Blizzard、『オーバーウォッチ』など自社タイトルの中国向けサービスを来年初頭に停止へ。NetEaseとの契約終了に伴い

 
『オーバーウォッチ 2』

Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は11月17日、NetEaseとの契約期間終了に伴い、同社と協力して展開していた中国向けのゲームサービスを一時停止することを明らかにした。2023年1月23日をもって、『オーバーウォッチ』や『Diablo III』などの現地サービスが停止される見込み。なお、『ディアブロ イモータル』は別の契約に基づきサービス継続するとのこと。

『Diablo III』


Blizzardは、対戦FPSゲーム『オーバーウォッチ』やハクスラRPG『Diablo』シリーズなどを手がける、米国のゲーム企業だ。そしてNetEaseは、中国を拠点とする大手企業。自社でも開発スタジオをもっているが、さまざまな会社との協働やスタジオ買収などにも積極的な企業である。BlizzardとNetEaseは、2008年より中国向け展開においてパートナーシップを結んでいた。Blizzardのゲームタイトル群および、同社のPC向けゲーム配信プラットフォームBattle.netの中国展開に、NetEaseが協力していたかたちだ。

しかし今回、その協力体制が打ち切られる運びとなったようだ。両者における契約終了に伴い、2023年1月23日を目処に以下タイトルを含む作品群の現地サービスが停止される見込み。

  • 『オーバーウォッチ』
  • 『World of Warcraft』
  • 『Hearthstone』
  • 『Warcraft® III: Reforged』
  • 『StarCraft』シリーズ
  • 『Diablo III』
  • 『Heroes of the Storm』

今回のサービス停止についてBlizzard側の発表では、Blizzard社長のMike Ybarra氏がコメント。中国のファンたちに感謝を述べつつ、中国のプレイヤーらに向けてゲームをふたたび届ける手段を模索していくとしている。NetEase側の発表では、同社CEOであるWilliam Ding氏がコメント。「ファンらに引き続きサービスを提供するため、最大限の誠実さと努力を払い交渉に望んだものの、主要契約条項に重大な相違があり合意に至らなかった」との旨を語っている。NetEase側は無念さの滲む声明となっており、ややBlizzard側との温度差も感じられる。

Blizzardの作品群は中国において多大な人気を誇っているとされる。海外一般紙Reutersは大和証券キャピタル・マーケッツのレポートをもとに、今回の契約終了によりNetEaseは来年度6~8%の売上高低下を被るのではないかとの試算を伝えた。今回の契約終了は、大企業NetEaseの業績にも一定の影響が及ぶであろう、大きな変化となっているわけだ。

『ディアブロ イモータル』

なお冒頭に述べたように、両社が共同で手がける『ディアブロ イモータル』は別の契約のもとに共同開発・サービスが継続されるとのこと。また、『Warcraft: Dragonflight』『Hearthstone: March of the Lich King』『オーバーウォッチ2』シーズン2の中国向け展開については、今年中に方針を定める見込みのようだ。

また、中国では政府による規制によって、ゲームリリースに際してライセンス番号の取得など、特殊な手続きが必要となる(関連記事)。NetEaseの仲介には、そうした中国行政との折衝といった役割もあっただろう。Blizzardが今後中国マーケットにどう取り組むのかにも、注目が寄せられる。