スクウェア・エニックスは9月13日、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)のパッチ6.21を公開した。新たなコンテンツ実装はないものの、ジョブ調整や不具合修正のほか、8月30日にリリースされたばかりの高難易度コンテンツ「万魔殿パンデモニウム零式:煉獄編4層」のボスHPが引き下げられるという緩和調整が実施されている。また、パッチとは別に規約違反ツールによる不正なフィールドマーカー設置についての運営コメントが公開され、今後の対応についても告知されている。
「万魔殿パンデモニウム零式:煉獄編4層」ボスのヘファイストスは妙に固く、これまで実装されてきた零式最終層よりもDPSチェックが厳しく設計されているのではないかと、実装当初からたびたび話題となっていた。また、パッチ6.2時点では主にタンクロールのジョブ調整バランスが良くないと言われており、不遇とされるジョブで挑むと火力に詰まるケースが多いとされていた。国内コミュニティから“ゼノおじ”の愛称で親しまれている海外の戦士愛好プレイヤーXenosys Vex氏は4層攻略配信中、戦士からガンブレイカーにジョブチェンジした途端にDPSチェックを突破できたことに激怒。椅子から立ち上がり、「そんなバカなことあるかよ!何でガンブレイカーならいけるんだ!?」と暴れる様子が話題となった。
パッチ6.21ではこれらの意見を受けてか、戦士とナイトの火力上方修正に加え、「万魔殿パンデモニウム零式:煉獄編4層」の前半/後半フェーズについてボスのHPが引き下げられる調整がなされる。パッチノートにはHP引き下げの意図について、「調整メンバーの攻略練度がいつも以上に高くなったことで、基準値が上がりすぎてしまい、結果として前後半共に想定から1%強程度のズレが発生してしまいました 」と記載されている。開発メンバーの調整に気合が入りすぎてしまったのが原因で、ヘファイストスが想定以上に凶暴になってしまった様子である。
『FF14』では装備を引き換えることのできるトークンに週ごとの獲得制限があり、火曜日の週制限リセットをまたぐたびにプレイヤーのギアが強化されていく設計となっている。「零式」はボスを倒すことでパッチ内最強装備を得ることができる数層立てのコンテンツだが、前述の理由から実装されてすぐはプレイヤーに装備が行き渡っていない。突破済の層を毎週クリアすることで装備をファームし、さらに先の層を目指すことを想定したつくりのコンテンツである。しかし、装備がまったく整わない初週でもプレイヤースキルさえあればクリアは可能で、早期攻略勢のなかでは「零式初週クリア」は一種のステータスとなっている。今回実装された「万魔殿パンデモニウム零式」も実装翌日の9月1日には最終層である4層まで踏破したチームが出てきており、装備が整わない状況でもクリア可能であることがわかる。
今回のボスのHP調整に対しては、公式フォーラムなどを見ると否定的な反応も少なくない。中には、惜しくも時間切れ時点でボスの残りHP1%を見てから全滅したのち、「これからどう立ち回りを詰めようか」とパーティと話し合っている段階にあったというプレイヤーからの不満の声も。同じ条件でクリア出来ているプレイヤーがいるのだからと奮い立っていたところで突然ハードルを下げられ、二度と同じ条件で挑戦できなくなるというやるせなさは察して余りある。ほかには、「毎週装備を更新してプレイヤー側も強化されていくのだから、ボスのHP調整までするのはやりすぎだ」とするいう意見もあった。
パッチとは直接関係がないものの、規約違反ツールによって蔓延している「脱法マーカー」についての運営コメントも公開されている(関連記事)。ツールによって一番はじめに「脱法マーカー」を設置したプレイヤーは特定されており、アカウントペナルティが実施されることが案内されている。一方で、そのマーカーをコピーしたものを使用してしまっていたとしても、アカウントペナルティは実施されないことが告知されている。ペナルティがないとしても、そのフィールドマーカーが正規のものではないことは事実。バトルフィールド外に設置されているフィールドマーカーは使用せず、セーブリストへの保存や呼び出しは控えてほしいとされている。告知内容については、こちらをお読みいただきたい。
『FF14』の高難易度コンテンツである「零式」において、実装パッチ内にバトル難易度が緩和されるのは珍しい。2016年に実装された「機工城アレキサンダー零式:律動編2層」以来である。「律動編」は『FF14』の高難易度コンテンツの歴史を見てもかなり難しい部類に入り、現在は開発スタンスが変化しているであろうことを考えると、「万魔殿パンデモニウム零式:煉獄編4層」の緩和はやや異例の調整といえる。
今回のパッチでのヘファイストスのHP調整によって、開発元の想定どおりのバランスに近づいた一方で、複雑な思いのプレイヤーもいるようだ。今後そうしたプレイヤーのフィードバックを受けた対応がなされることはあるのだろうか。異例の調整となった今回のパッチノート全文はこちらをお読みいただきたい。
© SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
※ The English version of this article is available here