『Apex Legends』にて、とあるプレイヤーが「マッチ開始直後から悪質な暴言を浴びせられ続ける」様子を掲示板に投稿。その内容のあまりの酷さがユーザーの反響を呼び、開発元スタッフが調査を約束するに至っている。
『Apex Legends』はRespawn Entertainmentが手がけるオンラインFPS。メインとなるバトルロイヤルモードでは、1~3人の部隊でマッチに参加。マップの上空を横断するドロップシップから武器を持たずに降下して、アイテムや武器を現地調達しながらチャンピオンを目指す。マッチ開始時は部隊メンバーのいずれかがジャンプマスターとなり、任意のタイミングでドロップシップを出撃。腰のブースターにより、着地点へと滑空していく。
このたび本作においてとあるプレイヤーが、ゲームの開始直後からボイスチャットできわめて攻撃的な暴言を浴びせられ続けたクリップをRedditに投稿。数多くのユーザーから注目を集め、物議を醸している。スレッドタイトルは「どうしてこんな人たちがいるのだろう」と題されている。
クリップはキングスキャニオンの航空基地エリアへの降下中からスタート。投稿者と見られるプレイヤーは、マッドマギーを使用している。クリップの開始直後、パスファインダーを使う部隊メンバーが投稿者に呼びかけた。その内容は「なぁマギー、お前ちょっとretardだな?」というもの。retardとは、米俗語における障がい者に対する侮蔑・差別語である。ようするにマッチ開始後、エリアに降り立つ前から暴言が始まっているわけだ。そのあとの着陸後も、悪質ユーザーは投稿者にテルミットグレネードを投げつけ、本作利用規約に抵触するような差別的な言動を交えて罵倒し続けている。
投稿者も一方的に罵倒されるばかりではない。悪質ユーザーの行く手を遮り、次々と拾えるアイテムを奪い取っていく。一方で投稿者は少しやり過ぎに感じたからか、G7スカウトを悪質ユーザーのために落とす思いやりを覗かせる。
しかしそうした気遣いもむなしく、悪質ユーザーのハラスメントは止まらない。今度は投稿者に対し発砲を続けている。本作は味方への攻撃でダメージは与えられないものの、弾薬を消費し発砲音も周囲に響き渡る。チャンピオンを勝ち取った際に仲睦まじく味方と撃ち合う様子はしばしば見られるものの、マッチ中に味方を撃つのはモラルに欠ける行為だろう。その後も悪質ユーザーは投稿者に対し発砲を続けるものの、投稿者はまったく取り合わないままクリップは終了している。
あるまじき言動を収めた今回のクリップ。スレッド内のRedditユーザーたちにも、こうしたハラスメントやマナーの悪いプレイヤーと遭遇した経験があるようだ。あるユーザーは「こういう奴と遭遇したときはもっとおちょくってやればいい」と自身の対処法を紹介。同コメントには同意の声や、ほかユーザーの体験談などが寄せられている。
スレッド内では投稿者が、悪質ユーザーが怒っていた原因について説明している。どうやらクリップが録画される前の段階で、降下する目標エリアに関して投稿者と悪質ユーザーで意見がぶつかっていたようだ。そしておそらくジャンプマスターであった投稿者が航空基地への降下を決行したため、悪質ユーザーの怒りに火がついたとのこと。もちろんこれは投稿者の主張であり、語られていない別の原因があった可能性もある。しかしながら、悪質ユーザーが差別的な罵倒を続けていたのは事実であり、あってはならない行為だろう。
そして本スレッドには開発元Respawnスタッフも登場。アソシエイトクオリティデザイナーを務める、el_sanchimotoことRico Sanchez氏だ。同氏はクリップをTOS(Term of Service、利用規約)を担当するチームに転送すると伝えている。調査の結果悪質ユーザーの言動が規約違反と判断されれば、アカウント停止などの措置がとられることだろう。Sanchez氏は、投稿者が『Apex Legends』のプレイを通して悲惨な体験に見舞われたことに対し、申し訳ない思いだと述べている。
差別的な言動を連発するユーザーを捉えた今回のクリップ。Redditではそうした悪質ユーザーに遭遇した経験のあるプレイヤーの声も散見される。クリップ投稿者の嘆きやユーザーから寄せられた体験談は、多くの共感を集めているようだ。ゲーム中に罵倒などされたくないというのは、当然ながらほとんどのプレイヤーに共通の思いだろう。
なお今回のような暴言をシャットアウトする方法も、一応存在する。フレンド以外のプレイヤーとのVC(ボイスチャット)およびテキストチャットを、設定にてオフにすることもできる。オフにした場合でも、ピン(シグナル)機能などによりある程度の意思疎通は可能だ。一方で、特に高いスキルのプレイヤー同士の戦いになると、VC無しでは連携に遅れが生じる可能性はある。またピン機能だけでは欲しい武器の種類など、細かい情報を伝えることもできない。迅速あるいは細やかなコミュニケーションを求める場合には、VCまたはテキストチャットが必要といえそうだ。
なお、『VALORANT』や『League of Legends』で知られるRiot Gamesでは、有害ボイスチャット・テキストチャットの自動検出機能の開発が進んでいるという(関連記事)。対戦ゲームなどでVCを安心して使うには、暴言などに対するさらなる取り締まり強化は望まれるところ。いずれにせよハラスメントを受けた場合は、各ゲーム内の通報機能をしっかり活用するのがよいだろう。