『The Elder Scrolls VI』の発売は“5年以上先”でプラットフォームさえ未定。Xboxのボスが明かす

Bethesda Game Studiosが手がける『The Elder Scrolls VI』は、現状では発売されるプラットフォームさえはっきりしない開発段階にあるそうだ。マイクロソフトのPhil Spencer氏により明かされた。

Bethesda Game Studiosが手がける『The Elder Scrolls VI』は、現状では発売されるプラットフォームさえはっきりしない開発段階にあるそうだ。マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏により明かされた。なお同氏による発言は、マイクロソフトのActivision Blizzard買収を巡る法的争いのなかでおこなわれたものだ。海外メディアThe Vergeなどが伝えている。


マイクロソフトは昨年1月、Activision Blizzardを総額687億ドル(約9兆8700億円・現在のレート)で買収する方針を発表。その後、反トラスト法(独占禁止法)違反の恐れがないかなどについて各国・地域の規制当局による審査がおこなわれており、日本を含むいくつかの当局はすでに承認済み。一方で、欧米の主要市場においては審査が続いており、先日にはそのひとつであるイギリスでの審査結果が報告され、同国競争・市場庁(CMA)は同買収を承認しないと結論付けた(関連記事)。これに対しマイクロソフトは控訴の構えを見せ、控訴審は現地時間7月24日からおこなわれる予定。

そうした中で米連邦取引委員会(FTC)は6月12日、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に対して、同買収の仮制止命令(temporary restraining order)および予備的差止命令(preliminary injunction)を請求した。同買収は7月18日が買収期限として予定されており、米国内での司法判断が下される前に、海外での買収が完了されることをFTCが懸念したための対応と見られている(Forbes)。


予備的差止命令の請求を巡っては、現地時間6月22日から29日にかけて予定されているFTCとマイクロソフトの口頭弁論が始まっており、その内容を海外メディアThe Vergeが伝えている。現地時間6月23日には、マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏が口頭弁論に出席。同氏により買収に関してさまざまな側面から説明されるなかには、現在Bethesda Game Studiosが開発中の『The Elder Scrolls VI』を巡る発言もあったという。

The Vergeによると、Spencer氏は口頭弁論において『The Elder Scrolls VI』の発売はあまりにも先(far out)のことであり、どのプラットフォームで発売されるかさえ、いまはっきりさせるのは難しいとしている。同氏は続けて、同作の発売時点でどのようなプラットフォームが存在するかも見通しが立たないといった見解をコメントしたという。また、AxiosのジャーナリストStephen Totilo氏は、その際にSpencer氏が『The Elder Scrolls VI』が「5年以上先のゲーム」になると言及していたことを伝えている。つまり現時点での同作開発段階は、発売時には新コンソールが登場していてもおかしくない程度に初期段階と見られるわけだ。質疑応答の流れから察するに、Spencer氏の発言には、『The Elder Scrolls VI』がXboxプラットフォーム独占での発売となるかどうかも、現時点では明確ではないことを示す狙いもあるだろう。

『The Elder Scrolls VI』は『The Elder Scrolls』シリーズの最新作であり、2018年に正式発表された(関連記事)。その際に、発売は『Starfield』がリリースされた後になると明言されていた。『Starfield』はBethesda Game Studiosが手がける新規IPであり、今年9月6日に発売予定となっている。

なおSpencer氏は今回の口頭弁論において、マイクロソフトがBethesda Softworksの親会社ZeniMax Mediaを買収した目的のひとつは「『Starfield』をPlayStationプラットフォームに独占させない」ためであったと説明している。というのも、Bethesda Softworksの傘下スタジオが手がける『Ghostwire: Tokyo』および『DEATHLOOP』はPlayStationプラットフォームの時限独占タイトルとなっていた。そしてSpencer氏によれば、当時マイクロソフトは『Starfield』もPSプラットフォームの独占タイトルになる可能性を知ったという。

そうした背景もあり、Xboxがコンソール業界でさらなる後れを取るのを防ぐことも、ZeniMax Mediaの買収目的のひとつとしてあったそうだ。結果的に『Starfield』は、Xbox/PC独占タイトルとして発売される格好となる。そして現在より少なくとも5年以上先に、『The Elder Scrolls VI』がBethesda Game Studiosの新作として展開を控えているわけだ。

『The Elder Scrolls V: Skyrim』


『The Elder Scrolls』は人気シリーズであり、最新ナンバリング作品である『The Elder Scrolls V: Skyrim』は2011年11月に発売。今年6月時点で累計売上6000万本以上を記録している世界的ヒットタイトルだ。今なおユーザーによるMod制作が盛んにおこなわれており、根強い人気を誇っている。『The Elder Scrolls VI』はその後継作であり、大きな注目を集めるタイトルといえる。

一方でSpencer氏いわく『The Elder Scrolls VI』は現時点では発売されるプラットフォームさえ定まっていない状態にあり、『Starfield』の完成後に本格的な開発がスタートするかたちなのかもしれない。まずは発売日の迫る『Starfield』を楽しみにしつつ、『The Elder Scrolls VI』についてはじっくり腰を据えて待つのがよさそうだ。

『Starfield』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに9月6日発売予定。Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。また、Premium Edition以上のバージョンを予約購入すると最大5日間の先行プレイが可能となる。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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