傑作FPSゲーム『Half-Life 2』について、同作に登場する死体の顔のテクスチャは「実物の死体写真から取られた」とする報告がSNS上で拡散。同作ファンを中心に話題となり、怯える者も散見される状況となった。国内外のメディアが取り上げるに至っている。
『Half-Life 2』は、Steamを運営するValveが2004年にリリースしたFPSゲームだ。プレイヤーは主人公のゴードン・フリーマン博士となり、異世界の生物に侵略された地球で戦いを繰り広げる。同作はFPSゲーム『Half-Life』の続編として大いに人気を博し、多数Modも登場。また、黎明期のSteamにおける本格的な大規模ダウンロード販売の端緒となった作品でもあり、当時数多くのFPSファンが同作をこぞってプレイした、金字塔的な作品である。同作にはその性質上、やや残酷な描写やホラー映画さながらのステージも存在。かなり真に迫る、死体の3Dモデルなども存在していた。
そして先日よりユーザーの間で「『Half-Life 2』の死体の顔テクスチャは、実写なのではないか」との発見が話題になっているのだ。発端と見られるのは、Redditにおける残酷画像などが集まるコミュニティr/eyeblechでの12月8日の投稿だった。同スレッドでは、法医学関係の資料であるとして複数の実物と見られる死体の画像が投稿。リンクは割愛するものの、同投稿には顔面の皮膚が大きく焼け落ちたような画像が投稿されていた。そこに、とあるユーザーが「これは『Half-Life 2』の死体モデルによく似ている」と一石を投じたのだ。
この投稿が波及してか、12月19日にはとあるTwitterユーザーが「『Half-Life 2』のcorpse1.mdlという死体の3Dモデルの顔は、実物の死体写真から取られている」との旨をTwitterに投稿して話題を集めた。以下に紹介するのは、該当の3Dモデルの画像が含まれるツイートとなるため留意してほしい。
筆者が実際に比較検討してみたところ、“オリジナル”の画像とcorpse1.mdlの顔テクスチャは、たしかに似通っていた。corpse1.mdlではいささかの編集はされているものの、特徴的な歯のパターンが一致していることを確認できた。たしかに、corpse1.mdlのテクスチャの一部は、オリジナル画像が由来だと考えてよさそうだ。
こうした発見は、瞬く間にユーザーらの関心を集めた。前述のツイートも多くのシェア数を獲得しているほか、TheGamerを始めとする国内外メディアもこの発見に着目。ファンからメディアまで死体の顔テクスチャの由来を取り沙汰する状況となった。また、本作ファンたちの間では「だから怖かったわけだ」と振り返る者や、こうした背景を知りさらに怖くなったとする意見もある。加工しての一部利用と見られるとはいえ、“本物”と思うと見え方が変わってくるのはたしかだ。
そしてcorpse1.mdlに恐れをなす一部ユーザーは、対策に乗り出した。『Half-Life 2』のModとして開発された人気サンドボックスゲーム『Garry’s Mod』では、同作内に登場するcorpse1.mdlの見た目を差し替えるワークショップアドオンが複数登場。同モデルの顔テクスチャを実写ではないものに差し替えるアドオンや、はたまた死体でもなんでもないネットミーム由来のドヤ顔に差し替えてしまうアドオンも登場している。とにかくみんな怖いのはイヤなようだ。
なお、実写テクスチャがゲーム内に盛り込まれるケースは珍しくない。たとえば、『スーパーマリオ64』などのゲームでは、ユーザーらにより「富山県の山の写真」「とある素材集の雲の写真」といったテクスチャの出どころが特定されている。知的好奇心に突き動かされ、そうした素材のルーツを探究するファンたちがいるわけだ(関連記事)。ただ、今回のcorpse1.mdlの顔テクスチャについては、知って後悔するファンの方が多そうだ。