Nintendo Switch版『英雄伝説 零の軌跡:改』の最適化をしたところ、Steam版『イースIX -Monstrum NOX-』のパフォーマンスが上がる

NIS Americaは5月25日、『イースIX -Monstrum NOX-』に向けて最新アップデート1.1.3を配信し、同作のパフォーマンスが向上したことを報告した。今回のパフォーマンス向上は“Nintendo Switch版『英雄伝説 零の軌跡:改』の最適化”によってもたらされたようだ。

パブリッシャーのNIS AmericaおよびデベロッパーのPH3 GmbHは5月25日、『イースIX -Monstrum NOX-』に向けて最新アップデート1.1.3を配信した。リリース時より最適化を突き詰めてきたPC版『イースIX』に、さらなるパフォーマンス向上をもたらすパッチとなるようだ。そして興味深いのは、今回のパフォーマンス向上は“Nintendo Switch版『英雄伝説 零の軌跡:改』の最適化”によってもたらされたこと。


『イースIX』に向けて配信された最新アップデート1.1.3は、おもにパフォーマンスを向上させるパッチとなる。ハードウェアやゲーム内の各種要素の組み合わせにもよるものの、CPU性能に制限のある場合では一部のテスターが25%の(フレームレートの)改善を確認したという。リリース時から改善が続いてきたパフォーマンスチャートも、さらに大きく更新されたようだ。

バルドゥーク中央区エリアにおける、リリース時からのパフォーマンス推移


なお、この改善を利用するには、Direct3D の機能レベル 11_1 が必要となる。この機能レベルをサポートしていない古いハードウェアやOSのバージョンを使用している場合、ゲームは自動的に従来のレンダリングパスで処理されるとのこと。詳細な変更については、パッチノートをチェックしてほしい。

面白いのは、今回のパフォーマンス向上はNintendo Switch版『英雄伝説 零の軌跡:改』の最適化によって実現したことである。『イースIX -Monstrum NOX-』のPC版移植および最適化を手がけているのは、Engine Software、およびPeter “Durante” Thoman氏だ。元々は、PCゲームの改造を得意とするModderであった。特に日本産タイトルの改造を得意としており、PC版『ダークソウル』のパフォーマンスを独自に改善したことがX-SEED Gamesの目に留まり、『王様物語』のPC版改良の際には正式な開発者として参加している(関連記事)。『英雄伝説 閃の軌跡』のSteam版移植の際にも同社を“サポート”しており、パフォーマンスの向上や倍速モードの実装などに実現している(関連記事)。

そして、Durante氏は2017年に、NIS Americaより『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』の最適化を依頼された(関連記事)。PC向けの最適化が難航して延期していた同タイトル。依頼を受けた同氏は、GPUおよびCPUのパフォーマンス改善、そしてフレームレートの改良に成功し、影のレンダリング問題も解決してみせた。PC版『イースVIII』における、延期を乗り越えたリリースは、同氏の活躍によるところも大きいといえるだろう。引き続き同氏が、Engine Softwareとともに最適化を手がけたPC版『イースIX』は延期や大きな不具合もなく、予定通りのリリースを果たしている。


さらに今年3月、Durante氏は『英雄伝説 零の軌跡:改』『英雄伝説 碧の軌跡:改』のPCおよびNintendo Switch版への移植を手がけていることを明かした。同氏によれば、Nintendo Switchへのゲームの移植は初の試みとなるそうだ。そして、この開発こそが『イースIX』に「誰も予想していなかったパフォーマンスパッチ」をもたらすきっかけとなったようだ。

Durante氏は、Nintendo Switch版『英雄伝説 零の軌跡:改』において、すべてのマップで60FPSを保つための最適化作業を実施していた。その際、Nintendo Switchへの最適化技術が、PC版『イースIX』の開発に役立つことに気づいたそうだ。持ち前の技術力をさらに高めるほどに、同氏のNintendo Switch移植における技術的理解が深まっているということだろう。

PC版『英雄伝説 碧の軌跡:改』


最適化の名手Durante氏によって、爽快感あふれる異能アクションがさらにサクサクと楽しめるようになったPC版『イースIX -Monstrum NOX-』は、Steam向けに配信中だ。Steam版『英雄伝説 零の軌跡:改』は、今年の9月28日に発売予定。『英雄伝説 碧の軌跡:改』については2023年発売予定。Steamストアページ表記によれば、どちらも日本語表示および日本語音声に対応する。
【UPDATE 2022/5/25 20:33】
『英雄伝説 零の軌跡:改』Steam版の発売日を修正

そして、Durante氏の最適化手腕が遺憾なく発揮されているであろう、Nintendo Switch版『英雄伝説 零の軌跡:改』『英雄伝説 碧の軌跡:改』の国内発売にも期待したい。両作ともに、2021年に繁体字中国語版およびハングル版が発売されており、株式会社クラウディッドレパードエンタテインメントがパブリッシングを手がけている。



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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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