初代PlayStation風『エルデンリング』デメイク映像の“再現度”がすごい。実在しないのに懐かしい

『エルデンリング(Elden Ring)』をPS1風にデメイクした映像が公開された。懐かしのグラフィックにて、同作中盤ボスとの戦闘が繰り広げられている。

エルデンリング(Elden Ring)』をPS1風にデメイクした映像が公開された。懐かしのグラフィックにて、同作中盤ボスとの戦闘が繰り広げられている。なお、本稿には『エルデンリング』のネタバレとなりうる要素が含まれるため、留意してほしい。

Image Credit: Rustic Games BR on YouTube


『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけるアクションRPGだ。本作は広大なオープンワールドを舞台としつつ、『ダークソウル』シリーズなど同スタジオ過去作のゲームプレイを色濃く継承。フロム・ソフトウェアによる近年のアクションRPG作品の、集大成的な作品となっている。本作は今年2月25日に発売され、瞬く間に記録的大ヒット作品となった。そして「The Game Awards 2022」においては、ゲーム・オブ・ザ・イヤーを含む4冠を受賞している(関連記事)。

このたび、そんな『エルデンリング』を初代PlayStation風グラフィックに“デメイク”した動画が公開されたようだ。動画を製作したのはYouTubeチャンネルのRustic Games BR。過去にも複数のゲームのPS1風デメイク動画を投稿してきたチャンネルだ。なおデメイクとは、しばしば高画質化などを施されるリメイクとは逆に、クラシックな作品風に作り変えることを指す。単に低画質なだけではなく、レトロな感覚を呼び起こす工夫がなされる場合も多い。今回の“PS1風デメイク”動画にも、そうした工夫が各所に盛り込まれている。


動画は、王都ローデイルを模したステージの祝福からスタート……する前に、長いロード画面から始まる。「LOADING」のメッセージがでかでかと表示され、ロード状況を示すゲージがじわじわ上昇していくロード画面。長めの読み込み時間を含めて、PS1や同時代のゲームでの“あるある”が取り入れられているわけだ。

長いロードを抜けると、ようやくゲームプレイ映像がスタート。視点はPS1向け『バイオハザード』シリーズや『バンパイアハンターD』のような固定カメラで、当時のゲーマーは懐かしさを覚えるだろう。また「HP・FP・SP」とステータスが大げさに表示されている点も当時のゲームらしい。一方で「戦鬼シリーズ」を思わせるキャラの装備や、ボス戦前の黄色い霧のエフェクトでは『エルデンリング』らしさもしっかり表現。懐かしさと『エルデンリング』らしさが入り混じる、絶妙なつくりだ。

レトロな演出でアイテム「ガラス片(Grass Shard)」を入手し、黄色い霧を抜けるとボス戦に突入……する前に短いロード画面が挟まる。ロード画面用に用意された演出もあり、当時を思い起こさせる。

Image Credit: Rustic Games BR on YouTube


動画にて戦闘を繰り広げるボスはゴッドフレイだ。エリアは『エルデンリング』本編における王都ローデイルの祝福「黄金樹の大聖堂」エリアを模しており、オリジナル版でも幻影のような透けた姿をした「最初の王ゴッドフレイ」との戦闘場所だった。一方、動画の“PS1版”では透けていないゴッドフレイとの戦闘が展開する。

ちなみに動画のゴッドフレイの青々としたマントには白い獅子のような模様が描かれている。本編でのゴッドフレイのマントにはこのような模様はないものの、背中にはセローシュという獅子が付き添っていた。何となく可愛らしいマントの模様はセローシュをモチーフにしているのだろう。低画質化に際し、キャラの個性を分かりやすくする工夫なのかもしれない。

戦闘では地面を踏みつけてトゲを発生させるなど、本編のゴッドフレイの攻撃法が再現。ローリングのモーションも本編とよく似ており、俯瞰視点といわゆる「ラジコン操作」めいたプレイヤーキャラの挙動を除けば本編に似たゲームプレイだ。一方で戦闘中にはメニューを開くシーンがあり、こちらは開いた際にゲームプレイが止まる“PS1版”仕様。ゆっくりと悩みながら装備を変えており、戦闘時は一時も油断できない本編とは対照的だ。

その後動画では見事ゴッドフレイを撃破。撃破時のボスが霧散する演出は、黄色い星のようなエフェクトが散らばるポップな形で表現されている。ただ撃破後に祝福が出現する様子も見られ、『エルデンリング』らしい再現にも抜かりがない。

Image Credit: Rustic Games BR on YouTube


動画説明欄によると、本動画はBlenderやPhotoshop、Unity、Cascadeurといったツールを用いて製作されているとのこと。さまざまなツールを組み合わせて背景や3Dモデル、キャラのアニメーションが作られているわけだ。“PS1版『エルデンリング』”は、プレイ可能なゲームではなく、あくまで動画として製作された映像作品なのだろう。

『エルデンリング』のデメイク動画としては、本編発売日にあわせてトレイラーのPS1風デメイク映像がユーザーにより投稿され注目を浴びた。またゲームボーイ風やスーパーファミコン風デメイク動画も、ユーザーらにより制作されたことがある(関連記事)。これらも本編とはまったく違うスタイルながら、『エルデンリング』らしさが忠実に再現。一方で昔のゲームらしさも盛り込まれ、ノスタルジックな雰囲気が演出されていた。また同じフロム・ソフトウェア作品としては、『Bloodborne』のPS1風デメイク作品『BloodbornePSX』がユーザーにより制作された(関連記事)。

デメイク対象としての人気も高いフロム・ソフトウェア作品。ユーザーらによるデメイクではただ低画質化するだけでなく、懐かしさや再現度の高さも注目ポイントとなっている。そうした作品を見比べてみるのもいいだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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