ステルスサバイバルアクション『Nobody’s Left』正式発表。ほぼ一人で開発中の、絶望世界生き残りTPS


インディーデベロッパーのMadrain Studioは5月12日、『Nobody’s Left』を正式発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。ストアページによると日本語表示に対応予定。

『Nobody’s Left』は三人称視点のステルスサバイバルアクションだ。舞台は、戦争に使われた化学兵器の汚染によって、人が住める土地が限られた世界。生存のために数々の派閥が殺し合う陰鬱な世界で、主人公は賞金稼ぎとしてどこにも所属しない生き方をしている。そんな彼が二つの派閥の戦争に望まぬうちに巻き込まれる。

本作のゲームプレイの主要要素のひとつが、ステルスアクションだ。遮蔽物や草むらを利用したり、音を立てないように行動したりすることで、敵に見つからずに戦闘や探索ができる。しかしそれは敵も同じだ。敵はプレイヤーに見つかっていないことが分かると、プレイヤーを尾行し始め、タイミングを見計らって奇襲をかけることがあるという。戦闘はアサルトライフルやショットガンなどの銃器のほか、近接武器による格闘戦も発表されている。詳しいストーリーやゲームプレイ内容はまだ明かされていないが、世界観に見合う緊張感あるものになりそうだ。


『Nobody’s Left』の開発元はイランのテヘランに拠点を置くMadrain Studio。イラン人のMo(Mohammad) Khakzad氏の個人スタジオだ。同氏は本作のコーディング、作曲、グラフィックデザイン、サウンドデザインなど開発の大部分を一人で手がけているという。公式Instagramには開発状況の進捗も報告されており、2021年頃から現在のゲーム内容が出来上がり始めている様子を見ることができる。また、過去の投稿によると、開発そのものは数年単位で実施されている様子もある。また、ボイスや歌などで他人の協力を得ることはあっても、ゲームの根幹部分は一人で開発している模様である。長らく開発と情報公開を重ねてきた本作が、今回PlayWayからのトレイラー公開というかたちで正式発表されたわけだ。

Image Credit: Madrain Studio on ArtStation


2022年に公開されたゲームプレイトレイラーでは、そうしたKhakzad氏の長年の努力の結晶を垣間見ることができる。一人で辛抱強く、Unreal EngineやBlenderを駆使して制作を続け、現状映像だけとはいえ、ここまでの完成度の内容を作り上げた点は特筆すべきだろう。なお、この時点トレイラーでは対応プラットフォームにPlayStationとXboxの表記があるが、現在の開発状況は不明である。

なお、本作は影響を受けた作品に『The Last of Us』『ディビジョン』『レッド・デッド・リデンプション』『INSIDE』などを挙げている(WellPlayed)。ステルスアクションを中心とした人間同士の陰鬱な争い、というテーマからも『The Last of Us』の影響を強く読み取ることができるだろう。そうした数々の作品にインスパイアされ、ほぼ一人で開発されている本作。そうした作品のエッセンスを取り込みつつ、どういった形で実装していくのか今後も注目していきたい。

また、本作が中東イランで制作されているのも気になる点だろう。別の国の話となるものの、中東では最近、サウジアラビア政府が自国ゲーム産業に約5兆円を投資するなど、ゲーム事業への感心が高まりつつある。とはいえ、中東圏でのゲーム開発の実績はそう多くない。そうした地域からこうしたプロジェクトが発表されるのも歓迎すべき傾向だろう(関連記事)。

『Nobody’s Left』はPC(Steam)向けに発売予定。公式ページではプレイテストへの登録を募集している。登録者には、本作発売日にゲーム内でもらえる限定ボーナスもつくとのこと。もし興味があれば登録してみてはいかがだろうか。