Mod制作チームであるThe Together Teamは7月2日、『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下、スカイリム)マルチプレイ化Mod「Skyrim Together Reborn」を日本時間7月9日午前1時にリリースすると発表した。配信プラットフォームはNexus Modsとなる。また、同Modは将来完全にオープンソース化される見込み。
「Skyrim Together Reborn」は、1人プレイ用ARPG『スカイリム』にて、オンラインマルチプレイを可能にする有志制作Mod。膨大なコンテンツがありつつも、ソロでしか楽しめなかった『スカイリム』での冒険を、フレンドなどと一緒に楽しめるわけだ。同Modの前身となる「Skyrim Together」は、2011年の『スカイリム』リリース直後から開発がスタート。長年にわたって開発が続けられ、ファンの期待度も高いModとなっている。正式リリースを心待ちにしていた者も多いだろう。
一方で、同Modのリリースまでの道のりには紆余曲折があった。まず2019年には、スクリプト拡張ツール「SKSE」から、本来使用してはいけないコードを流用していたとの問題が浮上。同ツールのコードに頼らない仕組みへと再構築を進めることとなった。また、同年には主要開発者が開発中止を示唆するコメントを海外掲示板Redditに投稿。コミュニティ批判とも受け取れる発言をし、ファンの反発や同開発者への批判を呼ぶ一幕もあった(関連記事)。また、開発チームがクリエイター支援サイトPatreonを通じて、多額の寄付をファンから受けていたことも問題視された(現在は停止)。こうした出来事により、一時はModの完成自体が危ぶまれる状況があったのだ。
しかし、同Modはコード関連の問題を解決し「Skyrim Together Reborn」として再出発。チームにより地道な開発が続けられていた。2020年には、主要開発者であるYamashi氏がプロジェクト離脱を表明。同ModのGPLv3ライセンス化を表明した。GPLv3は、オープンソースソフトウェア(OSS)によく用いられるライセンスだ。
一方で、開発チームはソースコードを常に公開していたわけではない。ライセンスはオープンソース向けであるものの、肝心のソースは非公開だったわけだ。理由としてThe Together Teamは、同Modのサーバーソフトウェアの不正な盗用などが発生し、その対処に苦慮したためと説明している。また、OSSには多くの貢献者(コントリビューター)からコード変更の提案などが投じられる。そうした提案をひとつひとつ確認することも、かなりの労力となる。そのため、同チームはModのソースを非公開としつつ、開発を続けていたのだ。
そうした経緯の末に、「Skyrim Together Reborn」はようやく正式リリースを迎える運びとなったわけだ。また、フルオープンソース化もアナウンスされている。同Modのソースコード全体が、改めて共有されるのだろう。
なお、The Together Teamは『Fallout 4』をマルチプレイ化する「Fallout Together」についても開発中。こちらはチームのひとりであるDragonisser氏だけが開発に従事している状況のようだ。「Skyrim Together Reborn」のフルオープンソース化に伴い、「Fallout Together」についても、一般の貢献者たちが関わることが可能になる。Dragonisser氏は、そうした貢献者たちが両Modの開発を助けてくれることを期待すると、Redditに投稿された今回の発表で述べている。
長きにわたり開発され、ついにバージョン1.0の正式リリースにこぎつけた「Skyrim Together Reborn」。しかし、1人プレイ向けゲームをマルチプレイに対応させるのは至難の業であり、今後も技術的課題は出てくるはずだ。オープンソース化とコミュニティとの協調により、今後も同Modは発展していくことだろう。