サバイバルホラー『Sons Of The Forest』のとある仲間キャラに愛憎が集まる。プレイヤーの家を無邪気に壊す忠犬系男子

パブリッシャーのNewnight/デベロッパーのEndnight Gamesは2月24日、『Sons Of The Forest』の早期アクセス配信をPC（Steam）向けに開始した。すぐさまユーザーの人気を得た本作にて、とあるコンパニオンキャラが強い存在感を放っているようだ。

『Sons Of The Forest』は、食人族はびこる謎の島での生き残りを描く、シングルプレイ/マルチプレイ対応のオープンワールド・サバイバルホラーゲーム。2014年に早期アクセス配信され、2018年に正式リリースされた人気作『The Forest』の続編にあたる作品だ。『Sons Of The Forest』は続編として、配信開始直後にSteam最大同時接続プレイヤー数は35万人を突破（SteamDB）。開発元が24時間たらずの間に本作の売上が200万本を突破したと報告するなど、大人気となっている（関連記事）。

本作の主人公は特殊部隊の一員として、行方不明になった富豪を捜索するため、孤島に訪れる。しかし、その島は食人族がはびこる恐怖の島であった。主人公はヘリの墜落というかたちで島に放り出され、食人族を相手にしながら、クラフトなどを駆使して壮絶なサバイバルを繰り広げることとなる。今作からの要素としては、多彩な新武器などのほか、プレイヤーを助けるNPCが追加。本作ではマルチプレイで仲間を募らずとも、シングルプレイでも仲間となるNPCコンパニオンと共にサバイバルに挑める仕組みだ。

そんなコンパニオンのひとりとして、冒頭から仲間になるのがKelvinだ。Kelvinは主人公とともに富豪捜索に乗り出した隊員のひとり。重厚なタクティカルギアを身に着けた、頼りがいのある仲間だ。彼は命令ひとつで焚き火を起こしたり、アイテムを集めたり、時には危険な敵の接近を知らせてくれたりもする。ただ、Kelvinはどうも本作プレイヤーらから、「頼りがいのある仲間」としてではなく、どちらかといえば「ペットの犬」のような可愛がられかたをしているようなのだ。たとえば、ゲーム開発者のJason Smith氏はKelvinについて、「Kelvinに万一のことが起きたら、島民を皆殺しにして私も死ぬ」とネットミームで表明。犬の画像にKelvinの顔を当てはめて愛情を示している。こうしたユーザーらはほかにも散見され、海外メディアPC GamerがKelvinの人気を取り上げるに至っている。

Kelvinはなぜ、このようなペット扱いを受けているのだろうか。理由のひとつとしては、彼が「プレイヤーに忠実」だからだろう。Kelvinはゲーム開始直後に、プレイヤーの近くでうずくまっている。彼はヘリの墜落により耳を負傷して聴力を失ったようで、また言葉も上手く喋れない様子なのだ。そのため、主人公はメモを使った筆談にて彼に指示を出すことになる。

もともと上官と部下の関係だったのか、Kelvinは主人公の雑な命令をなんでも聞いてくれる。「素手で釣りをしろ」「このへんの木を全部伐採開拓しろ」といった指図を、脇目も振らずに実施してくれるわけだ。システム上便利なだけでなく、時折見せるキョトンとした表情や、サムズアップでの笑顔も魅力。Kelvinはなんとも忠犬のような魅力を備えた男なのである。また、ホラーゲームとして恐ろしい場面にもしばしば直面する本作において、仲間の存在はとりわけ安心できる要素だろう。

そうしたKelvinのさらなる特徴のひとつが、「ポンコツさ」だ。Kelvinはプレイヤーの命令に忠実ながら、AIの調整がまだ足りずあまり賢くはない。実際のところ、Redditの本作コミュニティなどではKelvinの奇行を話題にする投稿が主に注目を集めている。たとえば、あるユーザーは、動画を投稿して彼の異常行動を報告している。投稿者はメモでKelvinに家の仕上げを頼んだ。しかし後ほど、謎の物音に投稿者が様子を見ると、ツリーハウスの土台の木を、真面目に斧で殴りつけるKelvinの姿が。プレイヤーが慌てて制止しようとするも間に合わず、Kelvinは半ば作りかけのツリーハウスを崩壊させ、丸太の雨を振らせている。その後には「できました！」といわんばかりのサムズアップだ。

なお、Kelvinがプレイヤーの住居を真面目に破壊する事例は、TwitterやReddit上でほかにも複数報告。マルチプレイ中にみんなで作ったツリーハウスを、上述の動画のように叩き壊す様子を動画におさめたプレイヤーや、ログハウスの大黒柱を叩き折り、「こんなところに丸太があった！」とばかりに運んでいくKelvinの姿などが紹介されている。どうもKelvinは、家を破壊して家の材料にすることに矛盾を感じないようだ。こうした奇行は笑いを誘う一方で、こつこつ作った家を壊されるのはゲームプレイとしてかなり辛い体験だ。

Kelvinが一部ユーザーから愛情や怒りを注がれている背景には、忠犬のような性格や振る舞いと、こうした突飛な行動があるだろう。なお筆者も本作をプレイ中、Kelvinの異常行動に遭遇した。彼に焚き火を起こしてもらったところ、そのまま彼が当たり前のことのように、燃え盛る火の上に立ったのである。誰も何もしていないのに、勝手に全身火だるまになりながら身をよじるKelvinを見て、筆者は一瞬ホラー演出のひとつなのかと思った。

本作は早期アクセス配信中であり、今後のコンパニオンAIの調整なども視野に入っていることだろう。そう考えると、一連のKelvinのポンコツぶりも、いずれ楽しめなくなるかもしれない。ただ、ゲームプレイ面でいえばKelvinには賢くなってもらった方がありがたいだろう。

『Sons Of The Forest』はPC（Steam）向けに早期アクセスにて配信中。ゲーム内は日本語表示にも対応している。