『オンライン線香花火』Steam版が配信開始。最大20人できらめきを共有、儚くも美しいひととき

 

国内のインディーゲーム開発者である宮村あつき氏は6月24日、『オンライン線香花火』Steam版を配信開始した。通常価格は税込480円。7月2日までの期間は、10%オフの432円で購入できる。

『オンライン線香花火』は、オンライン上の誰かと一緒に線香花火を遊ぶゲームだ。線香花火とは、手持ち花火の一種である。遊ぶ際には、まず火薬の込められた線香花火の先端に火を付ける。すると花火に小さな火の玉が宿り、暗闇にわずかな閃光が煌めく。儚くも美しい、一瞬の輝きが見られるわけだ。本作『オンライン線香花火』は、その名の示すとおり、オンライン上で誰かと線香花火が遊べるゲームである。ゲームを開始すると、プレイヤーは線香花火を1本手に持っている。オンライン上の部屋に誰もいないか、燃えている線香花火が存在しない場合には、1本の火の付いたろうそくが出現。線香花火に火を灯すことで、画面上で花火が燃えていく様を見られる。燃焼中の線香花火を大きく動かすと火の玉が落ちてしまうなど、本作の線香花火は現実のものと似た性質を持っている。


本作では、最大20人が同じ部屋で線香花火を遊べる。部屋内の誰かが火の灯った線香花火を持っている場合には、そこから火をもらうことも可能となっている。またチャットなど、ゲーム内には直接的なコミュニケーションの手段は存在しない。線香花火を寄せ合ったり、あえて火の付いた線香花火から逃げ回ったりなど、言葉を用いないちょっとしたコミュニケーションも本作の特徴だろう。

要素としては、部屋の作成時には北海道から沖縄、カイロから南極まで、12種類から場所を選択できる。たとえば南極を選んだ際には気温が氷点下を大きく下回るほか、その場所に雨が降っていればゲーム中でも雨に見舞われる。現実における選んだ場所の環境が、ゲーム中の部屋にも反映されるわけだ。また線香花火は、空模様や気温によって光り方が変化。上手くデータが取れない場合は、現実と異なる環境に設定される場合もあるものの、その時々の状況に応じてさまざまな線香花火が見られるのだろう。


本作を開発したのは、国内のインディーゲーム開発者で、3D背景アーティストとしても活動する宮村あつき氏だ。本作は、2020年9月にPCブラウザ版が無料公開(現在調整中)。2021年6月からは、iOS/Android版が無料で配信されている。今回発売されたSteam版には追加要素などはないものの、大きな画面で線香花火が遊べるようになっている。モバイル版との通信も可能だ。また同氏のツイートによると、次回作としては「リアルタイム分岐3Dノベルゲーム」の制作が進行中。同作は、誰かに語りたくなる体験を目指して開発が進められているようだ。

『オンライン線香花火』Steam版は、通常価格税込480円で配信中。iOS/Android版も無料配信中となっている。



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なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。