マイクロソフトが「スクウェア・エニックス買収も検討していた」との報道。“モバイルGame Pass計画”のために

 

マイクロソフトによるActivision Blizzardの買収計画に関して、米国FTC(Federal Trade Commission・連邦取引委員会)が仮差し止め命令を求めて訴訟を提起。米国時間6月22日よりカリフォルニア州北部地区連邦裁判所にて審理がおこなわれ、今まで一般には明かされなかった情報が続々と明かされている。

審理にて公開されたマイクロソフトの社内文書からは、同社がセガなど大手ゲーム企業の買収を、本格的に検討していたことが示されている。そして今回新たに、マイクロソフトがスクウェア・エニックスの買収を視野に入れていたことや、その理由が明かされたとのこと。海外メディアThe Vergeが伝えている。


同誌によれば、マイクロソフトがスクウェア・エニックスを買収対象として検討していた理由としては、まず「Xboxブランドの存在感を日本市場で高める」との目的があったそうだ。そしてスクウェア・エニックスの保有する豊富なタイトルや新作を通じて、Xbox Game Passの成長を後押しする狙いもあったとのこと。

さらに注目したいのは、スクウェア・エニックスの買収は「将来におけるGame Passモバイル展開の助けとなるかもしれない」といった内容が記述されていたという。これは、現在展開されているモバイル向けアプリによるクラウドプレイなどとは別で、端末実機上でネイティブ動作するゲームを展開する計画と見られる。そこで、スクウェア・エニックスのもつ、モバイル向け作品の豊富さも注目されていたようだ。

スクウェア・エニックスは『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』シリーズなどもモバイル向けに展開中。そうした大きいネームバリューをもった作品のネイティブ展開が、モバイルGame Passを展開することになった場合の成長要素となると見込まれていたとのこと。

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スクウェア・エニックス買収やGame Passモバイル展開が、現在も視野に入っているのか、それとも見送られたのかはあくまでも不明。しかし、一時はそうした動きが検討されていたのだろう。マイクロソフトとしても、幅広い施策を考慮に入れていることがわかる。

なお、マイクロソフト対FTCの一連の答弁では、普段は口にされない企業間の軋轢や駆け引きについての証言も出た(関連記事)。また、ソニー・インタラクティブエンタテインメント社長兼CEOのJim Ryan氏がビデオ証言で登場。「買収が進めば、わざと品質の低い状態でゲームをリリースされるかもしれない」といった内容の発言をし、業界内に波紋を広げる状況となっている(関連記事)。