任天堂やValveの「認証済みバッジつきニセTwitterアカウント」あらわる。青バッジでも要チェック
Twitter上に、任天堂やValveといった有名企業の偽アカウントが出現。厄介なのは、それらの偽アカウントが、偽物にもかかわらず「認証済みバッジ(青バッジ)」をつけていたことだ。Twitterアカウントの身元確認の証だったはずの認証済みバッジは、Twitter社の方針転換により偽アカウントでも気軽に入手できる存在になってしまったようだ。Kotakuなどが伝えている。
Twitterは、マイクロブログやソーシャル・ネットワーキング機能を提供するサービスだ。2006年にローンチされ、そしてユーザーたちの日常の共有や雑談の場として、そして著名人や企業の情報発信の場として利用されてきた。任天堂やValveといった企業のTwitterアカウントからはしばしばゲーム作品の情報が共有され、フォロワーも多数。ゲームなどの情報をリアルタイムに得る手段として、利用している読者も多いのではないだろうか。
Twitterでは、著名人や企業になりすます偽アカウントの存在も問題のひとつだ。たとえば、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズで知られるクリエイター・桜井政博氏については、本人がTwitterを利用する一方で偽アカウントも出没。本人に青い認証済みバッジがついたことで、“本物”が見分けやすくなった経緯があった(関連記事)。Twitter社の審査を経て授与される青いバッジは、企業や著名人などのアカウントの、真正性を示す存在だった。しかし、そうした青バッジへの認識は改めたほうがいいだろう。先日より任天堂およびValveの偽アカウントが、堂々と青バッジをつけて出現していたのだ(現在はいずれも凍結済み)。
偽の任天堂Twitterアカウントは、「Nintendo of America」という名称とアイコンにて、本物の任天堂米法人の公式アカウントになりすましていた。一方で、IDは「@nlntendoofus」となっており、任天堂米国法人を装いつつも、本物である「@NintendoAmerica」とはかなり異なる。偽アカウントは話題になり即座に凍結されるかと思いきや、しばらく残留。マリオが挑発的なハンドサインをする画像などを投稿していた。
そしてSteam運営元ValveのTwitterアカウントにも偽物が出現。こちらは本物のIDが「@valvesoftware」である一方、偽物は「@valvesotfware」となっており、紛らわしい。こちらの偽アカウントは、「Ricochet: Neon Prime」なる偽のゲームについて告知して、ファンの誤解を誘っていた。一方で同アカウントは、注意喚起めいたツイートも投稿。「Twitter Blueは問題だ」として、簡単に誤った情報を拡散できてしまうと指摘し、イーロン・マスク氏にリプライを向けて改善を求めていた。この偽Valveアカウントには、注意喚起や抗議の目的もあったのだろう。
というのも、偽アカウントが堂々と認証済みバッジを掲げていた背景には、Twitterの方針転換の影響がある。まずは先月末、イーロン・マスク氏がTwitter社のCEOに就任。同氏は取締役らを一斉解任したほか、従業員らの人員削減に踏み切ったという。そしてTwitter自体のサービスについても変化があり、米国地域向けには、青い認証済みバッジを課金にて“購入”できるようになっているようなのだ。
Twitterは一部地域のユーザーに向けて、有料サブスクリプションサービスTwitter Blueを提供している(国内未提供)。そして米国向けにはつい先日より、このTwitter Blueを利用しているユーザーに対して、従来の審査済みアカウントと同様の、青い認証済みバッジが付与されるようになった様子なのだ。つまり、実質上は月に数ドルの課金で青い認証済みバッジを購入できるかたちだ。前述の任天堂およびValveの偽アカウントが堂々と青いバッジを掲げていたのは、これが理由と見られる。
「著名人や企業アカウントが本物/本人である」と保証する役割をもっていた認証済みバッジも、もう迂闊には信用しない方がよさそうだ。一方で、これが従来と同様の「本物を示す青バッジ」か、単にTwitter Blueに入っているだけかを確かめる方法はある。審査を経たアカウントでは、バッジをクリックした際に「このアカウントは、政府、ニュース、エンターテイメント、または他の指定されたカテゴリーにおいて注目されているため、認証されています。」と表示される。一方でTwitter Blueアカウントでは「このアカウントは、Twitter Blueに登録しているため認証されています。」と表示。バッジの由来を確かめることで、アカウントの信頼性を確認することは可能となっている。
そして、別の見分け方も追加される予定のようだ。Twitter社でプロダクト部門に携わるEsther Crawford氏は11月9日、自身のTwitterアカウントにて、新たな「Official表記」について告知。従来のように審査を経てバッジを得たアカウントのプロフィールには、「Official(公式)」との表記が追加されるとしている。ただ、いずれにせよ同じ青バッジを付与する以上は、紛らわしさを逃れることはできないだろう。なお、Crawford氏のアカウントはTwitter Blue登録による青バッジ。過去のツイートやフォロー/フォロワー関係などから発言は本物であると考えられるものの、“本物の青バッジ”ではない点には留意したい。
マスク氏のCEO就任により、揺れるTwitter。今回の偽アカウント登場も、そうした一連の激動の余波だろう。今後Twitterがどのようなかたちになっていくのか見守るしかないものの、青い認証済みバッジにもまず疑いの目をかけた方がよさそうだ。なお、弊誌AUTOMATONのTwitterアカウントの認証バッジは、審査を受けてのバッジである。