『エルデンリング』クリア、いよいよ20分の壁が破られる。瞬間移動の連続、まばたきしたら置いてけぼり
『エルデンリング』が、20分を切る短時間にてクリアされた。ゲーム内時間での記録となる。「『エルデンリング』は突き詰めれば一体何分でクリアできるのか」との問いに驚愕の回答を突きつける記録だ。本稿にはその性質上、『エルデンリング』のネタバレとなる要素も含まれるためご注意されたい。
今回『エルデンリング』クリア20分切りを達成したのは、海外スピードランナーのDistortion2氏。同氏は、『ダークソウル』シリーズや『SEKIRO: Shadows Die Twice』のスピードランなどでも著名な人物だ。『エルデンリング』においても、2月25日の発売からスピードランの先頭グループを駆けるプレイヤーのひとりだ。
Distortion2氏は3月22日には、グリッチを利用したAny%(基本なんでもあり)スピードランにて25分切りの記録を打ち出していた(関連記事)。用いられた主なテクニックとしては、ゲームの再ロードを利用してエリアの“初期位置”に無理矢理ワープする技術「Wrong Warp」や、空中を一瞬にして直線瞬間移動する「Zip Glitch」などを駆使していた。同氏は本日3月28日、さらにZip Glitchの活用を推し進め、15時間にわたる激闘の末に新記録を打ち立てたのだ。クリアタイムは、18分57秒。『エルデンリング』の「Any% Unrestricted(達成度問わず・制限無し)」カテゴリーにおいて、現在世界最速記録と見られる。
Twitchにて放送されていた挑戦の動画を見てみると、Zip Glitchが猛威を振るっている様子がわかる。なお、リンク先の動画においてはネタバレがあるほか、プレイヤーキャラが刺激的な服装をしているためご注意されたい。Distortion2氏はリムグレイヴの地の降り立つや否や、早速すぐにZip Glitchを利用してワープ。祝福「関門前」まで文字通り“瞬く間”に移動している。ほかにも、移動時間がネックになっていた地点をガンガンと飛ばしていく。操作が難しいためか、しばしば同氏が悲鳴に近い声をあげるシーンも。しかし最終的には、恐るべき手練手管で最終ボスにたどり着き、速攻撃破を決めた。なお、挑戦にあたっては戦技「霜踏み」などが下方修正される前の旧バージョンであるVer.1.02.3が利用されている。
なお、Zip Glitchは、スピードラン集計サイトSpeedrun.comにおいて、レギュレーション上「Any% Unrestricted」のみの利用に制限されている。同グリッチが実行できるかどうかは、プレイ環境に依る部分が大きいためだ。今回のDistortion2氏の新記録は集計待ち、あるいは未提出と見られるため、現在Speedrun.comの同カテゴリーにおける世界一位記録保持者は、『SEKIRO: Shadows Die Twice』の“目隠しクリア”で知られるMitchriz氏となっている(関連記事)。今後同カテゴリーでは、常人の理解を拒む戦いが繰り広げられるかもしれない。
【UPDATE 2022/03/28 22:40】新記録の集計状況について補足
また、Speedrun.comのほかカテゴリーに関しても、研鑽を重ねた猛者たちが鎬を削っている。Zip Glitch利用が制限された通常のAny%カテゴリーでも、30分切りのクリアタイムが立ち並ぶ状況だ。こちらは記事執筆現在、スピードランナーのspicee氏が26分26秒のタイムで首位に立っている。国内スピードランナーとしては、sutemou氏が29分のタイムで第8位にランクイン。いずれも旧Ver.1.02.3にて、下方修正前の霜踏みを利用した記録である点にも留意したい。
そして、追憶を落とす全ボスを撃破するカテゴリー「All Remembrances」でも熱戦が繰り広げられている。こちらのリーダーボードでは、空中を霊馬トレントで駆ける「Pegasus Glitch(ペガサスバグ)」の利用が散見される(関連記事)。記事執筆時点の同カテゴリー首位はSiegbruh氏で、記録は1時間53分2秒。ただ、つい先ごろにはDistortion2氏が1時間48分6秒の記録を叩き出したため、Siegbruh氏の記録は実質世界2位ということになりそうだ。しかし、Siegbruh氏は記事執筆時点でも自身のTwitchチャンネルにて同カテゴリーを走っている。『エルデンリング』スピードランでは、まだまだ驚くべき記録が飛び出すことだろう。
※ The English version of this article is available here