった格好だ。“0回戦敗退”を余儀なくされた選手たちも散見され、海外大会参加に伴う思わぬ困難さが垣間見える一件といえる。

なお先述のとおり所属チームによるデルタ航空との交渉や、別の航空会社の利用などによって、大会に間に合う便を確保した選手も一部見られる。選手たちが無事会場に到着し、大会での活躍を見せてくれることを祈りたい。






※ The English version of this article is available here