ロシア政府が“ロシア版EA”設立を計画しているとの報道。莫大な予算でゲーム業界世界トップを目指す

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ロシア連邦政府は、ゲーム産業の活性化をプロジェクトとして掲げているそうだ。大規模な予算で世界のトップを争う構想もあるという。現地メディアKommersantが報じている。

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Kommersantによると、12月15日にロシア連邦デジタル発展・通信・マスコミ省にておこなわれた会議では、ロシアのビデオゲーム産業の強化が議題になったという。同誌が入手した会議資料によると、ロシア政府は「未来のゲーム産業(Игровая индустрия будущего)」なるプロジェクトを掲げているとのこと。さらにゲーム業界の戦略的発展の中心を担うRosgeimという新組織の設立が検討されているという。

また本プロジェクトの構想としては、予算規模別に3つの案が用意されているそうだ。そのうちのひとつの予算は70億ドル(約9280億円)。これは2030年までにゲーム開発国トップ20入りを目指す構想だという。ふたつ目となる予算200億ドル(約2兆6500億円)の構想では、「業界のブレイクスルー」を目指すという。なおブレイクスルーが具体的に意味するところは、資料において明示されていなかったとのこと。

【UPDATE 2022/1/5 18:32】
プロジェクトの構想に関する記載を調整

3つ目の構想の予算は500億ドル(約6兆6254億円)。この構想では2030年までに、ロシアのゲームスタジオが世界の業界トップと競争することを想定。さらに、ロシアのビデオゲームを武力や経済力ではない影響力、いわゆるソフトパワーとして海外に行使できるようになることを目指すという。

また本プロジェクトでは、具体的な業界成長の目標値も定められているという。中~大規模開発(AAレベル)のPC/コンソール向けゲームを2025年に5本、2027年には7本。ロシア製のゲームエンジンを2025年には1つ、2027年には2つ。ロシア国内のゲーム開発会社を2023年に55社、2025年には150社、2027年には300社に増やすなど。かなり大きな目標を掲げているようだ。

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Kommersantへの情報提供者によれば本プロジェクトは、高品質のロシア産ゲームを効率よくリリースするパブリッシャーとして「ロシアのElectronic Arts」の設立を目標にしているという。会議や資料における表現かは不明ながら、スポーツやアクションなど幅広いジャンルのゲームを打ち出す方針があるのかもしれない。

なお情報提供者によると、プロジェクトの資金源は会議や資料において不明であったという。Kommersantが政府に問い合わせたところ、プロジェクトの形式や資金源は、現状検討段階にあるとのことだ。ただし政府は同誌に対し、ゲーム産業には大きな投資の可能性があると強調したという。また、予算外の案も採用される見込みが高いと述べているそうだ。つまり、政府としてはプロジェクトにかなり乗り気な姿勢なのだろう。なお本プロジェクトは、2023年2月20日までの開始が予定されているとのことである。

一方Kommersantによると、ゲーム産業強化に乗り気なロシア政府とは裏腹に、業界人の見方は冷ややかだという。ロシアのゲームスタジオCyberia NovaのCEO兼創設者であるAlexei Koptsev 氏は、AAA級ゲームを開発できるスタジオは現状ロシア国内に約10社しかないとコメント。仕事を続けるためにほとんどのスタジオは海外に移転しており、新たなスタジオも設立されていないそうだ。

昨年2022年3月にはロシア外の多数のゲーム会社がロシア国内での自社タイトルの販売停止を表明。さらに昨年4月にはWargamingが、ロシアとベラルーシにおける事業からの全面撤退を発表したこともあった(関連記事)。経済制裁も続くなか、ロシア国内の大手ゲーム産業は衰えを見せている可能性もありそうだ。そうした中でロシア政府が掲げているというゲーム産業強化プロジェクト。今後のロシアのゲーム業界の行方は注目されるところだろう。

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なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。