ロシアのゲーム開発者の多くが、国外脱出を実行/計画しているとの報告。脱出しない開発者にもそれぞれの事情

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ロシアのモバイルゲームマーケティングサービスApp2Topは4月8日、同社が実施したゲーム開発者向けアンケートの結果を公開した。回答したロシアの開発者たちの約42.3%が、同国をすでに去ったか、あるいは国外離脱を企図しているなどのデータが明らかになっている。GameDev ReportsおよびGame Developerが伝えている。

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ロシアによるウクライナ侵攻は、ゲーム業界にも多大な影響を与えている。侵攻を受けたウクライナのメーカーでは、『S.T.A.L.K.E.R. 2』の開発中断に追い込まれたGSC Game Worldなどの例がある。また、世界各国から政府/民間レベルでの制裁を受けるロシアのゲーム企業も厳しい立場にある。実際に戦火に晒されるウクライナ現地メーカーの苦境とは比較できないものの、ロシアメーカーが経済的・社会的に逼迫した状況にあるのは確かだ。例としては、「Steamからの売り上げが受け取れない」などの報告も、ロシアの開発者から出ている(関連記事)。また、ロシア政府による言論弾圧のリスクなどもあるだろう。

そうした状況から逃れようとするロシア開発者たちも少なくないようだ。現地マーケティングサービスApp2Topがアンケート結果として伝えている。今年3月末の時点で、アンケートに回答したロシア在住開発者の17.8%がロシアを離れており、24.5%がロシア離脱の準備を進めているとのこと。また、ロシアに残ると回答した残りの開発者たちのうち、33.6%が将来的にロシアを離れることを検討していると答えたそうだ。なお、アンケートについては3月25日から4月1日にかけて実施されたとのこと。約378名のロシア在住開発者のうち半数に迫る者たちが国外離脱を実施したか、もしくは企図しているとの結果になっている。

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すでに国外に出たと回答した開発者の移動先としては、25.4%がトルコに移ったと回答している。次いでアルメニア、ジョージア(旧称グルジア)、カザフスタン、セルビアの順に移動者が多く、キプロスとタイへも少数の開発者が移住しているようだ。そして、回答者のうち83.6%にのぼる大多数が「ロシアを出てよかった」と答えたとのこと。また、ロシア離脱を計画していると答えた開発者のうち、16.3%がキプロスを移動先候補として挙げている。次いでトルコ、ジョージア、アルメニアの順に多くの開発者が候補として挙げたとのこと。ロシアに近く、ウクライナとロシア間の停戦交渉の舞台ともなったトルコに概ね多くの開発者が流れ、また移動先としても検討されているようだ。なお、タイについては多くのロシア人観光客が訪れていたほか、経済制裁の影響によりロシア人が立ち往生しているとの報道もある。同国に居るとの回答者は、やむにやまれず滞在している可能性もありそうだ。

また、ロシアに残ると答えた開発者たちの回答のなかにも、苦悩が見て取れる。「将来的にロシアを離れる」と回答“しなかった”開発者たちのうち、33.3%が「親や家族/友人/仕事があるために、ロシアを離れられない」と回答しているそうだ。また15.3%は「金銭的問題により国外離脱できない」と回答したとのこと。なお、もっとも多くの回答を集めたのは「自国なので、国外に出る必要性を感じない」とする意見で45.1%を占める。一方で、「ロシアでの生活が好きだから」と答えた開発者は1%に満たなかったようだ。ロシアに残る開発者たちも、必ずしも同国の環境やイデオロギーに納得しているわけではない様子が見て取れるデータだ。

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今回の調査は、単一のサービスによるアンケートということもあり、一連の結果にやや偏りがある可能性には留意したい。しかしながら、ロシアによる侵攻と国際社会による同国への制裁の結果として、ゲーム開発者たちにとって厳しい環境となっていることを示すひとつのデータではあるだろう。戦争が終結した時、開発者たちが離脱したロシアゲーム業界は、いったいどのような姿になっているのだろうか。