『オーバーウォッチ2』クロスプレイ時のエイムアシスト無効化を巡りユーザー激論。あちらを立てればこちらが立たない難しさ
『オーバーウォッチ2』のリリースから一週間。本作はPC/コンソールに幅広く展開され、クロスプラットフォームプレイ(以下、クロスプレイ)にも対応している。そしてこのクロスプレイ時の、エイムアシストにまつわる仕様が物議を醸しているようだ。
クロスプレイ時はエイムアシスト無効
『オーバーウォッチ2』はBlizzard Entertainmentが手がけるオンライン対戦FPSゲーム。人気を博した『オーバーウォッチ』の続編として、基本プレイ無料タイトルとして10月5日にリリースされた。本作は、クロスプレイおよびクロスプログレッションに対応。PC/コンソール間で、マッチングした相手やフレンドとライバル・プレイ(本作におけるランク戦)を以外のモードで遊ぶことも可能だ。なお『オーバーウォッチ2』コンソール版においては設定で、他プラットフォームのプレイヤーとのクロスプレイを無効化にすることも可能である。
本作のマッチにおいては、PCプレイヤーが1人でも存在する場合、PC版のマッチとして扱われる。その際、コンソール版プレイヤー向けに用意されたエイムアシスト機能は無効となる。この仕様は、2021年に『オーバーウォッチ』がクロスプレイに対応した当時から変わっておらず、当時Blizzardは「公平性を保つため」の対応であると説明していた。しかしながらこの仕様については、一部コンソール版プレイヤーが不満を抱いているようだ。海外掲示板Redditにて、あるユーザーがクロスプレイ時にエイムアシストが無効化される点に言及。約1100件のコメントが寄せられ、議論を呼んでいる。
スレッド投稿者は友人たちと一緒に遊ぶ際、PC版プレイヤーがメンバーに含まれる場合にエイムアシストが適用されない点に言及。コンソール版プレイヤーたちのパフォーマンスが大幅に低下し、ゲームを楽しめなくなっているとの意見を述べている。また投稿者は、コンソール版で本作を遊んでいる自身の友人グループは、ゲーム用のPCを買う余裕がない点を補足。PC版のフレンドと遊ぶ際に本作を楽しめないことを、残念に思っているようだ。
エイムアシスト適用を望む声と懸念
この投稿に対しては、賛同するユーザーもかなり見られる。たとえばあるユーザーは、本作でPC/コンソール間でパーティを組んで遊ぶ際に、ライバル・プレイができない点を踏まえて、エイムアシストを有効にしてもよいのではないかとの意見を述べている。ライバル・プレイ以外のゲームモードでは、比較的競技性も重視されにくいとの見方だろう。
また、たとえコンソール版プレイヤーにエイムアシストが適用されても、ゲームパッド操作はキーボード・マウスでの操作より不利であるとの見解を示すユーザーも散見される。 ゲームバランスへの影響も少ないと見た上で、コンソール版プレイヤーにエイムアシストを適用することに賛成する見方だろう。あるユーザーは、むしろPC版でのゲームパッド操作にもエイムアシストを適用することで、誰もが好きなデバイスで操作できるようになると考えているようで、クロスプレイ時に限らないエイムアシストの必要性を説いている。
一方、PC版のマッチやゲームパッド使用者へのエイムアシスト適用が、『オーバーウォッチ2』に大きな影響を及ぼすとの見方もある。PC版のゲームパッド操作におけるエイムアシストは、同じくクロスプレイ対応のFPSタイトルである『Apex Legends』などにも採用されている。そして同作においては、ランクマッチの上位プレイヤーの多くがゲームパッドを使用しているとのユーザー調査が話題となった(関連記事)。今回のスレッドでも、同作における上位プレイヤーのゲームパッド使用者の多さについて言及されている。
またスレッド内には『Apex Legends』とあわせて、『Halo Infinite』および『Call of Duty: Warzone』などを、ゲームパッドのエイムアシストが強力なFPSタイトルとして引き合いに出すユーザーも見られる。そうしたタイトルの状態に不満を感じ、『オーバーウォッチ2』PC版マッチへのエイムアシスト導入についても懸念を抱くユーザーはいるようだ。
エイムアシスト、なぜ賛否
エイムアシストの有無がクロスプレイ時の環境に及ぼす影響については、ユーザー間で印象が異なっている様子である。そうした原因としては、各タイトルにおけるエイムアシスト機能の“強さ”の違いも影響しているのかもしれない。エイムアシストといえば、敵に照準をあわせた際に、照準が動きにくくなる仕様が一般的だろう。一方で、操作をしなくても照準が敵を追いかけるようなエイムアシストも存在。FPSと一口に言っても、ゲームによってエイムアシストの仕様は異なるわけだ。またその効果の度合いも異なり、エイムアシストによって敵が格段に狙いやすくなるゲームもあれば、あまり効果を感じられないゲームもある。
スレッド内では、エイムアシストが“強く”はたらくタイトルとして、『Call of Duty: Warzone』の動画をユーザーが紹介している。動画を見るに、たしかにほとんど操作せずとも、照準は敵を大きく追いかけている。一方でスレッド内には、『オーバーウォッチ2』コンソール版でのエイムアシストは、上記の3タイトルほど強くないとの指摘もある 。エイムアシストが“強く”はたらくタイトルでの印象が、一部ユーザーの懸念を強めている可能性はありそうだ。また、エイムアシストの効果に対しては、ユーザー間で認識のズレも生まれているのかもしれない。
そのほかスレッド内では、『Apex Legends』の上位プレイヤーにゲームパッド使用者が多いのは、近距離での戦闘でエイムアシストが役立つからであるとの見解も。同ユーザーは中・遠距離を狙う際には、マウスに軍配が上がるとの見方を示している。つまり、ゲームパッドのエイムアシストがゲームバランスに大きな影響を与えるのは、近距離戦が重視される『Apex Legends』のようなタイトルだけであるとの見解だろう。
一方、『オーバーウォッチ2』においてはヒーローによって最適な交戦距離が違う。そのため本作は、近距離戦だけが重視されるタイトルではないといえる。ただし本作には、近距離戦が得意で、エイムアシストの恩恵が大きいと見られるヒーローもいる。仮にPC版マッチにエイムアシストを導入するとして、ゲームパッドのプレイヤーが有利となるか否かは未知数といえそうだ。
いずれにせよ、『オーバーウォッチ2』のPC/コンソール間クロスプレイ時におけるエイムアシストの無効化は、一部のコンソール版プレイヤーに不満をもたらしているようだ。前作から引き続き採用された仕様ながら、新作がリリースされプラットフォームを越えて友人と楽しみたいプレイヤーが増えたことで改めて大きく注目された形かもしれない。
エイムアシストについては、『Apex Legends』などのようにユーザーからバランスが偏っているとの指摘を受ける場合もある。一方で今回の『オーバーウォッチ2』のようにエイムアシストがない場合でも、それが非ランク戦であっても、クロスプレイ時の公平性を欠くとの指摘は出てくる。クロスプレイを採用するゲームにおいて、操作デバイスの違いによる公平性の確保は、引き続き課題となりそうだ。