『レムナント2』にて普通のプレイでは絶対に発見できない隠しアーキタイプが報告される。開発者公認の発見難易度ゲキムズ秘密要素

『レムナント2(Remnant II)』にて隠されていたアーキタイプ「アルコーン」が発見された。発見においては、ゲームデータの解析(データマイニング)による情報が必要になったそうだ。

レムナント2(Remnant II)』にて隠されていたアーキタイプ(クラス)が発見された。発見においては、ゲームデータの解析(データマイニング)による情報が必要になったそうだ。そうした報告には開発者も反応。本作にてデータマイニングがおこなわれることを見越して、解明にデータマイニングが必要な謎を意図的に用意したことを明かしている。なお本稿には隠しアーキタイプや装備品に関するネタバレを含むため留意されたい。









『レムナント2』は、ソウルライクTPS『Remnant: From the Ashes』(以下、Remnant)の続編だ。舞台となるのは恐ろしいクリーチャーが蔓延る終末世界。生き残った人類は“現実”の破壊を阻止するため未知の世界を探索し、新たな敵や神の如きボスに立ち向かうことになる。遠距離攻撃と近接攻撃を使い分ける戦闘システムは前作に引き続き健在。また前作と同じくソロプレイまたは最大3人での協力プレイが可能となっている。

本作にはほかの作品におけるクラスに相当するシステムとして、アーキタイプが存在。アーキタイプごとに特性・パーク・スキルがあり、装備やプレイスタイルにあわせてビルドを構築できる点も本作の持ち味となっている。アーキタイプは初期に選択できる種類のほか、ゲームの進行でアンロックされるものも用意されている。


誰も解けなかった謎

今回、本作の隠しアーキタイプ「アルコーン」の入手方法が発見され、注目を集めている。というのもアルコーンの発見にはゲームデータの解析、いわゆるデータマイニングが必要になったという。アルコーンの入手方法についてはかねてより専門のDiscordサーバーまで立ち上げられてユーザーらが探し続けており、このたびついに発見に至ったかたちだ。米IGNがその立役者の一人となったDiscordユーザー・BarutことOliver Nikolic氏にインタビューを実施。同氏が発見の経緯を説明している。

まず、アルコーンの存在自体は発売後まもなくデータマイナーによって発見されていたという。一方で、その入手方法は謎に包まれていた。ただ一部ユーザーはラビリンスの「破砕した入り口」エリアに開かずの扉があることを発見。Redditの本作コミュニティや専門のDiscordサーバー上でこの扉の開け方が調査されていた。Barut氏によれば、サーバー内にはゲーム内だけで手掛かりを探すユーザーや、改造やデータマイニングをしようとするユーザーなどの派閥が見られたという。


発見に“データマイニング必須”のアーキタイプ

一方でBarut氏は手段を問わずさまざまな側面からこの問題への対処を試みていたそうだ。同氏はゲーム内で隠し要素を調査するプレイヤーたちとデータマイナーの双方からの情報を参考に調査を実施。データマイニングには独学で初挑戦し、ChatGPTを用いてjson形式のファイルを展開したりしながら解析をおこなったという。睡眠時間を削り、約5日間にわたり調査を進めていたとのこと。

そうした調査を通して、Barut氏は開かない扉のエフェクトに着目。「corrupted(破損した)」というキーワードをもとにしてゲームデータの解析結果を絞り込んだそうだ。ゲーム内で同様のエフェクトをもつアイテムやボスからすると、特定のアーキタイプやスキル、装備品などを示すデータが残ったという。同氏が示したデータのうち、アーキタイプや装備品に関するものは以下のとおり。

■アーキタイプ
探検家
スキル:フォーチュンハンター
侵入者
スキル:ワームホール

■防具
レルムウォーカーのベレー帽
レルムウォーカーのチュニック
レルムウォーカーのパンタロン
レルムウォーカーのグローブ

■武器
キューブガン
フォードの散弾銃
ラビリンススタッフ

■遺物
虚無の心臓

■アミュレット
レトのアミュレット

■指輪
アンバームーンストーン
黒猫バンド
ゼニアの悪意
アナスタシージャの霊感

ちなみに上記の防具「レルムウォーカー」シリーズは、入手にストーリーのクリアが必要。さらにほかのアーキタイプ・装備品はいずれもアンロック・入手条件が複雑だ。たとえばレトのアミュレットは、装備重量76以上のドッジ(回避)をすると転ぶ状態で、特定のNPCの前で100回ドッジをおこなうことでそのNPCが販売してくれるようになる。そのほかのアーキタイプ・装備品についても、さまざまな条件を満たして隠しボスを倒す必要があったり、隠しエリアを訪れたりとアンロック・入手に手間がかかるものばかりとなっている。

Barut氏のデータマイニングによる発見を受けて、Discordサーバー内のユーザーが実際にこれらのアーキタイプ・装備を揃えて試したところ、見事先述の開かずの扉が開き「アルコーン」の発見に至ったそうだ。

アルコーンの性能

なおアルコーンは武器モッドの扱いに長けたアーキタイプだ。ダメージパークでは武器モッドのダメージが増加。ユーティリティパークでは武器モッド使用に必要なモッドパワーが低減される。また遺物パークによって、遺物使用時にモッドパワーを一定値回復可能。チームパークはすべての味方のモッドの回転率を上げるような効果を備えている。各種パークはアーキタイプのレベルを上げることで、さらに強化または追加効果を得られる。またアーキタイプ特性では、モッドとスキルの発動までの時間を短縮可能だ。


スキルについては「現実ルーン」「カオスゲート」「ハボックフォーム」の3種類。現実ルーンは、敵にスロー効果を与えつつ味方の被ダメージを軽減するドームを一定時間生成する防衛向けスキルだ。一方カオスゲートは味方の被ダメージが増加する代わりに、味方の与ダメージおよびモッドパワー生成量を増加させるゾーンを一定時間展開する攻撃的なスキル。そしてハボックフォームは使用中に攻撃・エイム・ドッジの操作をおこなうことで、それぞれ違った効果を発動する特殊なスキルだ。攻撃では15m以内の敵に電撃ダメージを与え、エイムでは敵には電撃ダメージ、味方にはダメージ半減効果を与える3mのシールドを展開。ドッジでは3m以内の敵に電撃ダメージを与える回避行動をおこなえる。

以上のようにアルコーンは武器モッドを強化しつつ、使い勝手をよくする能力を複数備えたアーキタイプだ。特徴的な3つのスキルも備えており、アンロックに苦労する分個性的かつ強力なアーキタイプといえそうだ。


“データマイニングが必要”なのは意図的

なお先述のDiscordサーバー内にはtragicこと開発者のBen Cureton氏も参加。本作のリードゲームプレイ/プリンシパルデザイナーを務める人物だ。同氏はユーザーらが開かずの扉の開け方を模索する様子を見守っていたほか、“(開かずの扉を開くのに)DLCや協力プレイ、難易度の変更は不要”といった条件を説明。さらに「データマイニングを防ぐことはできない」「プレイヤーの前にデータマイナーが発見しても驚きはしない」との発言も見られ、データマイナーの存在に諦観している様子を見せつつヒントを示していたようだ。

さらに同Discordサーバー内でアルコーンが発見された後に、Cureton氏はTwitterアカウントにて反応。アルコーンを発見するためには「(ゲームの)コードそのものに侵入しなければならない」と明言している。開発チームは一部ユーザーのデータマイニングを止めることは不可能と判断し、むしろデータマイニング上等で作り込みをおこなったという。そうしてアルコーンは、ユーザーコミュニティ内でデータマイニングの結果が共有されることを期待して作られたそうだ。


Cureton氏の投稿を引用RTするかたちで、奇抜なアイデアを称賛する反応が数多く寄せられている。最近の話題作には付き物となったデータマイナーの存在を逆手に取った、巧妙な秘密の隠し方が評価されている様子だ。昨今ではゲーム内やアップデート時のデータが解析され、公式発表に先回りしてさまざまな情報が広められるケースも散見される。また隠し要素が早々に明かされることは、ゲームの寿命を縮める要因のひとつともいえる。

本作のプリンシパルゲームデザイナーを務めるRichard Vorodi氏は、IGNに対して「我々はあらゆるものに秘密を仕込むのが大好きだ」と語っている。苦労して隠した秘密の要素をばらしてしまうデータマイナーの存在には、Gunfire Gamesの開発者らも前作時点で頭を痛めていたことだろう。一方でVorodi氏は、データマイナーがかならず存在することは、今回のアルコーンのアイデアを生むきっかけであったともコメント。データマイナーでさえファイルを覗き見たときに驚くような秘密を仕込もうと考案されたそうだ。


ちなみに本作の発売前には、Cureton氏が本作に散りばめられた謎の奥深さをアピールする一幕があった。発売前の時点で400時間以上プレイしたハードコアな(テスト)プレイヤー、レビューのため早期プレイ権を得たレビュワー、さらには社内の開発者を含めたとしても、誰一人として本作のコンテンツを知り尽くした者はいないとしていた。さらに本作には「秘密を秘めた秘密を秘めた秘密がある(Remnant 2 has secrets within secrets within secrets)」とも語り、多層化された隠し要素の存在をほのめかしていた(関連記事)。

そうした秘密のひとつに、今回のアルコーンも含まれていたわけだろう。アーキタイプという重要な要素が、通常プレイではほとんどのプレイヤーが解明できない秘密として用意されていた点は興味深い。今後も本作ではデータマイナーさえも巻き込んで、ユーザーコミュニティ内でさらなる秘密が発見されていくかもしれない。

『レムナント2』はPC(Steam/Epic Gamesストア)およびPS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。またPS5向けパッケージ版が9月26日より発売予定。各ストアで予約受付中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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