『オーバーウォッチ2』の本格PvEモードは“有料になる”と発表され議論を呼ぶ。約2000円のバンドル販売は高いかどうか

 

Blizzard Entertainmentは6月13日、『オーバーウォッチ2』シーズン6にて実装予定の大規模PvEモード「ストーリー任務」が有料コンテンツであると発表した。15ドル(約2100円)のバンドルに同モードへのアクセス権が付属するかたちになるという。

『オーバーウォッチ2』はBlizzard Entertainmentが手がけるオンライン対戦FPSゲーム。人気を博した『オーバーウォッチ』の続編として、基本プレイ無料タイトルとして配信中。本作は当初、PvPモードと本格的なPvEモードを備えた2軸での展開を計画。まずはPvPモードを軸にして、昨年10月5日にリリースされた。


大規模PvEモード「ストーリー任務」

本作にて日本時間8月11日から開幕予定のシーズン6「インベージョン」は本作史上最大規模のアップデートになるという(関連記事)。同シーズンではさまざまな要素に加えて、かねてより告知されていた大規模PvEモード「ストーリー任務」が実装予定。ストーリー任務に関する映像も公開された。

なお海外メディアGame Informerは、シーズン6でのストーリー任務の先行プレイ時の内容を紹介している。同誌によると、ストーリー任務のうち少なくとも1つは、カットシーンを除いてもクリアに約30分間を要するボリュームであったという。広大なマップや多彩な戦闘場面が用意されていたとのことだ。前作および本作においては、期間限定のPvEイベントも開催されてきた。Game Informerの伝える内容によれば、ストーリー任務はこれまでのPvEイベントと比べて大規模なPvEモードとなることがうかがえる。


ストーリー任務は有料販売に

そんなストーリー任務は、6月13日の公式発表にて有料で提供されることが明らかとなった。シーズン6にて実装されるストーリー任務は「オーバーウォッチ 2:インベージョン」バンドル購入者向けのコンテンツになるという。同バンドルにはストーリー任務への“永久アクセス”権が付属。ゲーム内有償通貨オーバーウォッチ・コイン1000枚、および装飾アイテムやヒーロー「ソジョーン」のアンロックが含まれるとのこと。

発表に際しては、永久アクセス権との記載から「バンドル購入者以外も期間限定なら遊べるのではないか」といった可能性に言及するユーザーもいた。一方で本作エグゼクティブプロデューサーJared Neussはユーザーからの質問に答えるかたちでこうした疑問に回答。ストーリー任務をプレイするためには「オーバーウォッチ 2:インベージョン」バンドルを購入する必要があると明言した。永久アクセス権との記載は、シーズン6終了後も同シーズンでのストーリー任務を遊べる点を明確にするための表現だという。

またNeuss氏はストーリー任務に関して、別のユーザーによる質問にも回答。「オーバーウォッチ 2:インベージョン」バンドルに含まれるのは、シーズン6で実装されるストーリー任務へのアクセス権だけであると伝えている。今後実装されるかもしれない新たなストーリー任務へのアクセス権は含まれないそうだ。


有料提供・バンドル販売への批判

これまでストーリー任務がどのようなかたちで実装されるかは明確にされてこなかったが、実装が迫るなかで有料での提供となることが明かされたかたち。本作は基本プレイ無料タイトルであり、当初もうひとつの軸として告知されていた本格的なPvEモードが有料であった点に予想を裏切られたユーザーは多くいるようだ。リリース当時のロードマップなどを見ると本作は“基本プレイ無料”であることが押し出されており、実装予定のPvEモードも基本プレイ無料にて提供されるとのイメージが生じていたのだろう。


ほか、PC GamerThe Vergeといった海外メディアからの批判も寄せられている。PC Gamerは、PvEモードの開発方針に変更があった点を指摘。PvEモードは当初ストーリー任務のほか、スキルツリーなどの要素を含む「ヒ―ローミッション」の実装が予定されていた。このうちヒーローミッションが実装中止されたほか、そのほかのストーリー要素やPvEモードについても大々的なリリースではなく小出しでさまざまなかたちでの実装になるとされていた(関連記事1関連記事2)。そうした経緯もあり、PC Gamerはいわば当初の予定から内容を減らされたシーズン6でのストーリー任務が、15ドルという価格設定で販売されている点などを批判している。

シーズン6でのストーリー任務は、先行プレイの情報からすべてのミッションがカットシーン抜きで約30分のボリュームと仮定すると、合計約1時間半のゲームプレイになる。そのため一定のボリュームはあると見られるものの、PvEであること以外に既存のゲームシステムからの大きな変更があるかは不明瞭。またそもそもストーリー任務を目当てとするユーザーにとっては、バンドルという販売形態への不満もあるだろう。


15ドルは高いかどうか

一方で「オーバーウォッチ 2:インベージョン」バンドルに付属する1000枚のオーバーウォッチ・コインは10ドル相当。同コインは本作内ストアでの装飾アイテム購入に使えるほか、通常バトルパスはちょうど1000オーバーウォッチ・コインで販売されている。バトルパスが欲しいユーザーにとっては、ついでに5ドル追加することでストーリー任務のアクセス権も購入できるバンドルともいえる。

本作は基本プレイ無料タイトルであり、何らかのかたちでのマネタイズは必要となる。運営元は従来のバトルパスや装飾アイテムに加えて、今回ストーリー任務の有料販売に踏み切った格好だ。ちなみに本作が日本時間2022年10月5日にリリースされることが発表された際には「PvPコンテンツに」基本プレイ無料モデルが導入されると伝えられていた(Bussiness Wire)。つまりPvEモードが基本プレイ無料になるかどうかは公式に明言されていなかった。それゆえにPvEコンテンツの有料化は“約束を反故していた”とまではいえないかもしれない。

批判を受けている15ドルという価格設定を高いと見るかどうか、あるいは販売形態に不満を抱くかどうかは、ユーザーの遊び方によっても変わってきそうだ。なおPvEモードやストーリー要素は、今後のシーズンではストーリー任務に限らないさまざまなかたちでの展開が計画されているという。今回の批判を受けて、今後のPvEモードの展開形式や販売形態が見直されていく可能性もあるだろう。