『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)において、ハウジング抽選販売に深刻な不具合が発生している。4月12日に公開されたパッチ6.1「新たなる冒険」では、パッチ公開と同時に新ハウジングエリア「エンピレアム」の抽選申込が開始され、4月17日0時に抽選結果の発表がおこなわれた。その抽選結果に不具合が発生し「“存在しないはずの0番”が当選し、プレイヤーは全員落選してしまう」という事象が多数報告されたのである。『FF14』運営側は17日4時30分ごろ、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が対応状況を報告。同日23時20分には続報も報告されたものの、記事執筆現在も原因の特定には至っていないようだ。
『FF14』のハウジングはプレイヤーが固有のプライベートエリアを所有できるコンテンツで、庭付き一軒家の「ハウス」と一部屋のみの「アパルトメント」が存在する。ハウスはフリーカンパニーもしくは個人での所有が可能だが、需要に対して土地の数が少なく、慢性的な土地不足の状況が続いている。これは新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限や半導体不足の影響で、サーバーの増強が物理的に追いついていないことが背景にある。
そんななか、パッチ6.1では新たなハウジングエリア「エンピレアム」の抽選販売が開始された。既存のハウジングエリアの区画拡張はたびたびおこなわれていたものの、ハウジングエリア自体の追加はパッチ4.1の「シロガネ」以来である。プレイヤー待望の新たな土地の追加に、非常に高い期待が寄せられていた。
「エンピレアム」の実装と同時に、土地の販売方式も変更された。パッチ6.1以前の『FF14』では、ハウスの購入は先着順だった。前所有者が土地を放棄するなどして発生した空き地は「整備中」のステータスとなり、ランダムな待機時間ののちステータス解除されて先着購入が可能となる仕組みだった。しかし、土地の競争率が高い状況では購入するために整備が終わるのを監視していなければならず、長時間ろくにコンテンツで遊ぶこともできずに空き地の前に張り付いていなければならないことが不満とされていた。そうした経緯から、パッチ6.1では土地の販売方法が抽選方式に変更され、応募者の中から抽選で1名に購入権が与えられる仕組みに変更されたのだ。
パッチ6.1における最初の抽選は、4月12日に申込が開始され、4月17日の0時に当選者が発表されるというスケジュールであった。申込プレイヤーは1から順番に番号を振られ、発表時に当選者の番号が発表されるという仕組みだ。しかし、4月17日の当選発表後、「“存在しないはずの0番”が土地に当選している」という事象が公式フォーラムやSNSで多数報告された。なかには「応募人数が1人だったので当選確実と思っていたが、0番が当選扱いになって落選した」という報告や、「フリーカンパニー用の土地で、同じフリーカンパニーのメンバーしか応募者がいなかったにもかかわらず全員が落選した」という報告も見受けられた。
『FF14』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏は、同日の明け方4時30分ごろに「ハウジングの抽選販売で発生している問題について」というトピックスを公開。重大な問題として最優先で調査をおこなっているものの、原因特定にはいたっていないことを報告した。また、抽選の結果発表期間は4月20日いっぱいを予定していたが、調査および対応が終了するまでの間はこの期間を延長し、次回の応募期間が始まることはないことを決定した。23時20分には続報が公開されたものの、記事執筆現在も原因の特定には至っていないようだ。
公開された報告によると、原因の特定に時間を要している理由として、プレイヤー側の応募条件には非常に多くのパターンがあることが関係しているようだ。ここでいう“多くのパターン”とは、プレイヤーの土地所有状況、新規の土地購入なのか引っ越しなのか、同一アカウント内の土地所有状況はどうか、などの要因を指しているとみられる。また、「処理には関係ないはずの『土地側から見た応募者属性のパターン』にも何か手がかりがないか」という方向でもアプローチをしているとのこと。ハウジング関連以外の要因が不具合の原因になっている可能性も視野に、原因特定作業を進めているようだ。
公式フォーラムなどを見ると、不具合が発生している現状では、抽選ははたして平等なものだったのかという疑念を抱くプレイヤーも少なくないようだ。“存在しないはずの0番”が入り込んだことで、抽選結果が変わってしまったのではないかという疑問だろう。幸運にも土地を購入できたプレイヤーも、その権利が正当なものなのか不安になっているかもしれない。トピックスには「パッチ6.1で実装となった土地購入権利の抽選は、単純なランダム関数を用い、『応募条件を問わず』にシンプルな処理にて行われている」と記載されている。対応が発表されるまで確定はできないものの、抽選のシステム自体は正常に動いていると見て良いようだ。
また、土地の代金は抽選申し込み時に全額前払いし、落選時に返金を受ける仕組みになっている。不具合に遭遇したプレイヤーはこの返金を受けて良いのか、という点も不安を生んでいる。トピックスによると、応募の有無については運営側のデータベースサーバーログから確認可能とのこと。対応時はこのログを参照することができるため、「落選したことにより応募時のギルを返還したかどうかは、その後の対応には影響がでないよう調査を進めております 」という回答がされている。
慢性的な土地不足にある『FF14』において、パッチ6.1のハウジングエリア追加を待ち望んでいたプレイヤーは少なくなかったことだろう。抽選方式という新たなシステムを導入したことで不具合が発生し、期待していたぶん残念な思いをしているプレイヤーもいるはずだ。しかし、これまでの『FF14』の歴史を振り返ると、不具合発生時は迅速に対処し、対応状況をプレイヤーに伝えてきてくれたように思う。今回の不具合は影響範囲も大きく、不安になっているプレイヤーも多々観測される。プレイヤーにできることは、余計な憶測をせずに運営を信じて待つことのみ。一刻も早く原因特定がなされ、迅速な対応がおこなわれることを祈っている。
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