『フォートナイト』Epic Gamesがチートおよびアカウント販売業者を直々に成敗。賠償金は慈善団体に寄付される
Epic Gamesは昨年、『フォートナイト』におけるチートおよびアカウント販売業者に対して、訴訟を提起した。そして先日、その訴えは認められ、Epic Gamesが直々に悪徳業者を成敗するかたちとなったようだ。海外メディアGameSpotなどが伝えている。
Epic Gamesは昨年4月、オーストラリア連邦裁判所に、Brandon Despotakis氏に対しての訴訟を提起した。同氏のおこなう、『フォートナイト』のチートツールやアカウント販売事業に対するものであった。事業において、Despotakis氏はBlazeFNのハンドルネームを使用していた。
裁判における、Despotakis氏の販売物リストも公開されている。18ページ目付近からは、販売物の画像も確認できる。Soft Aimと呼ばれるチートや、検出を妨げるツールなどが販売されていたようだ。Soft Aimはマウスをゲームパッドとして認識させ、エイムアシストを得るためのツールだそうだ。買い切り版はそれぞれ49.99ドルで販売されているほか、24時間または1か月限定のものも用意されていた様子。チートツールのほか、アカウント販売においては、バトルパススキンや人気スキンを所有するアカウント、さらには1万3500V-Bucks(ゲーム内通貨)を有するアカウントが販売されていたようだ。
さらに、非アクティブとされるアカウントには、付加価値が設定されている。一定期間使用されていないアカウントであれば、IPアドレスが以前から変わったとしても、ゲーム運営元から購入アカウントであると疑われにくいためであろう。なお、Despotakis氏の販売物のアートワークは、『フォートナイト』のアイテムショップのものに酷似しており、随分と図々しい売り方をしていたようだ。
GameSpotによると、Epic Gamesの訴訟に対して裁判所は、Despotakis氏のチートおよびアカウント販売行為が、『フォートナイト』のEULA(エンドユーザーライセンス同意書)および利用許諾に違反するものであると認めた。さらに、同氏の事業がEpic Gamesの著作権を侵害するものであるとし、事業の停止などを命じたとされる。
そして5月9日、Despotakis氏はTwitter上で、自身の声明を発表した。声明の中で同氏は、「Epic Gamesが私を捕まえ、オーストラリアで私に対して訴訟手続きを開始しました。そのため、これ以上販売をおこなうことはありません」とした。今後、同氏には、同様の販売行為に対して法的規制も課されるという。そして、Epic Gamesに対しては和解金を支払うことが、裁判によって決定したようだ。和解金はEpic Gamesによって、慈善団体に寄付されるという。
また、Despotakis氏は『フォートナイト』コミュニティに対しても謝罪をおこなっている。「私がしたことは違法でした。チートツールを購入したプレイヤーに、ルールに従って遊んでいるほかの人々に対する不当なアドバンテージを与えるものでした。二度とこのようなことはしません」としている。最後に同氏は、「『フォートナイト』のチートやプレイヤーアカウントについては、私に連絡してこないでください」と締めくくっていた。なお、同氏のアカウント画像はまったくの別人のものである。
声明のとおり、和解の一環として、Despotakis氏はEpic Gamesに対して損害賠償を支払うことになった。損害の合計については不明ながら、支払われるのは両者が合意した金額とのことだ。そして賠償金は、慈善団体であるChild’s Playに寄付されるという。同団体は、世界の小児病院で、子どもと10代の若者の生活を改善するために活動している。悪徳業者は成敗され、不正者たちが支払ったお金は、世界の子供たちに分配されるわけだ。
さらに、今回の一件に対して、Epic Gamesは声明を発表している。「侵害されたプレイヤーアカウントやチート技術などの販売によって、ユーザーの情報は危険にさらされ、公正に遊んでいるプレイヤーたちの体験は台無しにされます。私たちはこれらのアイテムの違法販売を深刻なものとして受け止めています。我々のゲームにおける楽しさ、そしてPay-to-Winにならない公平さを確かなものとするために、あらゆる手段を尽くしていきます」とのこと。
Epic Gamesが直々にチート販売業者を成敗したともいえる、今回の一幕。チート利用者に比べて、販売業者はゲームそのものには無関心であり、改心させるのが難しいとの見解もある。今回も、Despotakis氏には、今後の違法販売に対する法的規制が課されている。こうした法的規制や厳しい処罰がなければ、チート販売を取り締まるのは難しいのかもしれない。