『バイオハザード4』Steam版向けの有志制作Mod「Resident Evil 4 HD Project」の開発者が、Nightdive Studiosにて仕事に就いていることを明かした。念願のゲーム業界に就職した喜びを伝えている。なおNightdive Studiosは『System Shock』リメイク版の開発を担当しているスタジオだ(関連記事)。
「Resident Evil 4 HD Project」は、Steam版『バイオハザード4』向けのファンメイドのリマスターMod。テクスチャや3Dモデルのほか、メニュー画面、カットシーンやプリレンダリング映像、ライティング、エフェクトなどさまざまな要素の表現が向上しているとされる。またニンテンドー ゲームキューブ版以降の本作において発生していた、サウンドやエフェクトの不具合も修正されているという。日本語を含む全言語版に対応しており、導入しても実績やセーブデータにも影響を与えないとのこと。
本Modを手がけたのはCris Morales氏およびAlbert Marin氏だ。本Modはすべてのテクスチャを刷新するModを目指し、Cris氏により2014年より開発がスタート。開始後まもなくAlbert氏が参加し、7年以上の歳月をかけて開発が進められた。たとえばAlbert氏はテクスチャのリマスターにあたって、オリジナル版のテクスチャに忠実な写真素材を自ら撮影して用意していたことが伝えられている(The Verge)。
そうして「Resident Evil 4 HD Project」は2022年2月にリリースを果たした。またリリース後となる同年6月に、ユーザーのフィードバックを受けてグラフィック調整など多岐にわたる変更が盛り込まれたv.1.1パッチも配信されている。
そんな本Modの公式サイトにて現地時間3月21日、Albert氏により「Life itself Update(人生そのもののアップデート)」と題された開発者ブログが投稿された。同記事ではまず、リリース後のユーザーからの数多くのフィードバックやコメント、サポートに対する感謝が綴られた。同氏は今夏までに本Mod向けのさらなるパッチを作成したいといい、現在仕事と勉強を両立させる多忙な日々を過ごしていることが伝えられている。
というのも、Albert氏は現在Nightdive Studiosで働いているのだという。同スタジオは現在、『System Shock』リメイク版を開発中。Albert氏が同作を担当しているかどうかは定かではないものの、リモートワークにて3Dモデルやテクスチャのリマスター作業を担当しているとのことだ。同氏にとってゲーム業界で働くのは人生で初の経験だそうで、感激しているそうだ。また同スタジオのStephen氏(CEOであるStephen Kick氏とみられる)に対し、チャンスを与えてくれたことへの感謝も綴られている。
なお『バイオハザード』シリーズにおいては、ファンメイド作品開発者がゲーム業界に羽ばたいた先例がある。イタリアのデベロッパーInvader Studiosはかつて、『バイオハザード2』の非公式リメイク作品『Resident Evil 2 Reborn』を手がけるも、カプコンの要請により開発中止。その後、開発を通じて得た技術をもとにしたオリジナル作品『Daymare: 1998』をリリースした。同作は、『バイオハザード2』の影響を取り入れながら、独自の要素も導入された作品。当時、同スタジオのスタッフがカプコンの大阪本社に招待され、手厚いもてなしを受けたことも話題となった(関連記事)。
そのほか過去には、『Fallout 4』向けファンメイド大型Mod「Fallout: London」の開発者が、Bethesda Game Studiosから抜擢された例もみられる。長期間ファンメイド作品を開発し続ける熱意と技術力のあるユーザーが、業界から一目置かれるケースは複数あるわけだ。
今回のAlbert氏がNightdive Studiosにて働くに至った経緯は明かされていないものの、「Resident Evil 4 HD Project」でのリマスター手腕を買われたのだろう。今後、同スタジオにてAlbert氏が手がける作品の登場にも期待しておこう。
『バイオハザード4』Steam版向けMod「Resident Evil 4 HD Project」は、開発チーム公式サイトにて配信中。
Nightdive Studiosの手がける『System Shock』リメイク版は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)向けには5月31日に国内配信予定。PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けにも開発中で、こちらの発売時期は未定である。