『エルデンリング』は“メタスコア97”に値するか、海外ユーザー間の議論が勃発。愛憎入り交じる、評価するのも高難度作品

『エルデンリング』のMetacriticスコアについて、海外掲示板にて論争が巻き起こっている。メディアレビューによる『エルデンリング』高評価が適切か否かについて、意見が分かれているようだ。

『エルデンリング』のMetacriticスコアについて、海外掲示板にて論争が巻き起こっている。メディアレビューによる本作への高評価が適切か否かについて、ユーザー間で意見が分かれているようだ。その内容からは、本作を評価することの難しさが垣間見えた。

『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけ、今年2月25日にリリースされたアクションRPGだ。本作は発売直前のメディアレビューにて超高評価を獲得。PC版はMetacriticにおいて、メディアによるレビュースコアの集積「メタスコア」で100点満点中97点をマークしていた。現在はPC版が94点、PS5版と Xbox Series X|S版が96点とのメタスコアに落ち着いている。また、その高い事前評価に違わず本作はスマッシュヒットを記録し、3月末にかけて1340万本を出荷。販売元による400万本との出荷本数予想の、3倍以上の数字を叩き出した(関連記事)。


一方で、本作のユーザー評価についてはリリース直後に賛否両論が巻き起こった。上述のMetacriticにおいては、メディアによるメタスコアが高得点をマークする一方で、ユーザーレビューは現在PS5版が10点満点で7.9点、Xbox Series X|S版が7.6点、PC版に至っては6.8点と、メタスコアに対して乖離がある。

本作の各所ユーザーレビュー内容としては、絶賛する声もある一方で、後半のゲームプレイやボスの調整に不満を述べる意見も多い。特にPC版への意見ではパフォーマンスの不安定さが取り沙汰され、本作Steam版はリリース直後のユーザーレビューが「賛否両論」ステータスになる状況だった。しかし、現在ではSteamユーザーレビューは36万件以上が寄せられ、うち89%が好評の「非常に好評」ステータスとなっている。本作はその話題性や売上もさながら、とにかくいろいろな意見をユーザーにもたれる作品なのである。


そんな『エルデンリング』についてのスレッドが5月9日、海外掲示板ResetEraにて立てられ、多くのユーザーコメントを集めている。「『エルデンリング』のメタスコア97点に同意する?」と題された同スレッドは、ユーザーたちに『エルデンリング』の高メタスコアが適切かどうか問う内容だ。なお、現在の本作メタスコアは、前述の通り最高で96点である。「本作のメディア評価が不当に高いのではないか」との議論は今回が初めてではなく、リリース直後にも繰り広げられてきた背景はある。しかし、リリースから2か月以上が経った今、こうして新たにスレッドが立ち議論が深まるのは興味深い。また、クリア者も多いなかで改めて交わされる議論は、以前の内容より議論としてのレベルが上がっている印象だ。

筆者が同スレッドにおける書き込み内容を確認したところ、「高メタスコアは適切である」とするユーザーがやや数的優勢のようだ。また、「高メタスコアは不適切である」とするユーザーたちにも「90点前後の作品ではある」と本作を高く評価する声が散見される。一方で、本作の不具合やパフォーマンス問題に触れたり、「小規模ダンジョンやボスが使い回しに感じる」などの欠点を指摘するコメントは、賛成/反対意見いずれのユーザーからも寄せられている。『エルデンリング』が美点も欠点も目立つ作品であるという感触は、多くのユーザーの間で一致しているようだ。高メタスコアを是とするか否とするかは、そうした欠点の受け止め方にもよるのだろう。また、愛する部分と嫌いな部分を多数挙げるような、愛憎の入り交じる意見も散見される。


また同スレッドでは、メタスコアの意味自体に疑問を投げかける声もある。本作の高メタスコアについては、「過去作品ファンが担当者になるため、得点が偏ってしまうのでは」などの指摘もあった(Inverse)。また、『エルデンリング』のような大ボリューム作品では、メディアの多くは、発売直前に大急ぎでプレイして作品の内容を確かめ評価を下すため、通常のユーザー体験と乖離する面もあるだろう。また、ユーザーとメディアの間での評価軸の違いや、メディアでもどこに評価の重きを置くのか、執筆者や編集部ディレクションでも変化するだろう。『エルデンリング』のような作品に、点数として定量化した評価を下すこと自体が難題ともいえるのだ。

そうしたリリース直後の議論のように、メディアレビューによる点数そのものの信頼性を問う者や、「そもそもどういった作品が97点のゲームなのか、92点や95点とはどう違うのか」との、得点制の根本にメスを入れる疑問も噴出する有様だ。こうした議論が重ねられるのも、『エルデンリング』が一筋縄に評価しかねる内容の作品であるがゆえだろう。また、プレイヤーの個人的評価とメタスコアが一致しない違和感も、議論の動機となっているかもしれない。

また、海外掲示板Redditでも先週より「『エルデンリング』はあなたにとってGOTYか」と問う気の早いスレッドなどがユーザーの反響を集めている。本作をクリアしたプレイヤーたちが、改めて本作を振り返り、その評価を固める時期に来ている様子もある。また『エルデンリング』は、特定のレビュワーが点数によってゲームを評価する方法自体にも、疑問の種を撒いたといえる。また、外的要因によるバイアスがかかりうるのは、ユーザーレビューでも同様である。本作既プレイの皆様は、『エルデンリング』に自信をもって点数を付けられるだろうか。




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Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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