Steam版『イースVIII』は12月中旬の発売を目指す、国産ゲーム改造のスペシャリスト「Durante」氏が開発に参加

 

NIS AmericaのAlex Flagg氏は、Steam版『イースVIII -Lacrimosa of DANA-(以下、イースVIII)』のリリースの見通しについてSteam Communityにて発表した。海外向け『イースVIII』はPlayStation 4版とPlayStation Vita版が9月に発売されたものの、Steam版は発売日の前日に延期が発表され、それ以後情報が途絶えていた。どうやらこの延期については、PC向けの最適化が原因であったようだ。

Flagg氏はまず、延期とそれにともなうコミュニケーションが遅れていたことを謝罪。パフォーマンスの改善とデバッグによるバグの削減に取り組んでおり、12月中旬の発売を目指して開発していることを報告し、最高の品質でゲームを発売するためにDurante氏が開発に参加していることを明かしている。

Peter “Durante” Thoman氏は、PCゲームの改造を得意とするModderだ。特に日本産タイトルの改造を得意としており、PC版『ダークソウル』のパフォーマンスを独自に改善したことが企業の目に留まり、のちに『王様物語』のPC版改良には正式な開発者として参加している。NIS Americaは延期の発表後から、GPUおよびCPUのパフォーマンス改善、そしてフレームレートの改良をDurante氏に依頼。Durante氏はこれらのパフォーマンスを向上させ、加えて影のレンダリング問題も解決してみせた。しかし、大幅に仕様が変更したことからQAに時間がかかること、そして先日発表したローカライズに付随する改善により2か月の時間を要することが判明したという。今回の延期の発表にあわせて、NIS AmericaはSteam版の返金を受け付けている。リリース予定時期も、あくまで「予定している(plan)」とのことなので、12月中旬に発売されるかは定かではないが、延期されて以来音沙汰のなかったタイトルにリリースの目処がついたのは朗報であると言えるだろう。

一方で、Dutante氏が開発に参加するという形は非常に奇妙かつ皮肉な展開であると言える。というのも、日本ファルコムタイトルのSteam版の販売は、これまでXSEED Gamesに委託する形になっていたが、今回からNIS Americaが担当している。そしてDurante氏が直近で開発に協力したのは、XSEED Gamesが販売を担当し、日本ファルコムが開発を手がける『英雄伝説 閃の軌跡』。つまるところ、日本ファルコムのPCタイトルは、XSEED GamesからNIS Americaに販売会社が変わっていながらもDurante氏の力を借りるという同じ結果をなぞっているわけだ。XSEED Gamesはマーベラスが母体、NIS Americaは日本一ソフトウェアが母体となっており、日本の傘下会社という組織形態に類似点があるものの、真実は定かではない。

いずれにせよ、Durante氏の技術者としての腕は確かであり、そうした開発者が参加することによってパフォーマンスが向上するのは嬉しい限りだ。ローカライズ、パフォーマンス両方の面で躓いてしまったNIS America。躓きを認め、両方の面で誠意を持って再スタートを切ろうとしている同社の頑張りに期待したい。