“NFT対応次世代ゲーム機”「Polium One」発表。ただしユーザーからかなり怪しまれる

ゲーム企業のPoliumは7月3日、家庭用ゲーム機「Polium One」を発表した。ブロックチェーン技術やNFTとの高い親和性があるという。しかしこのゲーム機には、海外ユーザーを中心に疑問の声やツッコミが寄せられているようだ。

ゲーム企業のPoliumは7月3日、家庭用ゲーム機「Polium One」を発表した。ブロックチェーン技術やNFTとの高い親和性があるという。鳴り物入りで発表されたこのゲーム機には不透明な部分も多く、海外ユーザーを中心に疑問の声やツッコミが寄せられているようだ。

Polium Oneは、「世界初のマルチチェーン対応ゲーム機」を謳うコンソールだ。また、開発元Poliumによれば「Web3ゲーミングのための次世代コンソール」とも紹介されている。具体的な機能としては、4K HDR対応、指紋認証機能、レイトレーシング対応、最大120fpsでの映像出力などが挙げられている。リーダーボードやフレンド機能なども搭載し、ゲームやアプリのほか「メタバース」のダウンロード機能がある。そしてこのコンソールの最大の特徴は、仮想通貨やNFTなど、ブロックチェーン技術への親和性だ。

まず、Polium OneはEthereumやSolanaなど、複数のブロックチェーンプラットフォームに対応する。すなわちマルチチェーン対応だという。そうしたプラットフォームに向けたウォレット機能も搭載しており、各種仮想通貨の取引をサポート。さらに、同機を通じてNFTやゲーム内アイテムの取引も可能とのこと。同機のコントローラーには指紋センサーやウォレットボタンがあり、ゲームプレイ中にいつでも素早く取引がおこなえるようだ。NFTや仮想通貨など、ブロックチェーン利用技術をとにかく幅広くサポートするゲーム機ということだろう。


一方で、Polium Oneの魅力は、開発元による上述のような説明ではいまひとつ伝わっていないようだ。Poliumの公式Twitterアカウントには懸念点の指摘やツッコミなどが寄せられている状況だ。

まず、新しいゲーム機が出るとなれば、気になるのは対応タイトルだ。ところがPolium Oneは今のところ、対応タイトル未定のようなのである。とあるTwitterユーザーが「どんなゲームが遊べるのか」と疑問を投じたものの、Polium側は対応ブロックチェーンプラットフォームを列挙するのみ。さらに問い詰められると、「現在開発元と交渉中であり、決まり次第公式Discordサーバーで告知する」と回答。つまり、今のところ本機で遊べるゲームは決まっていないのである。

ほかにも、別のTwitterユーザーはPolium Oneの公式サイトアセットが、無関係なゲームのアートワークの無断盗用ではないかと指摘。また、同サイトが当初掲げていた8K HDR対応は小規模なメーカーには実現の厳しいスペックではないかと疑問を呈している。いずれの点も現在は公式サイトから修正され、8K HDRは4K HDRと改められたようだ。素早い対応ではあるものの、ゲーム機のスペックがすぐさま変化する点そのものが不安である。

https://twitter.com/hellomredwards/status/1543819240377143296

また、「Poliumのロゴがニンテンドー ゲームキューブに酷似している」との指摘もある。ゲームキューブのロゴといえば、アルファベットのGとCを立方体(キューブ)状に仕上げたデザインが特徴。一方でPoliumの企業ロゴもキューブ状である。似ているかといわれれば、かなり似ている。Polium側は「似ているものの、弊社のロゴはキューブでブロックチェーンを、そしてPoliumのPを表現しています」と弁解。

*ニンテンドー ゲームキューブのロゴ
*Poliumのロゴ

また、Poliumは後に一連の弁明ツイートを投稿。ロゴについては「ニンテンドー ゲームキューブのロゴをコピーしたわけではない」と強調し、複数の企業が似たようなロゴを使っていると主張した。一方で、「オリジナルな新しいロゴを作成します」としている。現在のロゴはオリジナルではなかったのだろうか。また、ゲームラインナップへの懸念については「Polium One限定を含むゲーム群がプレイ可能になる」とコメント。複数の“Web 3ゲーム開発元”と交渉中であると伝えた。

「Web 3ゲーム」なる言葉は耳慣れない。Web 3(Web 3.0)とは、ブロックチェーン技術などを利用した分散型インターネットモデルのこととされる。つまり、Web 3ゲームとは、NFTなどブロックチェーン技術を盛り込んだゲーム作品を指すと考えられる。一方で、そうした作品に不信感を抱くユーザーは少なくない。理由としては、NFTのもつ投機性や詐欺行為への利用などの懸念があるだろう。

たとえば、ゲーム企業によるNFT販売プロジェクトがユーザーの反発により中止になった例があるほか、ゲーム配信プラットフォームであるSteamでは、NFTやブロックチェーン技術ベースのゲームは配信禁止と定められている(関連記事1関連記事2)。NFT/ブロックチェーン技術利用ゲームへのイメージはよくない。Polium Oneが「Web 3ゲーム」に対応するとして、ゲーマーの人気を得られるか、先行きは不安だ。

Poliumは、「多くの賛否が寄せられているものの、Web 3ゲーミングは未来です」と楽観的なコメント。また、予約開始や資金調達の前に、機能するプロトタイプを完成させるとしている。さまざまな懸念を乗り越え、Polium Oneは掲げたビジョンを実現できるだろうか。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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