ベラルーシKGBは12月30日、Wargamingの重役を務める人物を「テロ活動の支持者」として起訴したことを発表した。同社はロシアおよび同国に協力的なベラルーシから距離を取っており、政治的な理由から“テロ活動”とみなされた可能性がありそうだ。現地メディアNasha Nivaなどが伝えている。
Wargamingは、戦車対戦ゲーム『World of Tanks』や海戦ゲーム『World of Warships』などを開発・運営するゲーム企業だ。さまざまな戦車あるいは艦船が登場し、それらのいずれかに乗り込み2チームに分かれて争うゲームプレイが特徴。同様に空戦ゲーム『World of Warplanes』も配信中だ。いずれも基本プレイ無料にて提供されている。
今回、ベラルーシKGB(KGB RB・The State Security Committee of the Republic of Belarus)は「テロ活動に関与した組織および個人のリスト」を更新。同リストに、Wargamingの Nick Katselapov氏が追加されることになった。同氏は『World of Tanks』のプロデューサーを担当していたほか、同社にてCBDO(Chief Business Development Officer)として事業開発の長を務める人物だ。同氏はリストによると、ベラルーシ共和国刑法第290条第1項「テロ活動への資金提供」に基づき起訴されているとのこと。
Katselapov氏が同リストに追加されるに至った罪状は不明。現地メディアNasha Nivaは政治的な理由が“テロ活動への関与”とみなされた可能性を推察している。同誌によると、近年ベラルーシでは、同国のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領への反対者が同リストに追加される状況にあるという。
Wargamingはベラルーシのミンスクにて創業し、現在はキプロスを本拠地としている。同社は2022年4月に、ロシアとベラルーシにおける事業から全面撤退することを発表。ロシアおよびベラルーシでの事業はLesta Studio(旧Wargaming Saint Petersburg)に移管され、同社と同スタジオは袂を分かつことになった(関連記事)。
なおWargamingは昨年3月に、キエフの同社拠点であるWargaming Kiyvがウクライナ赤十字社に100万ドルを寄付したことを発表。また、社をあげて同地従業員への代替住居の提供、給与の早期支払い、旅行や転居を支援するための資金提供などのサポート体勢を敷いていると明かしていた。またWargamingはそのほかにも、ロシアのウクライナ侵攻支持を表明した主要開発者を解雇したことを発表していた(関連記事)。
創業の地を離れ、傘下スタジオと決別してでも、ロシアおよび同国に協力的なベラルーシから距離を取る判断を下したWargaming。今回のベラルーシKGBによる、Katselapov氏の“テロ活動支持者”認定は、ウクライナを支持する姿勢をとっている同社への報復措置である可能性も考えられるだろう。
『World of Tanks』は、PC(Steam/Wargaming.net Game Center)向けに基本プレイ無料配信中。『World of Warships』は、PC(Steam/Wargaming.net Game Center/Microsoft Store)向けに基本プレイ無料配信中。そして『World of Warplanes』は、PC(Wargaming.net Game Center)向けに基本プレイ無料配信中だ。