『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』にて、“犬を撫でる”ことに執念を燃やすユーザーたちが狂気の発明を繰り広げている。前作に引き続き犬を撫でられない仕様を受け、一部ユーザーは新要素を駆使した犬へのアプローチを試みている。海外メディアVG247が伝えている。なお本稿では、序盤以降に登場するゾナウギアなどを含む動画を取り上げているため、留意されたい。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編にあたる。新作においては、ハイラルの地が突如として天変地異に見舞われる。城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。大地と大空が広がった世界にて、“右手”に力を宿したリンクがハイラルの異変に立ち向かう。大きな人気を博す本作は、発売後3日間で売上1000万本を突破したことが伝えられている(関連記事)。
本作でも前作に引き続き、オープンワールドならぬ「オープンエア」というコンセプトが採用されており、自由なアプローチでゲームの攻略が可能。さまざまなアクションと新能力を組み合わせ、幅広い遊び方が実現されている点が持ち味となっている。一方で本作には“できないこと”もある。前作に引き続き、「犬を撫でる」アクションが用意されていないのだ。
本作の舞台となるハイラルにはさまざまな動物が生息しているほか、人がいる場所には犬も存在。たれ耳がチャーミングな架空の犬種・ハイリア犬が飼育されている。犬にはさまざまなモーションが用意されており、細やかでリアルな仕草の数々に犬好きは心くすぐられることだろう。犬とのコミュニケーション手段としては、肉などをごはんとして与えるといった手段が存在している。
一方で本作では、犬を撫でることはできない。乗馬時に馬を撫でる(なだめる)アクションがある一方で、犬を撫でるアクションは用意されていない。愛らしい犬を前に“おあずけ”を食らった一部ユーザーは、あの手この手で犬を撫でる手段を模索。本作にて登場した新能力ウルトラハンドなどを用いて、強引に犬を撫でる手段を編み出している。
あるユーザーは板と丸太を用いた手法を考案。ウルトラハンドで丸太5本を板にくっつけ、“人間の手”を模した物体を作り上げて疑似的に犬を撫でようとしている。一方の犬は、死にもの狂いで逃げているように見える。犬側としては、巨大な木製の手はお断りのようだ。
またゾナウ文明が遺した装置「ゾナウギア」をウルトラハンドにて組み合わせ、“犬撫でマシン”を発明するユーザーも見られる。上の動画のユーザーは、ゾナウギアでオブジェクトを回転させ、上手く犬に当てて撫でることを試みている。近くに肉を置いてまるで罠のように犬をおびき寄せているものの、物々しい装置を前にやはり犬は逃げ回ってしまう様子だ。
その後ユーザーはマシンを改良。棒をいくつも連結させて、ゾナウギアと犬を撫でるパーツを遠ざける設計にしている。ちなみに撫でるパーツには、より人間の手に近い形状の「ボコブリンの骨」が採用されている。改良後のマシンでは犬は逃げることはないものの、特にリアクションはなし。マシンを意に介さない様子で自由気ままに過ごしている。なお回っていたボコブリンの骨はしばらくすると盛大に壊れているため、ちゃんと犬に当たって耐久値が消費されていた様子。マシンの手を借りて犬を撫でることには一応成功しているようだ。
ゾナウギアの回転を利用し、さらに複雑な機構を備えた犬撫でマシンを発明したユーザーもいる。上の動画のマシンでは、回転するゾナウギアに棒だけでなく車輪をくっつけることで動きの変化に成功。気球パーツの隙間も活用され、犬を撫でるパーツが犬に接触しやすい位置で動きまわるように調節されている。こちらのマシンでも犬は逃げることなく撫でられるがままにしているものの、地面になすりつけるような挙動で撫で続けるためか犬の位置が少しずつズレてしまうようだ。ちなみに最後に犬の好感度がアップしているが、犬の好感度はリンクが近くにいるだけでも上がるため、犬撫でマシンへの反応ではないと思われる。
なお前作および本作のディレクターを務める藤林秀麿氏は過去にIGNのインタビューに対し、前作での“犬を撫でられない理由”を明かしていた。藤林氏によれば、前作のゲームデザイン哲学においては、最小限のアクションを組み合わせていろいろなことができるようにするコンセプトがあったという。そして犬を撫でるという動作はほかではあまり使えず、そのためだけに存在するアクションになるため、実装に至らなかったそうだ。本作でも引き続き犬を撫でられないのは、前作のコンセプトが継承されているからだろう。
新要素やゾナウ文明の英知を結集させ、犬を撫でようと執念を燃やすユーザーたち。作り込まれたモーションで愛犬家の心を揺さぶるハイリア犬の魅力が、ユーザーらを発明に駆り立てているのかもしれない。そして、既存の要素を組み合わせて「やりたいこと」を実現するユーザーらの試みは、前作から続くコンセプトどおりの反応ともいえるだろう。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中だ。