PS5やNintendo Switchを「プレゼントする」と謳う怪しい“閉店前ゲーム店”増殖中。お手軽なプレゼントキャンペーンの甘い罠

「閉店間際のゲーム店」などを自称するTwitterアカウントにより、PlayStation 5やNintendo Switchの怪しい“プレゼント抽選”をおこなうツイートが横行しているようだ。それぞれのアカウントは、当選者に連絡するためであるとして、LINEの友だち追加を促している。そうした行動は、SNS上でもユーザーにより怪しまれているようだ。

「閉店間際のゲーム店」などを自称するTwitterアカウントにより、PlayStation 5やNintendo Switchの怪しい“プレゼント抽選”をおこなうツイートが横行しているようだ。それぞれのアカウントは、当選者に連絡するためであるとして、LINEの友だち追加を促している。そうした行動は、SNS上でもユーザーにより怪しまれているようだ。

*本稿執筆時点で「閉店 抽選」の検索結果として表示された3つのツイート。ほかにも多数の怪しい“プレゼント抽選”が見られる。


プレゼント抽選をおこなっているのは、ホビーショップと称するアカウントや、それらの店長・副店長を名乗るアカウントまでさまざま。いずれも店舗の所在地や連絡先などを併記しておらず、Google検索およびGoogleマップなどで店舗名を検索しても、検索結果として表示されるのは問題のTwitterアカウントのみ。少なくとも筆者観測範囲内では、抽選をおこなっている店舗の情報は当該アカウントにしか存在しないようだ。

たとえば「ゲームショップアトラス横浜店」を名乗る小売店のアカウントもある。該当小売店は横浜店はおろか、ほかの地域にも存在しないようである。「ゲームショップアトラス」そのものがウソであることが濃厚。チェーン展開していると誤認させ、信憑性を高めようとする意図が見られる。ほかにも、筆者による調査の結果、疑わしい部分がいくつか見つかった。

https://twitter.com/Yokohama_games1/status/1571477877413269506

あるアカウントのTwitterのヘッダ画像をGoogle画像検索すると、無関係と見られる別の実在店舗の店内写真をトリミングした画像であることが確認できた。おおかた、本物の店舗に見せかけた騙しだろう。なお、弊誌が確認した怪しげなプレゼント抽選をおこなうアカウントは、開設日がすべて9月とされていた。つまり、各店舗は閉店間際でわざわざアカウントを開設したことになる。怪しさ満載だ。


アカウントが抽選でプレゼントすると主張している品目としては、PlayStation 5やNintendo Switch 有機EL版など品薄のゲーム機が中心だ。一方で、前もってトレカBOXの抽選ツイートを投稿するなど、カードやゲームを扱う小規模店舗としてもっともらしく見せかけるための、入念な準備をおこなっているようだ。

プレゼント抽選品の画像は公式画像だけでなく、実物の写真を添付している場合もあるようだ。実物の写真を用いることで、信憑性を高めようという魂胆だろう。また一部の実物写真はGoogle画像検索をしたところ、本件に無関係と思われる個人ブログに使用されていたものと同一の画像であることが確認できた。また複数の無関係なはずのアカウントが、まったく同じ実物写真を用いて“プレゼント抽選”をおこなっている場合も見られる。手口としては店舗の偽装と同じやり口だろう。

各アカウントはプレゼント抽選の条件として、アカウントのフォローと抽選ツイートのリツイートを提示。さらにそれぞれのツイートに続く投稿では、当選者への連絡先としてLINEの友だち追加を誘導するURLが記載されている。


実在するかどうか怪しい店舗が、各所から画像を転載しておこなっているプレゼント抽選。本当に抽選が実施され、目当ての品目が届く可能性はきわめて低いだろう。LINEアカウントなどの個人情報を収集する目的であると思われる。

プレゼントキャンペーンは、プレゼントする側は容易にフォロワーを獲得でき、応募する側は手間なしで懸賞応募できる、双方にメリットがある点で人気な企画。それゆえに、昨今ではさまざまな企業がプレゼントキャンペーンを展開している。それを逆手にとり、よくプレゼントキャンペーンをしているアカウントを偽って個人情報を聞き出す手口も出ている。今回の例は、そうした手口の発展形だろう。怪しげなプレゼント抽選を見かけた際には、くれぐれも注意されたい。


※ The English version of this article is available here

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

記事本文: 2636